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word6 「地球 終わる日」

 初めは漫画雑誌に付いていた懸賞の応募から始まった。


 ふと色んな商品が並べられた1ページが目に留まった時、これは良いものがあったと思ったのだ。


 黒いパソコンで検索すると、ハガキを出すタイミングと入れるポストから一言コメントの内容まで細かく指示があった……。


 それからというもの僕は懸賞というものにハマることになった。これなら高校生でもタダでギャンブルじみたことができる。


 それに気付いたらこれこそが正解だと思った。SNS何かでやっているワンタップで応募可能なちょっとした懸賞なんかも探してみれば種類はいくらでもあった。


 その次は前に思い付いたソシャゲのガチャでもずっと欲しかったキャラクターを手に入れたし、高校の授業で出されためんどくさい課題の答案を教えてもらうこともあった。


 ノートへ黒いパソコンで検索したいワードリストを書き込むと、目に付いたものから特に選ぶことなくキーボードで入力していった。1日1回、時間帯も特に決めずにバラバラで。


 定期テストの答えを全部教えてもらおうかとも考えている。けれど自慢じゃないが僕は勉強が苦手ではないし、そこまでやるかは……。まあそれはまたその時が来たら悩もう。時間はある……。


 小さなギャンブルや小さな気になることは生きているとたくさん見つかった。漫画やドラマの次の展開とか、いつからか失くしてしまってずっと見つかっていない探し物。芸能界の裏事情なんかも。


 そういった小さな幸せを得て、小さな好奇心を満たす生活の中で当然大きなことも検索する――。そんな生活が続いた――。



 僕はある日の夜に、新しく買った音楽プレイヤーでお気に入りの歌手の音楽を聞きながら、新しく買ったクッションを抱いて、新しく始めたソシャゲをプレイしていた。全てすぐに結果が出るタイプの懸賞で当てた商品券で買ったものだ。


 僕はちょっぴりお金持ちになっていた。まだまだ本当にちょっぴりだけど、前から買いたかったものは買えた。


 その内、好きなお菓子がダンボールで1箱やら好きな芸能人のサインなんかも届く予定である。


 僕は充実していく生活の中で全てを手に入れられる気でいた。というか、実際手に入れられるはずだ。


 鼻くそをほじりながら、屁をかます。僕はこの世の裏の王になってしまったのかもしれない。そんな気分で。


 ふと窓から見た夜空では満月が見たことないくらいに輝いていた。その月を見てぼんやりと思う。この時間はいつまで続くのだろうか。


 生きていく中で何度か疑問に思ったことがある。けれど知れるはずが無いから諦めていることの1つ。こんな平和な空気はいつまで地球にあるのだろうか。


 それを考えると、心が透明になっていくというか……達観した気分になる……。誰にでもそういうことってあるんじゃないだろうか。


 綺麗な月を見たりしてふと思うのだ。


 今日はまだ何も検索していない。だから何を検索するか迷っていた。


 もう日を跨ぐまで時間が無かったし、僕は思い立ったら気分に任せてすぐに行動した。


「地球 終わる日」


 僕は黒いパソコンにその答えを問うた。


「地球が宇宙から消える日は、19万年201日後。地球上の人間が0人になる日は――」


 僕は黒いパソコンの画面を見て、ただ口をだらしなく開く。


 遠い……だけど、そんなに遠くもないんだな……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 19万年後って天文学的スケールでみたらすぐそこまで来てる話ですね 宇宙から消えるってことは隕石程度の事件じゃなさそうだし、何が起きるんでしょう やっぱり銀河ハイウェイ敷設の邪魔になって消さ…
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