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第174話 おっさん、万物魔導士会と約束する

 金属魔導士会から耳寄りな情報があった。

 なんと万物魔導士会の支部会長が俺に会いたがっているらしい。


 なんの話だろう。

 俺は約束の酒場に行った。

 酒場は貸し切りになっていて、客は一人もいない。

 豪勢だな。

 だが、話し合いの場に酒場を選ぶとはな。


 テーブルに一人着いている男がいる。

 客はいないのであれが万物魔導士の会長だと分かった。


「ムニだ」

「俺はレグラスだ。まあ、まずは一杯」


 俺は酒杯を傾けた。


「本題に入りたい。なんの用だ」

「サファイヤとルビーを都合してほしい」

「ほう、何故だ」


「嵐の予感がする。それだけじゃ駄目か」

「いや、納得できる理由だ」


 こいつ、色々と情報を掴んでいるな。

 革命が起こる事に気づいていやがる。


「どれぐらい。融通できる?」

「いくらでも可能だ。だが、俺達にも利がないとな。同盟だな」

「いいだろう」


 まあ、商売の間柄の同盟なんてないも同じだからな。

 だが、各方面に存在感は示せる。

 俺は酒杯を空にした。


 その時、男達がなだれ込んで来た。


「俺の客か」

「いいや」


 俺が尋ねるとレグラスは否定した後に酒をあおった。

 落ち着いているな。

 襲撃は想定内か。


属性魔導アトリビュートマジック、吹き飛べ」


 レグラスが魔導を発動。

 男達は吹き飛んだ。


「こいつらは何者だ」

「スキル原理主義の奴らだな」


「迫害でもしたのか」

「いいや、万物魔導士は奴らに嫌われている。なんでも万物魔導士はあらゆる物を消す可能性があるのだとか」


 酸素を含んでいる物質は多い。

 しかし、あらゆる物を消すとは大げさだ。

 スキル原理主義にとって万物魔導士は魔王なんだな。


「そりゃ、迷信だろう」

「奴らはそれを信じている」

「狂信者は始末に負えないよな」

「そうだな」


「俺が話をつけてやっても良い」

「出来るのか」

「出来るかどうかは分からないが。やるだけやってみせるさ」

「気に入った。奴らと話がつくのなら。俺はダイヤモンド魔導士会と話をつけてやろう」


 今、時間稼ぎが出来るのはありがたい。

 刺客が来なくなるだけで、ジャスミンも楽になるはずだ。


「よし、約束だ」

「ああ、酒に誓って」


 俺は酒場を後にした。

 スラムの住居にグレッグから教わった目印を貼る。


 日が暮れる前にスキル原理主義者のグレッグが訪ねて来た。


「久しぶりだな」

「なんの用」

「万物魔導士の襲撃を辞めろ」

「出来る訳ないだろ」

「あのな色々と間違っているぞ。万物魔導士なんて名乗ってはいるが、実際は酸素魔導士だ」


 俺は酸素について説明してやった。


「万物魔導士については分かった。だけど、皆を納得させるには、それだけの理由がないと」


 腹を括るか。

 スキル原理主義とも上手くやっていかないとな。


「仕方ないな。魔力通販(メールオーダー)


 ぽとりと落ちるチタン板。


「もう一回やって」

魔力通販(メールオーダー)。納得したか」


「救世主様」

「これなら説得できるよな」

「皆の前で力を披露してもらわないと」

「仕方ないな」


 グレッグに連れられてスラムの一角にある廃屋に入る。

 案外近い場所にアジトがあるな。

 まあ、スラムは身を隠すにはうってつけの所だけどな。


「スキルのお導きを」

「スキルのお導きを。ムニも言って」

「スキルのお導きを」


 スキル原理主義の決まり文句を唱えて集会の輪に入る。


「遂に救世主が現れたんだ」

「本当かグレッグ」

「救世主のムニ様だ」


「紹介にあずかったムニだ。魔力通販(メールオーダー)


 現れたチタン板を見て、スキル原理主義者達は目を丸くする。


「おお、救世主様」

「スキルのお導きを」


「今日、来たのはな。お前ら間違っているぞ」

「何がでしょう」


「全部だ。魔導士がいくら頑張っても世界は無くならない」

「何ですと」


「スキルを崇めるのは勝手だが、人の迷惑も考えろ。魔導士は全部が悪い奴らじゃねぇ。悪いのは生贄を奉げているやつらだ」

「許せん。物質を消すだけに飽き足らず、生きている人も消そうというのか」

「スラムで人を集めて生贄にしている組織がある。調べろよ」


 スキル原理主義の連中を焚きつけたがどうなるか。

 生贄の妨害をしてくれるのなら、ありがたい。


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