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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百二十二話

 今度こそ橋本公爵を倒した。

 すると公爵たちが一斉に沈黙した。

 というか、橋本が死ぬ前に俺に生命的なものを吸われて死んだ。

 エナジードレインってやつだろうか?

 味方からは少々、敵からはドバッと生命を吸ったわけである。

 生き残った遠征に参加した公爵は数人。

 生存した公爵すべてが変身しなかったものたちだ。

 変身した時点ですでに死んでるようなものではある。

 思うにゾーク因子を持たないごく普通の無能だったのだろう。

 橋本家は即日取り潰しが決まった。

 容疑は反逆罪と皇族への殺害未遂。

 敵勢力との内通に関してはそもそもゾークと意思疎通ができないので不起訴。

 これはマザーAIと人間の判事の見解は一致してる。

 裁判官のなに言ってるかわからない長ったらしい判決文は読む気も起こらない。

 大学教授による詳しい解説は判例集待ちである。

 280ページで3300クレジットか……お高い。

 結論的には反逆罪なので一族連座でお家断絶。

 嫁ちゃんとトマスの連名で処刑はなし。

 嫁ちゃんに言わせると、


「子どもまで族滅とかいつの時代の話じゃ。そんなことやったら国民にどん引きされるのじゃ」


 とのことである。

 帝国はちょくちょく非人道的な行いをしてるが、外面は気にしてるということだ。

 ではどうするか。

 領地没収に開拓惑星送りだそうだ。

 その後の身の振り方を決めてもらえるのだから優しいと考えるか。

 それとも、開拓惑星で殺すつもりだと考えるか。


「暗殺? できるわけがない! その程度の優秀さがあれば人手の足らない役所で働かせたわ!」


 だそうである。

 人生って残酷ね。

 能力で待遇に差があるの。

 というわけで、公爵家の7割が消滅するらしい。


「どうすんのよ?」


 帝国の地方行政は死ぬ寸前である。


「どうすんのよって。いるじゃろ? 若くて、優秀で、戦功の実績があって、無冠の集団が」


「誰よ?」


「士官学校の連中じゃ。公爵は無理でも伯爵ならごり押しでいける」


「えーっと、結婚相手探してやる話は?」


「振り出しに戻ったわい。候補なんていくらでもいるじゃろ。むしろ侯爵伯爵家から続々打診が来ておるわ」


 嫁がそう言うと大量の写真つき資料を映してくれる。

 とんでもない美男美女ばかりだ。

 年齢も近い。

 本当に厳選したって感じだ。

 なお俺の嫁枠ではない女子にも斡旋するようだ。

 クラスメイト全員俺の女失敗。

 いやいらんけど。

 みんなが幸せになってくれればいいな。

 でもさ……あいつらさ。やれ【彼女欲しい!】とか【彼氏欲しい!】って言ってやがるのよ!

 彼女と嫁は違うし、彼氏と婿も違うよね。

 嫁ちゃんにはその辺はわからないと思う。

 理解しろって方が無茶だろう。

 俺たちとはあまりにも生まれが違うからね。

 あとでたいへんなことになりそうな気がする。

 ……まあいいか。

 みんな……売却先が決まりそうでよかったね……。

 前よりも好待遇で迎えられるだろう。

 だって公爵級の惑星持ちだもん。

 食いっぱぐれねえわ。

 俺は無理に納得した。

 嫁が俺のひざを枕にする。

 俺たちは戦艦の私室でくつろいでいた。

 久しぶりの休みである。

 俺が無事なのが珍しいって意味だ。

 もうね、なにもしたくない。


「食べるか?」


 嫁がテーブルをまさぐってチョコレートを取る。

 俺に渡してくれる。


「うん」


 チョコレートの甘さが俺の脳を満たしてくれる。

 いやね賢者、脳の消耗が激しすぎるのよ。

 リニアブレイザーの装備をつけたジェスター専用機で超火力を出すくらいだし。

 おかげでエッジの活躍の機会を奪ってしまった。

 反省。

 でもエッジは喜んでいた。

「さすが師匠!」と、とうとう師匠呼びになったほどだ。

 これから活躍させようと思う。


 現在、トマスの艦隊を帝都に送り届けるために航行中だ。

 トマスは橋本公爵の暴走を止められなかったことを理由に皇位継承権レースから降りることになった。

 嫁ちゃんを支持するようだ。

 これで嫁ちゃんは諸侯を完全に傘下に収めたことになる。

 一見するとウォルターが不利になったように見える。

 でも実際は公爵会が消滅したので、諸侯の政治的権力は激減。

 一方、ウォルターの方も首都星の文官は先の侵攻で激減。

 派閥の立て直しもままならない。

 嫌な均衡状態である。

 というか、民衆によるクーデターすらありえる状態だ。

 そういや原作もそのルートあったな。

 ただストーリー自体薄味というか、ほとんど無味なため具体的になにが起こったかまではわからない。

【なんかできちゃいましたー♪】である。

 ただ帝都の地下組織が暗躍したような?

 それも嫁ちゃんが皇帝候補になることでどう変化したかわからない。

 さてゲームでもするか。

 ゲームにログインすると問答無用で妖精さんがボイスチャットに入ってきた。


「ひゃっほーい! ガキをあおるのたーのしー!!!」


 メスガキはお子さまと遊んでたようだ。

 子どもと遊ぶというと座敷童感あるのだが、実際はあおり散らかしてる迷惑ユーザーである。


「チーターの心が折れるまで追い込むの……本当に最・高♪」


「やめたげてー!!!」


「妾の前で他の女にうつつをぬかすな」


 リアルで腹をつねられた。

 最近、嫁ちゃん嫉妬するようになったんだよね。

 よい傾向だと思う。


「ヴェロニカちゃんやっほー!」


「ニュースになるような悪さするなよ」


「大丈夫だって。信じて。さっきもお子ちゃまがえっちな画像送りつけてきたから、相手の端末ハッキングしてお肉のあまったわがままボディな三十路アイドルのグラビアを大量に送りつけたから」


「子どもの性癖開発するのやめてー!!!」


「レオくん……レオくん見て考えついた手だよ……」


 ら、らめ!

 そんな非道なことらめえええええええええ!

 性癖の化け物作っちゃらめええッ!


「もしかするとジェスターに覚醒する条件かもしれぬしな」


「たぶんちがうー!!!」


 もうね、泣きながら否定。

 だってかわいそうだろ!

 帝国全土に性癖公開なんてしてみろ!

 もうね、もうね!

 と、このように俺たちはとろけそうなくらいグダグダのまま帝都へ帰るのであった。

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― 新着の感想 ―
チーターが相手ならむしろ引退まで追い込んでも誰も文句言わないまだある
<「チーターの心が折れるまで追い込むの……本当に最・高♪」 「やめたげてー!!!」> チーター相手なら二度とゲームが出来なくなるレベル程度までならOK。アイツらにゲームをやる資格は無い
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