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word35 「昔見たAV 巨乳のやつ」①

 はあ。来週からテストだっけ。勉強しないとまずいなあ。でもなんだか、やる気が出ない……。


 週末の休みの日、僕は朝いつも通りの時間に起きた。7時前だったから、休みであればかなりの早起きである。しかし、ただ早起きしただけで全く活かせていなかった。三文どころか一文の徳にもなっていない。


 筋トレもしなきゃ。ボイトレもしなきゃ。せっかく高いお金出して買ったんだし、ギターの練習もしなきゃ。というかやりたい。でもなんだか、体が重いのだ……。


 顔を洗って朝飯を食べて、またベッドに寝転んだ。そこからは、ただベッドで寝ころんでいるだけ。これといって何もせずスマホで動画を見たり、ソシャゲをしたり。二度寝すらもしていなかった。


 とにかくぼーっと寝転んで、3時間くらい……。


 とにかくやる気がでなかったのだ。体中から気力が抜け落ちていた。その理由も原因もない。たまにあるそういう日だ。1ヵ月に1回くらいある、訳は無いけど体に力が入らない休みの日。


 やる気も体力も無くて、予定も約束もない。あるのは多少の性欲だけ。


 だけど、そっちのほうもやる気が無くて、処理するほどではない。本当にどうしようもない日だった。


 仰向けの状態でスマホ画面の動画を見ていると、頭上に構えたスマホが手から落ちてしまって、僕の顔面に直撃する。素早く首を動かしたけど避けることは叶わなかった。


 枕元に落ちたスマホから好きな芸人の声がする。漫才の動画を見ていて、ちょうどオチに近づいてきたところだったのに、拾い上げるのもめんどくさかった。


「ああああ……」


 汚い声を出した僕は目を閉じた。二度寝の時期も過ぎてしまった気がするけど、やっぱりもう1度寝ようか。また時間を無駄にするが1時間くらい寝て起きたらやる気が出るかもしれない。


 あくびをしながら、ベッドの中で手足を目一杯伸ばす。そうすると、良い具合にリラックスした状態になれて、寝られそうだと僕は思った。


 しかし、そんな時に僕の下半身でもぞもぞと動くものがあった。


「ええ……今立つの……」


 あまりのタイミングの悪さに僕はツッコんでしまう。さっきまでは妙におとなしかったのに、頭をからっぽにしようとした瞬間に元気100倍。ポジションを変えてやらないと痛いくらいに。


 こいつにはこういうところがある。自分の体の一部なのに自分の意志とは関係なく動く。朝起きた時にMAXになっていたりするのだから訳が分からない。


 だいたいさっきからのやる気のなさはこいつのせいでもある。ムラムラしているようなしてないような状態って集中力がなくなるのだ。どうも他のことへ気が散ってしまう。


 今も寝づらくなったし、うっとうしいと思うのなら出してスッキリすればいい。ゼロにできる。気分じゃなくても無理やりにやってしまえばいい。


 だけど、何にムラムラしてるのかも僕は分からないのだった。


「はあ……」


 溜め息を吐いて、僕は再びスマホを起動した。献立を決めるためだ。

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