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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百十九話

 民間人が喰われていた。

 いや、やつらに消化能力はない。

 かじってるだけだ。

 それでも人は死ぬ。

 噛みつかれて振り回されて宙に放り投げられる。

 俺は人混みをかき分けながら進む……ふと建物の屋根が見えた。


「ヒューマさん!」


「おうよ!」


 ヒューマさんが組んだ両手を下に差し出した。

 俺は助走をつけてその手に片足を乗せた。


「ふんッ!!!」


 ヒューマさんが俺を持ち上げ放り投げる。

 俺もそれに合わせて跳び上がった。

 Gのように舞い、Gのように壁にひっつく!

 しゃかしゃかしゃか。

 ふう、俺は建物の上に乗った、

 俺はカトラスを抜いて走る。


「おらあああああああああああッ!!!」


 建物の上から飛び降りる。

 下りるときに邪魔なおっさんがいる。

 公爵見て固まってるようだ。

 公爵はおっさんに噛みつこうと……


「危ねえ!」


 おっさんにまずは飛び降りキック。

 そして背中を踏み台にしてさらにジャンプ!


「ぐあああああああ!」


「ごめん!」


 敵を飛び越してから反転して斬りかかる。

 背中にヒット!

 よし急所を斬った!

 すぐに敵は動かなくなった。


「おっさんすまねえ!」


 手を貸して引き起こす。


「い、いいってことよ! 俺も元海賊だ!!! 常に覚悟は決まってるぜ!!!」


 いい人だ。

 顔はちょっとキレてるけど。

 ごめんね。

 穏便に助ける暇なかったのよ……。

 そしたらヒューマさんが来る。


「大尉殿! 大丈夫か!」


「倒したッス!」


 するとさっき蹴ったおっさんが駆け寄ってきた。


「お、おいヒューマ! 大尉って、この兄ちゃん、もしかしてレオ・カミシロか!?」


「あ、八百屋の……おう、レオ・カミシロ大尉だが……」


「お、おい! みんな! レオ・カミシロが来たぞ! 俺たちは助かったぞ!」


「あ、あのー……それはいいんですけど、さっき放り投げられたおじさんが……」


「あん! 魚屋ああああああああああッ! 無事かああああああああああッ!」


 魚屋のおっさんの救助が行われる。

 大騒ぎになったせいかリリィもすぐにやってきた。


「こっちににも医療ドローン! ああ! もう! オラ、てめえら! さっさと避難しろ!!!」


「俺は別のとこ見てくる!」


 そう言い残してリリィにこの場をまかせる。


「ヒューマさん! リリィの警護頼んだ!」


「あ、おい!」


 ヒューマさんはリリィの私兵だ。

 リリィを守る義務がある。

 だからここに置いて行く。

 俺だって嫁ちゃんがいたら最優先で守るし。


「あ、くそ! 大尉死ぬなよ!」


「へーい!」


 人混みをかき分けていくと士官学校の男子がいた。


「おう! どうだ!」


「レオ! バケモンに遭遇した! 実弾で撃ったけど効果ない!」


「背後を撃ったか?」


「いや前だけだ」


「後ろに急所が集まってる。背後から攻撃すれば簡単に倒せるぞ」


「どうやって後ろ取るんだよ!」


「なんかヒューマさんと連携して……?」


「お前と軍曹殿しかできねえだろそれ!!!」


「ピゲットのおっちゃんもできるんじゃね?」


「比較対象!」


「お前らもできるだろ? とにかくよー。公爵の数は俺たちより少ないんだからさ、囲んでボコれば勝てるって」


「なあレオ、お前常に雑だよな!」


「考えるな感じろ。【あたままっちろになりゅー♪】って言うだろ」


「余計なもん足すな!」


 ふう、このところツッコミ役が多かったせいか爽快である。

 やはりボケにまわるのは至高の体験である。


「……もういい。わかった。つまり背面が弱点なんだな」


「そういうこと」


 というわけで情報共有。

 そろそろアナウンスしないとなと思ったら妖精さんがやってくれた。


「はーい皆さん、化け物は背面に弱点があります。背面への攻撃で簡単に無力化できますよ」


 背面への攻撃が当たれば簡単に無力化できるが、背面への攻撃が簡単とは一言も言ってない。

 まさに外道の所業である。

 ひでえ話。

 そのまま去ろうと思ったら男子に呼び止められる。


「待て、あいつを使え!」


 そこにあったのは人型重機。

 たぶん……分類的に重機?

 警察の人型重機だった。

 ただしピンクカラーで海賊の旗が描かれていた。

 人型戦闘機と比べて半分以下のサイズ。

 軍用よりパワーが弱く宇宙には対応してないが、おおむね強い。

 関節が弱くて乗り潰すはめになるのが弱点である。


「あざっす!」


 警察機に乗り込む。

 一度運転したから起動は問題ない。

 発進する。

 武器はジャギュレイター。

 あ、本当だ。

 そうか! こいつは人型重機の拳銃、もしくはサブマシンガンか!

 ロケットランチャーじゃなかったのだ!

 さすがに表通りは重機じゃ進めない。

 裏通りを進んでいく。

 さすがに人っ子一人いな……いたわ。

 どこでもいるな。逃げ遅れたヤツ。


「表通りに行けば兵士がいますよ~」


 呼びかけると手を振ってくれた。

 進んでいくと視界の隅に高速で移動する物体が見えた。

 俺を見かけるなりいきなり襲いかかってくる。公爵だ!


「ギシャアアアアアアアアアアアッ!!!」


 やつは飛びかかってきた。

 さすがに装甲あるしっと油断しまくった考えが浮かんだ。

 でもそれは次の瞬間否定される。

 メリッとなにかが装甲を貫いた。

 肋骨だ!

 俺は片手で払う。

 公爵は俺の手に一瞬ぶち当たったが、手の平を蹴って難を逃れた。

 もちろん着地を狙ってジャギュレイターを撃つ。

 敵は真っ二つになって動かなくなった。

 やっぱこの武器人混みで使ったらダメだわ。

 にしても脅威度は低い……いやこの考えはダメだ。

 毎度おなじみのカニですら脅威度は高い。

 いきなり変身するのだ。

 とんでもなく危険だ。

 そう、普通の兵士は手こずってる。

 そのせいでなぜかどんどん奥に行くはめになってるような……。

 リリィも余裕あったし……でも奥に行くはめになってる……。

 もしかして……陽動か?


「妖精さん! 嫁ちゃんは?」


「え? なぜか激しく移動してる! 通話も繋がらない!」


「陽動だ! 嫁の戦艦がターゲットだ!」


 俺は反転して宇宙港へ向かう。

 嫁ちゃん……無事でいてくれよ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >【公爵】見て固まってるようだ。 公爵を [一言] 凄いな、危機から脱して反撃からの快進撃。ヒャッハー! とはならずに陽動と看破してみせるのかよ。とんでもない戦術眼だな
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