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第66話 おっさん、ざまぁの開始する

 探索者免許の教習所で教わる事は法令とダンジョンの知識と銃の撃ち方だった。

 ダンジョンレコーダーについて分かった事がある。

 頭に装着され、毛髪と見分けがつかないようになっている。

 ダンジョン内の映像はもれなく記録される。

 ダンジョンから出ても銃声がすると自動的にスイッチが入るとの事。

 カメラを故意に隠すと犯罪をしたのを認めるのと同じ事らしい。

 これなら確かに銃を使った犯罪は無理だな。


 俺はなんとか探索免許証を獲得する事ができた。

 低階層でしか銃が効かない理由も分かった。

 やはり魔力壁の仕業だ。

 魔法やスキルはなぜ魔力壁があっても効果があるのかというと、魔法やスキルがまとっている魔力が魔力壁を相殺するらしい。


 近接武器も魔力が乗るようだ。

 レベルが高い者の攻撃ほど通用する。

 投てき武器も魔力が乗るが、すぐに魔力が抜けるようだ。

 魔力が入る量は体積に比例するとなっている。

 銃が役に立たないのも弾の体積が小さいからだ。

 最近の学説ではそうなっている。


  ◆◆◆


「遅くなった。あの時はありがとよ」


 救出の時の借金を返しに行ったのだ。


「いいって。儲かったしな」

「俺も冒険者になった」

「復讐を考えているなら辞めたほうが良い。たぶん奴ら財力に物を言わせて闇冒険者を沢山雇っているぞ」

「やられっぱなしってのは性に合わないんでね」

「そうか。気をつけろよ。救った人間が死ぬのは気分が悪い」

「ああ、大丈夫だ。相棒もいるしな」


 さあ、ダンジョンを制覇するぞ。

 俺は山田ダンジョンに足を踏み入れた。

 今日はお試しだ。

 レベルが5もあると1階層は楽勝だ。

 拳銃でもやってみたが、メイスでも楽勝だった。


 楽勝だったので油断していたのだろう。

 通路を歩いていた時、床が突然開いた。

 なにっ、トラップは踏んでないはずだ。

 トラップが閉まる前に人影がちらっと見えた。

 落とされたんだな。

 だが、想定内だ。

 異世界で一回落とされたからな。

 救助用エアマットは高いのを買ってアイテムボックスに入れてある。


収納箱(アイテムボックス)


 エアマットが射出され、ぼすっという音と共に無傷で床に到着した。

 やっぱりなボス部屋の前か。

 前よりは状況は良い。

 エリクサーはたんまりあるし、身代わり人形も10個ある。

 問題は攻撃力だ。

 ベンケイを呼び出してもボスには敵わないだろう。

 だがな、異世界をなめてもらっては困る。

 異世界で現代製品が無双したように、地球では異世界の物が活躍するだろう。


 魔力通販で分かった事がある。

 買えるのは俺が異世界で扱った事のある品物だけだ

 魔法のスキルオーブは一通り物色したから問題なく買える。

 ドロップ品もかなりの種類扱ったから、心強い事この上ない。


 俺は思い切ってボス部屋の扉を開けた。

 召喚されたのは4メートルほどの熊だった。


召喚(サモン)ベンケイ」


 尻尾を振りながらベンケイが現れた。


「熊をけん制してくれ」

「わん」


 ベンケイは俺と熊の間に立って盛んに吠えた。


 今のうちだ。

 俺は合成魔石を握り締めスキルを発動した。


魔力通販(メールオーダー)


 ぽとりと落ちる小瓶。

 これが何かというと異世界でもっとも使われている糊。

 これを使って何をするかと言えば錘をつけて投げつけるだ。


 瓶は熊のモンスターに当たり砕けてその中身をぶちまけた。

 狂ったように体を床にこすりつける熊のモンスター。

 やっぱりな。

 これ物凄くかゆい。

 ところが異世界人と異世界のモンスターはこれを体につけても何にも起こらない。

 ウルシにかぶれる人とそうでない人がいるというがその強力版だと思っている。


「ベンケイ。もういいぞ」


 地球のモンスターは毒に強い。

 特に農薬に強い。

 自然の怒りに触れたのだという学者もいる。

 だから止めはこれだ。

 スライム溶解液。

 鉱物も溶かすというスライムの溶解液だ。


 俺はそれを熊に振りかけた。

 そして、魔力を放射する。

 スライム溶解液はポーションと同じで魔力がないと完成しない。

 手をかざすと、みるみるうちに溶ける熊。

 実はこの液も異世界では役に立たない。

 スライムに対する耐性を人間とモンスターは獲得しているのだ。

 全く溶かされない訳ではないが、死ぬのはかなり時間がかかる。

 耐性のないこの世界の熊モンスターは見ての通りだ。


 魔石を残して熊は消え去った。

 ドロップ品のポーションが出た。

 色から察するにエリクサーだろう。

 やはりここは最下層だろうな。

 扉をくぐるとダンジョンコアがあった。


 よし、魔力吸い取っちゃうぞ。

 魔道具を組み立て、コアの魔力を吸い取り、異世界産の品物を買い漁った。


「ステータス」


――――――――――――――

名前:山田 無二 LV86

魔力:500/8600


スキル:

収納箱

魔力通販

次元移動

魔力壁

召喚魔法

――――――――――――――


 よし、大幅レベルアップだ。

 次元移動を出来るほどじゃないが、これで殺し屋とタイマン張っても生き残れるぞ。

 目標を一つ達成した。

 急いで地上に帰ると山田ダンジョンを経営している会社の株を空売りしまくる。

 金は魔力回路を買ってもらった会社に新しい魔力回路を担保に融通してもらった。

 やったぜ、大儲けだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 絶縁されたとはいえ、身内の会社の株式を空売りして大儲けをしたから、絶縁は空売りのための偽装工作ではないかとか、ダンジョンが使用不能とかダンジョンの寿命が尽きる事を知っていてインサイダー取引染…
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