第65話 おっさん、襲撃する
イシュトンはバンクスにある冒険者ギルドの酒場で待っていた。
「ターゲットはどこにいる」
「白いカモメ亭という宿に泊まってます」
「部屋は分かっているのか?」
「そこは抜かりなく」
「じゃ寝入った時を襲おう」
夜を待ってリオットが居る宿に向かう。
「ステータス」
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名前:山田 無二 LV519
魔力:38817/51900
スキル:
収納箱
魔力通販
魔力壁
混合
変形
罠探知
方向察知
氷魔法
次元移動
召喚魔法
助手
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本格的な対人戦闘は久しぶりなので、ステータスをチェックした。
リオットの泊まっている部屋のドアの前に立つ。
罠探知スキルを使う。
罠が仕掛けられている。
罠と言ってもドアに振動を与えると警報を発するタイプのようだ。
殺しに来るような罠では無いが、ドアを蹴破ろうとすれば気づかれるだろう。
変形スキルを使いドアを変形させて罠を解除。
そして鍵を開けた。
ドアの蝶番に油を注し、ゆっくりとドアを開ける。
ベッドの上の膨らみを確認。
寝ているようだな。
灯りが月灯りだけなので、顔は分からん。
だが、イシュトンの情報を信じよう。
イシュトンは俺が倒された時にカバーするため、廊下で待機している。
寝ていたリオットに問答無用でメイスを叩き込む。
手ごたえが無い。
寝ていた所には誰も居ない。
ちくしょうやられた幻影だ。
幻影が解除される。
本物のリオットは膨らみから、ずれた所に寝ていた。
リオットが剣を取り飛び起きる。
「どこの刺客だ」
「お前に囮にされて死んだ奴の無念が俺をここに呼んだ」
「戯言を。返り討ちにしてやる」
リオットは剣を抜いて掛かってきた。
俺はメイスで剣を叩く。
リオットは剣を落とした。
そして、俺はリオットの頭を思いっきり叩いた。
またしても妙な手ごたえ。
この手ごたえは知っている。
防御系のドロップ品を使用した時と同じだ。
「くそう、お前の声は覚えた。後で殺してやる」
リオットはドロップ品を使った。
姿がかき消える。
「ふむ、手ごわいですな。帰還石を使うとは思いもよりませんでした」
いつの間にか部屋に入ったイシュトンが感想を漏らした。
「恨まれてる自覚があるんだろ。罠も仕掛けていたしな。殺すにはもっと周到に準備しないと駄目だな」
「そのようです。リオットの部下を裏切らせて、ドロップ品をすり替えるとかしたいですな」
「そうだな」
「装備品やスキルの情報が集まらなかったのも無謀でしたな」
「手の内を秘密にしているみたいだからどうしようもない。そうでなくても冒険者は手の内を隠す」
「リオットをギルトの除名処分にはしないので、いずれ次の行先は分かるでしょう」
「次はもう少し慎重に行くとするか」
「そうですね。次は策謀を巡らすと致しますか。ではまた」
俺はイシュトンと別れて、自分の宿に戻った。
「どない?」
アルマが尋ねた。
「襲撃は失敗した」
「仕留め損ねると厄介やわ。手負いの獣ちゅうのは始末に負えん」
「これからどうするの?」
とエリナ。
「そうだな。リオットに顔はばれていないから、俺に刺客を放つ事はしないはずだ。手足をもごうと思う。クラン・ラベレンの幹部をやる」
たぶん幹部も色々と犯罪を犯しているはずだ。
イシュトンに調査を頼もう。
「情報収集?」
とモニカ。
「そうだな。ダンジョンコアで見張って、クラン・ラベレンの奴らの手の内を丸裸にしよう。そうと決まれば俺はダンジョンコアの部屋にこもる。アルマ達はマーロウを追ってくれ」
「はいな」
「分かったわ」
「了承」
とりあえず方針は決まった。
今回、リオットを仕留められなかったのは残念だが、まだ諦めるのには早い。
再戦に向かって準備だ。




