表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/217

word34 「軽音楽部 部員一覧」②

 軽音楽部に入るのであれば、当然楽器を始めることが必要不可欠である。


 ボーカルしか志望しませんとかも、ありだったりするのかもしれないけど、うちの高校の軽音楽部にはとんでもない歌唱力の子がいるし、僕に手ぶらで軽音楽部に入っていけるほど自慢の喉はないので、何か楽器を購入して練習することも入部の条件になる。


 さてどうするか、何の楽器にするか。


 考えながら「軽音楽部 部員一覧」の結果を見て、想像と全く違わなかった名前の列は1分と経たず閉じられた。


 やはりあいつあいつとあの人と……後は1年生が数人か。


 普通に考えたらまあギター安定だと思う。軽音楽部と言えば1番最初に浮かんでくるのはギターかベースを持っている人だし、ドラムとかキーボードよりは始めやすくて購入もしやすい気がする。


 でも、ドラムとかキーボードもなくはない。演奏している姿を想像するとかっこいいし、珍しい楽器のほうが目立てるんじゃないだろうか。今の僕には資金もあるし。


 僕の財布には今ちょうど15万円もの大金があった。理由は先週末も父が競馬をやっていたからだ。競馬で勝つ馬を検索して父に賭けてもらうことに味を占めた僕はもう1度作戦を実行した。


 前回とは違って父が賭けたレース全てに僕も賭けて、なんと儲けたお金は30万近く。さすがに全てを僕の財布に入れてもらうことはできなかったけど、僕にとっては金銭感覚が狂いそうな15万円という額を所持することには成功した。


 これだけあればどんな楽器でもいけるはず。良い服やゲーム機を何個も買える値段だ。かっこいいデザインのものも選べるんじゃないだろうか。


「まあでも……ギターかな……」


 色々と頭の中で考えたけれど、僕はとりあえずそう決めて普通のスマホでどんなものがあるか、どのくらいの額で買えるかを調べ始めた。


「ギター 初心者 購入」


 検索欄にギターと入力するとサジェストに頼ってこう検索する。


 ギターについての知識がほぼ0だった僕のギター購入への検索は、まずギターにどんな種類があるのかということを知るところから始まった。


「アコースティックギターと……エレキギター……ヘー……」


 そういったところの説明も1通り書いてくれているサイトを見つけた僕は目を細め、真剣に読んでいった。


 弦の違いがどうだとか、初心者におすすめの値段はこのくらいだとか読んでいくとギター購入が現実に近づいてきて、何だかもう弾けそうな気がしてきた。思い通り音が出せたらと思うと、面白くもなってくる。


 添えられている画像もカッコよくて、黒と白のデザインのギターが今部屋にあったらと想像すると、部屋のコーディネートレベルが上がると感じる。


 それ自体が目標ではないけど、きっと上手く弾けた方がかっこいいと思ってもらえるだろうからモチベーションはすこぶる高かった。


「あ、エレキギターってヘッドホンで練習できるのか……」


 これが決め手となった。僕は楽器を演奏するとなると、外に音を出さなきゃいけなくて、少なくとも家族には拙い演奏が聞かれると思っていたのだけれど、エレキギターであればイヤホンやヘッドホンに出力して自分だけが音を聞ける。


 ボイトレみたいに布団の中に潜ってやんのかと考えていたのに、その必要が無い。僕はエレキギターを買うことにした。


「好き放題弾けるじゃん……ええ、楽しそう」


 その気になってきた僕。ちらりと時計を見ると、まだ17時にもなっていなかった。秒針が時を刻む音が良く聞こえる部屋の窓から、外を見ると明るい夕焼けも見える。


 こういうのはきっと勢いが大事だ。思い立ったが吉日――。


 僕は急いで着替えを終えると、財布とスマホだけ持って外へ出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ