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第60話 おっさん、救助される

「生きてるかあ」

「早くモンスターを」


 男が拳銃でモンスターを撃ち殺した。


「お前、恨みを買ったのか」

「俺にはなんの事だか。子供のころは一生懸命、可愛がったのに」

「クサビだよ。扉を固定してあったのは。そうするとダンジョンがクサビを分解するまで出られない。冒険者が私刑をする時に使う手口だ」

「こんな回りくどい事をしなくても。ダンジョンの中で撃ち殺せただろうに」

「なんにも知らないんだな。冒険者は絶対外れないダンジョンレコーダーを付けられる。それの映像はサーバーに送られて管理されてる。殺人などしようものなら、刑務所行きだ」


「とにかく助かった。感謝するよ」

「じゃあ、救助料金100万円な」

「持ってないんだが」

「ツケにしておいてやるよ。ダンジョンレコーダーに救助の様子は映っているから、踏み倒しはできないぞ」

「負からないか」

「相場だよ。相場」


 くそう、もってけ泥棒。

 ダンジョンレコーダーか、便利な物があるな。

 通りで銃火器の使用が許されているはずだ。

 ダンジョン内の犯罪は証拠が残ると、覚えておこう。


 救助してくれたパーティと地上を目指す。


「甥を殺人未遂で訴えたいんだが」

「やめておいた方がいいな。証拠がない」

「クサビがあるじゃないか」

「あれか。捨てちまった」

「なんでだよ」

「誰がクサビを設置したか分からないからだ」

「ダンジョンレコーダーに記録されているはず」

「こういう事をする時は本人は手を下さないで、闇冒険者がやるのが普通だ」

「でも2階層に行く時に検問があったけど、闇冒険者はどうやってすり抜けているんだ」

「噂では認識阻害のスキルだとか」


「状況は黒でも裁判で負けるか」

「そうだな。ところでどういう恨みなんだ」


「分からん」

「お前、名前は?」

「山田無二」

「ああ、分かったぞ。利権だな。山田ダンジョンの関係だろう」

「山田ダンジョン?」

「ニュースを見て無いのか。2年前、山田高時氏が所有している山林にダンジョンが出来たそうだ」

「親父の名前だ」

「そうだろ、俺の勘はよく当たる」


「凄い資産なのか」

「そうだな数千億ぐらいにはなるかもな」

「うわ、何でそんなに高い」

「入場料の上がりでも凄いのに、魔石買取所でいくら儲けているのやら。それに、周りの店の利権全てだ」


 永遠に魔石を吐き出し続ける鉱山だからな。


「納得だ」


 ダンジョンの入り口で借金の証書を書く。

 男に渡すとにかっと笑いまいどおおきにと言った。


 ダンジョンの施設であるロッカールームでプロテクターを外し着替える。

 急がないと。

 俺が生きている事が分かると今度こそピストルで虎時(とらとき)が殺しにくるかも知れん。

 俺は辺りを見回して尾行が付いていないか確認した。

 見回すと通行人全てが怪しく思える。

 駄目だ。

 俺の能力では分からない。

 ふと、1枚のチラシの事を思い出した。

 確か暖かい家だったな。

 ホームレスの支援をしている。


 俺はそこに駆け込んだ。


「はぁはぁ、尾行がいないか調べてくれ」

「ホームレスの方ですか」

「ああ、そうだ。チラシを見てここに来た。借金取りに追われている。殺しも厭わない危ない連中だ」

「破産されたのですね。エレベーターで地下まで降りると裏口から出られます」

「ありがとう」

「今、私がそっと調べてきます」


 暖かい家のメンバーの一人がそう言うとドアを開けて出て行った。

 しばらくして。


「見張られてますね。幸い裏口は大丈夫なようです」

「すいません。後でお礼を持って伺います」

「気にしないでいいのですよ。破産したりして危ない目に会う人はたまにいらっしゃいます」

「では」


 俺はエレベータに乗り地下のボタンを押した。

 地下はゴミ置き場になっていてすえた臭いが漂っている。

 アイテムボックスから服を出して着替える。

 階段を上がり地上に出ると裏口だった。

 なるべく早足にならないようにして、暖かい家がある雑居ビルから遠ざかった。


 状況は最悪だ。

 虎時(とらとき)と決別して一からスタートと行きたいが、借金を背負ってゼロどころかマイナスからのスタートになっちまった。

 また、ホームレスをするか。

 でも、一度それで見つかっている。


 ホームレスは駄目だ。

 他のホームレスは平気で他人の情報を売るだろう。


 ここまで来たら、開き直るべきだろう。

 護衛を雇うにも金がいるし、一人で引きこもるのにも金が要る。

 手始めに魔力通販で一攫千金だな。


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― 新着の感想 ―
なるほど。いずれ親父のダンジョンをコアの魔力全喰いして潰す訳だな。
[一言] 能力がレベルのせいで制限されてるから、厳しいですね。
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