第47話 おっさん、ダーク・ダンジョンを攻略に掛かる
やって来ましたダーク・ダンジョン。このダンジョンはあまり流行らなかったらしくて、近隣に村はない。
入り口を掘り返し、赤外線ゴーグルをつけて中に入る。
真っ暗だな、熱源がどこにも無いせいだろう。
ぼぉーっと2.5メートル程のDオーガの姿が浮かび上がる。
ダークオーガだと名前が長いのでDオーガと名付け、メイスで迎え撃ち見事仕留めた。
このダンジョンの厄介な点は真っ暗なのに光源を持って入ると、バーサクしたDオーガが光源に向かって襲い掛かってくる。
バーサク状態のDオーガはタフになり、痛覚などが遮断されるそうだ。
完全不可視の赤外線ランプでダンジョンを照らしながら進む。
このランプは例のストーカー対策の時に調べた物だ。
不可視だが、暗視スコープを使えば見える。
三匹のDオーガが寄ってきた。
丁度良い、アイテムの実験だ。
「必殺、同士討ち玉!」
蓄光塗料入りのボールをアイテムボックスから出し急いで投げる。
ボールはDオーガに当たり、ぼやっとした光を放つ。
Dオーガはバーサク状態になり、同士討ちが始まった。
生き残ったDオーガをメイスで叩く。
一撃でDオーガが倒れて魔石になる。
そんなに強くないな。
1階層だから、強敵ではないのかも。
バーサク前がゴブリンの強さでバーサク後がオーガ並みのようだ。
どちらにせよ俺には雑魚だ。
「上手くいったな」
「暇」
台車を押しながらモニカが言う。
台車の上に発電機と赤外線ランプ、金属のインゴットが乗っている。
モニカは今回もフォローだ。
新しく覚えた雷魔法は光るから、ここでは使えない。
俺もフォローに回り、アルマは金属魔法、エリナは風魔法でDオーガを倒す。
勿論、Dオーガが複数居た場合はボールをぶつけて、同士討ちを誘う。
1階層のボスはDオーガリーダーだった。
お供のDオーガに同士討ちをさせるためボールを投げる。
同士討ちの結果、生き残ったのはやっぱりDオーガリーダーだ。
Dオーガリーダーにボールをぶつけるとバーサク状態になり、手を闇雲に振り回し始めた。
「モニカ魔法撃って良いぞ。手早くな」
「天使の拳よ怒りとなり衝撃を与えよ球」
モニカが詠唱し、手に持ったスタンガンの電気がボールになってDオーガリーダーに向かう。
Dオーガリーダーは避ける素振りもない。
雷球は見事命中し、Dオーガリーダーが気絶した。
アルマの金属魔法の針金がDオーガリーダーの喉を締め上げる。
手足をばたつかせDオーガリーダーは息絶えた。
魔石を拾い上げ次の階層に行く。
2階層から新しくモンスターが加わり始め、2階層では剣を持ったDオーガファイター、3階層では回復を使うDオーガクレリック、4階層では土魔法を使うDオーガマジシャン、5階層では鎧を着たDオーガナイトが加わった。
後衛職は真っ先にボールをぶつける事で対処。ボスも問題なく同士討ち戦法で討ち取った。
しかし、快進撃はここまでだった。
「ナイフを持っているという事から見るに、今度の新しいモンスターはDオーガアサシンだな。後衛職にボールを投げるぞ
投げたボールはモンスターに当たり、中の液体は地面に滑り落ちた。
「魔力壁か。とうとう同士討ち戦法が使えなくなった。ここは全滅させてから一旦ひくぞ」
Dオーガアサシンにメイスを食らわせようとした。
ひらりと避けるDオーガアサシン。
「槍」
アルマの魔法がDオーガアサシンに突き刺さる。
動きの鈍ったDオーガアサシンに、俺はメイスの一撃を加え葬った。
その隙に後衛Dオーガマジシャンが水魔法を放つ。
俺は三人を庇って射線に立った。
水の砲弾が鎧に当たって弾ける。
俺はふんばって耐えた。
「槍」
アルマの魔法がDオーガマジシャンを貫く。
同士討ち戦法が使えないと手間が掛かるな。
「今日は終わりにしよう。同士討ちをどうするか明日までに考えてほしい」




