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第5話 転生転生

157回目



ある円形闘技場で。








 僕はたった今、前世の記憶を思い出した。


 


 はぁ、でもなんで今思い出しちゃうかな。



何度も何度も転生を繰り返してきた経験から言って、僕はもう少しで死ぬんだろう。


157回も転生を繰り返して、色々わかったことがある。

転生をすると大体30歳くらいまでに前世の記憶を取り戻す。そして、記憶を取り戻すと何かしらの要因で必ずすぐに死ぬ。

それは獣に殺されたり、人間に殺されたり、火事で燃えたり、岩が落ちてきたり、本当にさまざまな死因で死ぬのだ。

死ぬとまた弾かれるような感覚と共に転生する。


転生先が同じ世界であったことはない。

いや、同じ世界かもしれないが、少なくとも同じ惑星ではない。

と言うより惑星でない世界もあった。


157回目の今回も頭痛の中、記憶を取り戻した。



 


 僕は今13歳。奴隷だ。


目の前には気持ちの悪い猛獣。闘技場は観客の熱狂の渦に包まれている。


そう、僕は戦わされているのだ。

戦わされていると言うより、処刑に近いかもしれない。13歳の体ではこの猛獣には勝てない。


記憶を取り戻したということは、多分こいつに殺されるんだろう。




 猛獣は乗用車くらいの大きさで、強いて言うならリスみたいな見た目をしている。だがリスのような可愛らしさはこれっぽっちもない。2本の小さな角を持っていて、体全体から粘液を分泌している。よだれがダラダラと垂れた口元からは、薄黄色の鋭い牙が顔をだしている。




 本能的に助けを求めようとして、周りを見ると、これまた気持ちの悪い目で沢山の人々が僕のことを見下ろしていた。


 今まで転生してきた中で一番最悪かもな。


 生まれた時から見世物にされるため飼われ、汚い場所に置かれる。それも全部、今この場にいる僕以外の人間のため。


 周囲では猛獣が現れてから、ずっと歓声が上がっていて、その声に押されるかのようにジリジリと猛獣が近づいてくる。




 これはもう死んだな…………。


もうすぐ死ぬことはわかっているため、諦めの感情しか湧かない。

今まで何度もしに抗おうとしてきた。

しかし、すぐに必ず死は訪れる。まるで世界が僕を嫌っているかのように。



 猛獣が近づいてくるにつれ、猛獣に向けられた声援も大きくなっていく。そしてその声援がまた猛獣の足を速めているような気がする。




 「早く殺れーー!!」




 「頭をかみ砕けーーーー!!!」




 周りが一層騒がしくなる。




うるさい。


本当にうるさい。


なんでこんな腐った人間ばかりなのだろうか。


一体僕が何をしたっていうんだ。


死にたくはない。死にたくはないが、死んでしまう。



抗えない転生を何度もしてきて気付いたのだが、命の価値は平等だ。人も獣も。



平等な命だからこそ、今回の人生にもきっと意味があったはずだ。

意味がないことはわかっていても、心ではあきらめていても、なぜか体は生きるために必死になる。


僕は切れ味がないにも等しい剣を片手に、猛獣を睨みつけた。


 「やあぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」


 頭を一噛み。




死にたくない。死なせてくれ。


 


 ―――――――弾かれた。









5987回目





 俺は今ものすごい悔しい。


 14歳になって初めて人を好きになった。


 だけど、その女の子には振られてしまった。




 「俺もギフトが分かればなぁ」




 『ギフト』それは神に与えられた力。この世界の人間は生まれた時から『ギフト』を所有している。『ギフト』の種類は無限ともいわれている。


 ・炎を手のひらから出す力


 ・金属を溶かす力


 ・瞬間移動


 ・透明化


 ・サイコキネシス


 このようにみんなが異なった能力をもっているのだ。  


 『ギフト』の力を使う方法はただ一つ。

どんな能力を使うか強く念じることだ。

自分で使おうと思わないと使えないし、『ギフト』の内容を調べる手段もないので、地道に、


「水よ出ろ!俺の本、目の前にいでよ!高くジャンプ!!見えざる刃!!!はぁ……」


こんな風に、能力を使おうと思いながら色んなことを試していくしかない。


 一生『ギフト』を使えずに死ぬ人もたくさんいる。




 俺も『ギフト』が使えればなぁ。あの娘を振り向かせることができたかもしれないのに……。


 まぁ、地道にやっていくか。


 「コンビニいってジュース買ってこよーっと」








 あの猫かわいーなー。




 俺は家からコンビ二までの道の途中にある、ペットショップに目をやった。

猫いいよなー。飼いたいなー。でもお母さんダメっていうだろうし。まぁ、仕方ないか。

俺はペットショップから目を離し、再びコンビニへと足を進めた。


 しばらく歩いていると後ろから黄色い声が聞こえてきた。すぐ後ろにカップルが歩いている。


 さっきからイチャイチャしやがって。


 つい最近失恋したこっちの身になってくれよ。



 「ほら見ててよー。よっと、はい、君のためだけに出した宝石だよー」


 「わ~、すご~い。キレーだねー」



 すぐ後ろを歩いているカップルの彼氏のほう。会話から察するに、宝石をだすことのできる『ギフト』を持っているんだろう。

 なにか条件があるのかもしれないが、()()()の『ギフト』だ。



 「やっぱりユートはすごいねー。

 ユートの彼氏で本当によかったよ!」


女の方が男の頬にキスをする。


 「こんな場所で、恥ずかしいなぁ~」


男は鼻の下を伸ばしながら、女の頬をつついた。




うわぁ、間近で聞いてるこっちが一番恥ずかしいわ。


すぐ前に人いるだろ!ほんとに場所を考えろ!


最近頭痛もひどいし、イライラさせるなよ。


もし、俺に人を爆発させる能力があったら、リア充爆発しろって言って、爆発させてやれるのに。


まぁ、あってもしないけど!というかできん!


肝心なとこで踏みとどまってしまうのが俺の悪いところだ。

もし俺が二重人格で、もう一つの人格の方がこいつらをやってくれればなぁ。


 「俺に眠りし闇よ。もう一人の僕よ。その有り余る力をもって、後ろの二人をどうにかしてくれ」


 少し経って後ろを見てみたが、何も起こらない。ただ、俺のことをぎょっとした目で見ていた。


 


 何も起こらない。 

 まぁ、だよな。起こるわけがないし、起きたら起きたで困る。

 もし、本当にそんな『ギフト』が俺にあったら、二人を殺していたかもし−––−−。


 「…………コロス」




 

突然意識がなくなったのは覚えている。

次目の前が明るくなった時、そこには血が広がっていた。









 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 「『ギフト』の不正使用および、殺人の罪により、被告人を死刑とする」


死刑が決まった。

『ギフト』を使用しての犯罪は、使用していない罪よりも数倍重くなる。

神への冒涜だといわれ、死刑になることも多い。


 「いって…!!」


 鋭い痛みが頭を走る。



 ……はぁ。

 ……思い出した。





 死刑が執行された。





 ――――――――弾かれた。

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