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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第百十七話

 窓を割って出てきたのは元公爵だったもの。

 身体の中から裂けて爬虫類みたいな皮膚が見えていた。

 俺たちはカトラスを構えていた。

 これ効果あるのかな?

 斬ってみねえとわからねえわ。

 伯爵の頭が割れた。

 あ、嫌な予感。

 四つに割れた頭の中には牙が!

 これクリーチャーなやつ!!!

 カパッと開いた頭が襲ってくる。


「見た目がいやあああああああああッ!!!」


 と叫びながらその開いた頭をカトラスで突く。


「うるせええええええええええッ!!!」


 ヒューマさんが横から首を突き刺した。

 敵は俺とヒューマさんの攻撃にひるまなかった。

 牙だからけの口が俺へと迫る。


「ふんが!!!」


 そんなアホな攻撃で俺が死ぬはずもない。

 思いっきり顔を蹴り上げた。

 運良く牙はかすらなかった。

 戦いにくい!!!


「ナイス!!!」


 ヒューマさんが後頭部から首に斬りつける。

 俺も前から挟むように斬りつけた。

 硬ッ!!!


「レオ! 気合入れろ!!!」


「おらあああああああああああッ!!!」


 ふんが!!!

 刃を切り抜くとゴロンッと首が落ちた。

 ……ふう。


「なんかおかしい……」


 確信もクソもなかった。

 なにがおかしい?

 ……血が出てない!

 言語化できるようになったのと同時に俺は胸を突き刺した。

 刃を横にして肋骨の隙間から肺を狙う。

 突き刺した瞬間、ガツッと音がした。

 ガパッと胸が開き鋭い肋骨が牙のように俺を挟もうとしてきた。


「ヒューマさん! まだ生きてる!!!」


「了解!!!」


 ヒューマさんが後ろから斬りつけた。

 背骨に当たった瞬間、びくんっと敵の体が跳ねた。


「ギシャアアアアアアアアアアアッ!!!」


 背中に急所がむき出しだったのだ。

 そりゃそうか。

 内臓を空にして口にしたら、他の臓器どこにやるんだよって話だ。


「もう逃げてえ……」


 人間の体をもてあそびすぎだ。

 ゾークは最初から人間を統治する気なんてない。

 駆除する気だからできる暴挙だ。


「大尉が逃げたらみんな死にますぜ」


 俺がいるとバフがかかるからな。

 戦争って局面でみるとジェスターは外せない存在なのな!


「それにしても今までジェスターなんて超能力者にあったことねえですよ」


「そりゃねー。能力がわかりにくすぎるからねー」


 能力が危機察知なんかの支援系なのにゴリゴリの前衛職だもんな。

 兵士でもやらなきゃわからない。

 逆に兵士やってたら有用性がよくわかる。

 あとは殺し屋とか、海賊とか……。

 海賊は覚醒する前に死ぬか。

 俺もそろそろ賢者になってもいいと思うのよ。

 なんかクラスチェンジしたらすぐ死にそうな気がするけど。


「それより化け物死んだ?」


「ええ、動きませんね」


 と言いながらヒューマさんは端末のスキャナーで怪物をスキャンする。

 超音波とレントゲンかな?


「なにしてるの?」


「ええ、俺がいたころは新種の危険生物を見つけたら超音波とX線画像撮っておくことになってたんですよ」


「え? ……知らなかった」


「いや予算削減で獣医が整理解雇されましたんで今はその規則ないですよ。でも、うちの海賊領にはそのとき解雇された獣医がいるんですわ。なんで送信しとくっと」


 ヒューマさんが獣医に画像を送る。

 するとすぐにヒューマさんに通信が入る。

 そしたらグループチャットモードに招待してくれた。

 ほんとヒューマさん気が利くな……。


「おい、ヒューマ! こりゃなんだ!」


 白髪頭のおっさんが早口でまくし立てる。


「あー、先生。なんか異常ありました? つか異常しかねえですけど」


「異常だな。腎臓も消化器もねえ」


「あー……つまり?」


「そんなに長く生きられねえ」


「なんでそんなことを?」


「使い捨てにしてでも攻撃力を取った……のか?」


 悪意すらねえ。

 もうね、人間は家畜どころか害虫扱いである。


「大尉殿……気分悪いですね」


「ここまで害虫扱いされると笑うしかねえッスわ」


「このデータ軍に送るんだな!」


「おう、頼むぜ、ドク」


「よろしくッス!」


「お、おう、噂のレオ・カミシロ……けっこう軽い性格なんだな……」


「これでも大尉は深く考えてるっぽいみたいだぞ」


 いえ……ヒューマさん……残念ですが勘とフィーリング頼りで生きてます……。

 なんにも考えてません。

 というかなるべく思考停止するように心がけてます。

 この状況でいちいち考えたらやってられません。

 というわけでデータを送信してくれた。

 とりあえず背中が弱点でそもそも放っておけば死ぬのはわかった。

 ケビンあたりはまだ笑える事態だったんだなー……。

 本人からしたら殺すぞって思うだろうけど。

 もちろん殺されかけた俺は許さない。

 ゾークはぶち殺す。

 私怨でぶち殺す。

 俺は根に持つタイプである。

 そのまま区画の出口を目指す。

 さきほど別の公爵がいた部屋を見る。

 ……いねえ。


「ヒューマさん公爵いねえっすね……」


「大尉……俺でもわかりますわ。嫌な予感しかしねえ……」


 ……逃げたい。

 でも背中見せたやつから死ぬ場面だわ。


「警戒しながら行きましょう……幸いカトラスで斬れるみたいですし」


「ジャギュレイターはどうっすか?」


「問題なしです。同士討ちだけは勘弁してくださいね」


「へーい」


 俺は集中する。

 するとかすかな呼吸音が聞こえてくる。

 苦しそうな声だ。

 ああ、お前……もう、死ぬのか。


「来る」


 俺はそうつぶやくとジャギュレイターを上に向けた。

 天井を破って化け物が落ちてきた。

 俺は狙っていた。

 ジャギュレイターの威力ならどこを狙ったっていい。

 俺は体の中心を狙って撃つ。

 発射された丸ノコが上半身と下半身を切断した。

 背中の弱点、残った臓器も同時に破壊した。


「ギシャ……」


 小さく悲鳴を上げて公爵だった化け物は死んだ。


「大尉殿……あんた化け物ですね」


「そうでもねえっすよ。世の中には上には上がいます」


 もし賢者にクラスチェンジしたジェスターがいればそっちの方が強い。

 それに終盤のエッジ、数年後の彼には火力で勝てる気がしない。

 とにかく今回のミッションを終わらせて前線をエッジに押しつける。

 そしたら嫁ちゃんやメリッサ、レンといちゃいちゃするのだ!!!

 わかるな!

 もう命のやりとりなどしない!

 ……まずは生き残らないとね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 引退はエッジ君の育成状況次第なので。 てか嫁ちゃんが許してくれなさそう、あと主人公活躍し過ぎて「変な影響出てる」or「エッジすでにゾーク」の可能性もあるからなぁ…
[一言] >もう命のやりとりなどしない! 逃がさん・・・ お前だけは・・・
[良い点] 一抹の不安は残りつつもある程度安心して見れるホラーですね…。希少価値ですね。(こわごわ)
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