第48話 おっさん、ダーク・ダンジョンの攻略完了
そして、俺達は朝一で解決策を話し合う。
「さて、どうしようか?」
「正攻法で攻めるのはどうやろか」
アルマの意見はもっともだが、せっかく考えた同士討ち戦法、無駄にしたくない。
「直接、ボールで殴ったらどう」
エリナのやり方だと俺にも塗料がつきそうだ。
「重り」
モニカが言葉すくなに意見を言う。
「そうだ、重りだ。良いアイデアだ。でかしたぞモニカ」
魔力壁を突破するにはボールの勢いが強くなれば良い。
魔力通販で鉛の板を買う。
これは昔、会社の同僚にAV機器の音を良くすると聞いて一緒に買った物だ。
ボールを鉛で包んで、再挑戦だ。
問題の6階層にポータルを使いやってきた。
やってきたのはDオーガナイト、Dオーガファイター、Dオーガマジシャン、Dオーガアサシンの集団。
ボールをDオーガマジシャンに投げる。
グシャという音を立ててボールは潰れ、Dオーガマジシャンには少しダメージが入り塗料が掛かる。
ぼぉーっとした灯りを放つDオーガマジシャンを三匹のDオーガが寄って集って攻撃する。
紙装甲のDオーガマジシャンは瞬く間に魔石になり、塗料もダンジョンに吸収され無くなった。
次にボールをぶつけたのはDオーガアサシンだ。
やはり紙装甲のDオーガアサシンは切り刻まれて魔石になった。
DオーガナイトにボールをぶつけるとDオーガナイトとDオーガファイターの争いになる。
最後に硬いDオーガナイトが生き残った。
バーサク状態のDオーガナイトにこっそり背後から近づきメイスで攻撃を加えた。
理性の無いモンスターなど恐れるのに至らない。
魔法の援護もあり、最後は剣をメイスで砕き止めを刺した。
戦えてるな。
6階層を突破し7階層では敵にDオーガランサーが、8階層では魔法と回復を使うDオーガビショップが、9階層では剣の技が凄いDオーガソードマスターが加わった。
いずれも同士討ち戦法の敵ではなかった。
10階層ではボス部屋しかなく、出てきたのは王冠を被ったDオーガキングだ。
Dオーガキングは召喚を行い。
色々な種類で構成されたDオーガの一パーティが現れた。
俺は鉛で包まれたボールを投げる。
同士討ち戦法はここでも有効で、俺達の魔法がチクチクと体力を削るのもあって効果を更に高める。
すぐに呼び出されたDオーガ達は消えていった。
「よし、Dオーガ祭り開催だ。Dオーガキングの魔力が尽きるまで繰り返すぞ」
「素晴らしい考えや」
「ちょっとかわいそうな気もするけど、しょうがないわね」
「暇」
「モニカには力を増幅するドロップ品を渡す。ボールを投げてみろ」
モニカはドロップ品を身につけ、詠唱を始めた。
「裁きの力よ体を駆け巡り仇なす敵を打つ筋力強化」
何だ今の呪文は、そうか体内電力を操作して一時的に筋力を上げるのか。
筋肉が電気の刺激で動くという話はしたけど、それだけで出来るとは。
新たに召喚されたDオーガ達にモニカは鉛のボールを投げる。
魔力壁を突破し塗料はDオーガに掛かった。
俺はサポートで良いな。
何回が召喚は行われ、Dオーガキングの魔力が尽きる前にこちらの魔力が尽きた。
俺はボールをDオーガキングにぶつける。
更に俺は氷魔法でバーサクしたDオーガキングにダメージを与えていった。
何回目かの氷魔法でDオーガキングは魔石になった。
ここを出ても続きがあるようだったら、今日はここで中断だな。
ドアを出るとダンジョンコアが置いてある。
俺は魔力を吸い取るための仕掛けを作り、大体一億円分の同じ物を大量に買った。
これは、ゴーレム・ダンジョンで使う物だ。
さて、ステータスの確認だ。
「ステータス」
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名前:山田 無二 LV421
魔力:20567/42100
スキル:
収納箱
魔力通販
魔力壁
混合
変形
罠探知
方向察知
氷魔法
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遂にレベルが400超えたぞ。
でも、まだドラゴン・ダンジョンは制覇できない気がする。
撤収しようとして、モニカが寝転んで動けなくなっているのに気づく。
「モニカどうした?」
「筋肉痛」
ああ、魔法の副作用が出たのだな。
これからはモニカにも前衛を任そうと思ったが、これでは前衛でモニカは使えない。
モニカをお姫様だっこして、歩いて地上まで出た。
「俺はダンジョンを埋めるから、野営の準備をしてくれ。モニカが治るまで帰れない」
俺はダンジョンを埋めて痕跡をなるべく消した。
建てられたテントの中でくつろいでいると、入り口がぱさっと開いた。
「妹の代わりに来たわ」
「よし、ダンジョン制覇記念だ」
そのまあ、なんだ。そうなんだ。
モニカは三日でなんとかバイクに乗れるようになった。
次は最後の封印ダンジョン、気合をいれて攻略するぞ。




