第182話 おっさん、剣士を諭す
やはり、ダンジョンで刺客が襲ってきた。
実は秘密兵器を連れて来た。
スキル原理主義者でスキルを与えたうちの腕利きを連れて来たのだ。
「属性魔導、火の玉よ飛べ」
「斬撃」
スキル原理主義者の剣士の斬撃スキルで3メートルの火の玉が二つに分かれる。
ダイヤモンド魔導士相手に、やり合えてるな。
「属性魔導、ダンジョンの床よ石の壁になれ」
「斬撃。くっ、切れなかったか」
剣士の斬撃は石の壁に阻まれた。
そりゃ、石の壁は切れないだろう。
「分解」
俺は石の壁をスキルの使用と共にメイスで叩き壁を砂に変えた。
「属性魔導、電撃をまとえ」
それは悪手だ。
戦士には耐電グローブを装備させてある。
「斬撃」
「ぐぁ」
剣士が刺客の男を返り討ちにした。
案外やれるものだな。
石の壁が突破出来なかったのが弱点か。
それと最初に加速を使われたら苦戦したかもしれない。
「少し休もう」
「剣士、恰好いい」
アニータが目をキラキラさせた。
「そうだな。剣士を護衛に欲しくなった」
「レベッカ、そいつスキル原理主義者だぞ」
「えっ、この際だから目をつぶるか」
「そう言ってくれると思ったよ。実は今の斬撃スキルより強力なのがある。それを手に入れたら、レベッカの護衛をしてもらうつもりだ。剣士、名前は」
「ルイスです、救世主様。救世主様に名前を憶えてもらった。仲間に自慢しないと」
「あなた、スキル原理主義者に救世主なんて呼ばれているんだな」
「こいつらの教義は物質を消す属性魔導が許せないらしい。俺は生産系のスキルを持っていて魔力で物を作れる。おまけにスキルは偶然覚えたものだ。スキルオーブでなく天然物だな」
「崇められる要素があるって訳か。ルイスさん、今後ともよろしく」
「俺は魔導士となれ合うつもりはない。救世主様の命令だからやっているだけだ」
やはり、スキル原理主義者と魔導士の溝は大きいな。
属性魔導を使っても星は消えないという事が納得できないのだろう。
少し考えてみれば分かることだ。
一回100グラムに満たない触媒を消しても、惑星一つは消せない。
ただ、物が消えるという現象が恐怖なのだろうな。
いつか魔導士が暴走して惑星がなくなってしまう。
そんな事を思い浮かべているに違いない。
「仲良くとは言わん。相手を理解する心も必要だぞ。相互理解は付き合いの基本だ」
「魔導士と付き合いたくありません」
「じゃ、こう考えろ。相手を知って弱点を探り出すとな。その為に懐に入れ」
「含蓄あるお言葉です」
「よし、そろそろ。攻略を再開しよう」
ラスボスはグリーンのドラゴンだった。
風の刃のブレスを吐いてきたが、ルイスが斬撃スキルで斬りまくった。
達人級の剣士って強いんだな。
まあ、スキルありきの強さだが。
ブレスを封じれば後はダイヤモンドカッターで切り刻むだけだ。
難なくドラゴン退治は終わった。
ダンジョンコアを獲得していよいよ、スキルオーブを生み出す魔力回路の上に置いた。
魔力回路を作動しながら、究極斬撃スキルよ出ろと念じる。
辺りを光が満たしダンジョンコアはスキルオーブに変わった。
しかし、効率が悪いやり方だな。
ダンジョンコア1個で好きなスキルオーブ1個とは。
「ルイス、使ってみろ」
「はい」
スキルオーブが光となってルイスに吸い込まれて行く。
「属性魔導、ダンジョンよ石の壁になれ。ほれ、試し斬りだ」
「やってみます。究極斬撃」
見事に石の壁は切り裂かれた。
アニータが拍手している。
俺はルイスの肩を叩いた。
「じゃあ、レベッカの護衛をよろしくな」
「ええ、刺客の魔導士を滅多斬りにしてやります。護衛だと考えるからいけないのです。魔導士を斬る為の罠だと思えばなんて事ないです」
「そうか、やり過ぎるなよ」
ステータスを見る。
――――――――――――――
名前:山田 無二 LV273
魔力:10927/27300
スキル:
収納箱
魔力通販
次元移動
属性魔導
土魔法
魔力壁
分解
想像強化
――――――――――――――
俺もだいぶ強くなった。
ダンジョンコアの魔力で触媒用の宝石もたんまり買ったし、護衛の目途もついたし、今の所順調だ。




