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番外編5 「幼なじみ 死姦」①

 俺はある朝目覚めると、パソコンの電源ボタンを押した。


 電源を点けたのではない。切ったのだ。


 ベッドの上、枕元で点けっぱなしのまま眠ってしまっていたノートパソコンの電源を……少々乱暴に切った。


 画面からのライトが眩しく感じたのである――。


 そして、またすぐに目を閉じた――。



 ――二度寝から目覚めると、もう昼と呼べる時間になっていた。


 締め切ったカーテン越しからでも明るい光が部屋に入ってきている。6月初旬の気候が室内の気温を上げていて、じんわりと寝汗をかいていた。もう夏になる季節が、28度に設定されたクーラーを見事に突破している。


 体を起こすとまずは……丸めたティッシュ達、チューハイの500ml缶が2つと、弁当の空き箱、寝る前に散らかした物を片付けていった。投げられる物は、ゴミ箱に投げ捨てた。


 いくつかは外れて、床に落ちたけれど、拾うのが面倒なのでそのままにした。これを何度か繰り返した結果、床に溜まったゴミ達が、いつからか俺が住むマンションの部屋の足場を奪っている。


 壁に肩をぶつけながらトイレへ向かった。いつも通り開けっ放しのドアを通り抜けて用を足す。そうしながら、ここもさすがにそろそろ掃除しなければとぼんやり思う……。


 あくびが出たので、またベッドに寝転ぶ。たぶん二度寝と合わせて合計10時間くらいは寝たと思うのだけど、まだ眠い。寝すぎて眠いというやつだ。昨日飲んだ酒も、まだ抜けていない。その気になれば、さらに明日まで眠っていられそうだった。


 だけど、どうしようか……寝てもいいんだけど、やりたいゲームや見たい映画があるし……それに……。


 少しだけ考えて、あることを決めた俺は、眠気を断ち切り体を反転させて、うつ伏せの状態で肘をついた。そしてまたあくびをしながら、となりにあるパソコンの電源を入れる。


 ――今日は平日だった。水曜日、1週間の半ばである。祝日でも無ければ……特別な事情があって休んでいるという訳でもない。にもかかわらず、俺は今日という日をベッドの上でダラダラと過ごす。


 昨日もそうだった。同じ姿勢のままパソコンを操作し続けて……腹が減ったら飯を食い、眠くなったら寝た。まだ決めていないけど、きっと明日もそうやって過ごすと思う。


 今年の春のことである。俺は通う大学で留年してしまった。3回生から4回生になれなかったのだ。たった1個、必修の科目を落としただけなのに。


 だから、俺は今3回生をもう1度やっているという状態にある。たった1つの科目を受け直すために1年を使っている。他にやることは全くない。つまり、時間は山ほどにある。


 毎日が予定すっからかんの休日、パラダイスである。おかげで、俺は留年してしまったことをあまりネガティブに考えていなかった。留年が決定してしまった瞬間はショックだったけれど、数日よく考えてみれば、俺の人生にとってそんなにダメージは無いことに気づいた。


 何しろ俺は医学部だし、将来は医者だ。偏差値の高い超エリート。医学部の留年なんて大して珍しくもないし、先輩にも同級生にも知り合いに留年してる奴はいる。精神的なダメージは大したものではない。気にする必要なんてない。


 お金の問題にしたってそうだ。1つの必修科目の為に払わなければならない多額の授業料だって、働き始めればすぐに取り返せる。なんなら返さなくたって、現役の医者で金持ちの親が気前よく払ってくれたものだ。これも気にしなくていい。


 極端に考えれば俺は1年ダラダラする権利を手に入れたと言っていいであろう。長い人生どこかで立ち止まったり、回り道をするのも悪くない。よく聞く言葉だ。


 ……そういう訳で俺は、興味がある選択の専門科目1つの講義がある日以外が休みという日々を2カ月半ほど送っていた。取り逃した必修科目は後期の授業日程にある。


 驚きの週休6日、そのうちやろうと思っているバイトも始めずに……親からの仕送りに甘える、1人暮らしのほぼニート生活……。


 自由な俺は今日も朝から、パンツを脱いだ。こういうことも時間と回数を選ばずに行える。股間に手を伸ばし自らの竿を握る。


 そして、起動したパソコンの画面に女の死体を映すのだ――。

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― 新着の感想 ―
[一言] 番外編総じてやばすぎィ!!
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