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第223話 おっさん、行方不明の情報を貰う

 意味不明の現象。

 こういう時は。


「管理者、出て来い。説明しろ」

「こうなると思っていたわ」

「どうなっている」

「うすうす、気がついていると思うけど。あなたの体はアバターよ」

「作り物って事か?」


「ええ、その通り。あなたがアバターを切り替えると、その世界はストップして操る事になるアバターの世界が動き出すわ」

「俺が世界の起動スイッチになってるなんてな」

「私が仕えている存在がいるけど、全知全能ではないわ。能力には限りがある。コンピューターのソフトって同時に動いているように見えるけどCPUが一つの場合、小まめに切り替えて実行しているの。それと同じ事よ」

「でも俺が存在していなかった時代はどうなんだ」

「もちろん複数の世界を定期的に止めては動かしていたわ」

「なんでこんな事に」

「次元の移動には、物凄いエネルギーが必要なのは分かるわよね」

「ああ、なんとなくな」

「魂にはほとんど質量がないから、次元を移動するのが楽なの」


「体は移動してなかったのだな。全裸になるのはどうしてだ」

「装備なんて移動できないし。元の世界へ戻った時に、行く前の服装を身に着けていたら、おかしいじゃない」

「カモフラージュだった訳か。オリジナルはどの世界の俺だ」

「いないわ。最初に異世界に行く時にバラバラになったわよ」

「今も血の渇きがあるのはなんでだ」

「移動しても全部のアバターと魂は繋がっているから」

「なるほどね。レベルアップの恩恵でものすごく健康なのは、魂の力って訳ね」

「新しい世界に初めて行くとアバターが作られるわ。そうなるともちろんレベルは1からね。でも魂はレベル1からではないのよ」


「そういえば、魔力発電所から、時空の裂け目で飛ばされたのはどうなんだ」

「あれね。苦労したわよ。地球のアバターがバラバラになったので復活させたわ。特例ね。時空の裂け目を閉じて貰いたかったから」

「手の平で転がされている気分だ」

「そんな事より、アンデッドの体を早く人間に戻さないと、最後には気がふれるわよ」

「だが、やらないといけない事がある」

「そう言うと思ったわ」

「お見通しか」

「未来はある程度予測できるの。アドバイスを一つ。選択を間違えない事ね」

「覚えておくよ」


 俺って作り物だったんだ。

 あまりショックではないな。

 クローンみたいな物だろう。

 魂が人間なら、クローンでも人間と言える。

 それより、神みたいな存在は律儀なんだな。

 願いを叶えるダンジョンでの、世界を渡りたいという願いを、こんな形で叶えるとはな。

 俺が異世界に行くと世界が停止するのは、休眠状態のアバターが死ぬと影響がある為か。

 なるほど。

 窓の外に映る通行人に血の渇きを覚える。

 アルマ達には会わないで異世界に戻ろう。

 アルマ達を食材を見る目で見たくない。


次元移動(ディメンションムーブ)


 さて、ヴァンパイヤのかすをこれから追うとして、その前にやっておく事がある。


「情報提供依頼をギルドに出したい」


 俺はギルドで受付嬢にそう持ち掛けた。


「はい、承ります」

「冒険者以外の失踪者事件の場所を知りたい。ギルドに捜索依頼が来た奴だけで良い。もちろん未解決事件だ」

「秘匿情報ではありませんので可能です。しかし、それですと莫大な情報量になります」

「今から魔道具を出すから、地図の上に印をつけてほしい」


 タブレットを魔力通販で買って出した。

 地図はスキャナーで読み込んである。

 お絵かきソフトで行方不明者の場所を書いてもらうつもりだ。


 あとで俺はそれを統合すれば良い。

 使い方を教えて準備は整った。


 一週間後。

 行方不明者の地図が出来上がった。

 思った通りだ。

 行方不明者の点は円状だ。

 そして円の中は空白になっている。


 その中心を指差して、俺は尋ねる。


「ここには何がある」

「廃城があります」


 やはりな。

 そこに真祖がいるのだろう。

 軍隊が出動するのを嫌って近場で狩りをしなかったのだろう。

 だから、円版状に空白ができた。


「ありがと、世話になった」

「あの、差し支えなければ、この地図を他の人に渡してもいいですか。同じ情報を求めてますので」

「もちろんいいけど。その人に興味がある。会えないか」


 真祖ヴァンパイヤを追う者が俺以外にもいるとはな。


「そうですね。依頼主と執行者の関係になりますから、会えると思います」


 俺はその人物と会う事にした。

 ちなみに行方不明者の情報を求めたのは、ヴァンパイヤのかすを追っても駄目だった場合に備えてだ。

 奴らは追跡の方法を知っているのだから、その対抗策も知っているはずだ。

 プランは複数。

 仕事の基本だ。


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