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第15話 おっさん、冒険者になる

 保証人に会いに行く事にした。

 貰った地図の場所に行ったところ宿だった。


「あんたがスラムで聖人なんて呼ばれている男かい。少し気に入らないね」


 食堂で待っていた俺達に三十代と思われる女性が声を掛けた。

 女性は小剣を二つ腰に下げ、皮鎧を着ている。

 体は筋肉質で引き締まっている。どうやら、冒険者のようだ。


「ご主人様の何があんたに分かるんですか! ご主人様は凄いんや!」


 アルマが食って掛かる。


「アルマ良いんだ。俺も炊き出しは偽善だと思っているから。何と言われても気にはならない」

「少し興味が出てきたよ。奴隷にこれほど慕われているのなら良い人間なんだろう」


 なんか最近アルマとの距離が近くなった気がする。

 そういえばアルマは痩せて少し可愛くなった。ウエストも締まってきてグラマーになってきたような。

 いかんいかん、契約社員だ。


「ムニです。こっちは奴隷のアルマ。よろしく」

「アイネスだよ。Aランク冒険者だ。話は聞いている冒険者になりたいんだって」

「ええ」


「ところで、あんた相当レベルが高いだろう?」


 おいおい、ばれるのかよ。

 何で分かったんだ。


「分かりますか?」

「魔力がね、凄い量漏れている。訓練を受けてない魔力が高い者の特徴さ」


「この事は内密にお願いします」

「冒険者登録すると知られるから意味が無いけど、どうするんだい」


 レベルが登録すると分かっちまうのか。うん、冒険者になる方が利点が大きいな。

 ダンジョンにも入れるし、余った魔石やドロップ品も売れる。


「冒険者になります」

「そうかい、ちなみにレベルは?」

「104です」

「ひゅー、おったまげたね。Sランクでスタートとは前代未聞だね」


 冒険者は依頼をこなす事によってランクを上げていくが、レベルを上げる事でもランクを上げれる。

 レベル10を越すとランクEに、20でD、30でC、50でB、70でA、100でSとなっている。


「少し気に入ったよ明日ここに来な。鍛えてやるよ」


 そうだな鍛えておかないとこれから先後悔しそうだ。

 封印ダンジョン討伐にも役に立ちそう。


「お願いします」


  ◆◆◆


 アイネスと一緒に冒険者ギルドに行く。

 夕方のギルドは依頼の報告の冒険者でごった返していた。

 空いている受付に行ったら、エティが座っている。


「あなたはこの間のロマンの人。確かムニさんでしたよね。ダンジョンが見つかったのですか」

「今日は登録です」

「後ろの人はアイネス様。Aランクのアイネス様が保証人なんですか」

「そうさ。あたしが見込んだ男さ。きっと驚くよ」


「ここに手を置いて下さい」


 エティが箱型の魔道具を持って来て言った。

 俺が手を置くと1枚のカードが出てくる。


「レベル104!!」


 エティはカードをみると驚愕のあまり叫んだ。


「驚くと言ったさ」


 ドヤ顔のアイネス。


「上の者と話をしてきます」


 エティは言うと走って行った。




「おい、104だってさ」

「機械の故障じゃないのか」


 ギルドに居た者が騒ぎ始める。


「はぁはぁ、Sランクからスタートして大丈夫だそうです」


 しばらくして、エティが駆けて来て俺に言った。


「ありがとう。これからもよろしくな」


 書類に必要な事を書いて提出し俺はカードを受け取った。




 アイネスと別れ掲示版を眺めていると後ろに誰か立つ。


「おい、暗いぞ。影になっているんだよ」


 俺は振り向き言った。


「ちょうど喧嘩を売ろうと思っていたが、おまえの方から売ってくるとはな」


 男が俺を突き飛ばした。


「機嫌が良いので相手をしてやるぞ。ここでやるのか?」

「どうせイカサマしてレベルを誤魔化したのだろう。そっちの奴隷の女を使わせてくれたら勘弁してやろうと思ったが、もう勘弁できねえ」


 男は言うなり殴りかかってきた。

 俺は殴ってきた手を受け止め、少し力をこめて握った。


「放しやがれ」

「ほらよ」


 俺が放すと男はたたらを踏んだ。


「ふらついてるぞ。鍛え方がたりねえんじゃないか」


 男は言葉にならない事を喚いた後、何と剣を抜いてきた。

 俺は唐辛子スプレーをアイテムボックスから出して噴きかける。


「ぎゃあ。目が目が」


 男の後ろに回り尻を蹴飛ばしてやった。

 男が這いつくばったので背中を踏みつける。


「まだ、やるか?」

「悪かった謝る」


「ジェフさん武器を抜きましたね。罰金です」


 エティが近くに来て腰に手を当てて言った。


 がやがやと外野が色々な事を言う。

 レベルは本当だったとか、最後のプシューって噴いた奴はなんだとか、踏まれるのならエティ様に踏まれたいとか聞こえてきた。


「アルマ行くぞ」

「はいな」


 アルマの口調がどこか誇らしげだ。


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