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第134話 おっさん、ハンターになれない

 次の日。

 ライフルを買って、意気揚々とハンターギルドを訪れた。


「登録したい」

「おい、やめとけ」


 俺の肩に手が置かれた。

 それはバーで俺が会話した男だった。


「何でだよ。新米ハンターはお呼びじゃないってか」

「昨日の一件は皆に知られている。お前が賞金稼ぎだって事はな」


「いや、誤解なんだが」

「だが、賞金を受け取った」

「そりゃ受け取るだろ。殺しに来た奴が賞金首だったんだから」

「お前はもう立派な賞金稼ぎだ」

「そうかよ。賞金稼ぎがハンターをやっちゃ不味いのか」

「不味くはない。しかし、誰もお前をハンターの仲間だとは認めない。ここには脛に傷を持つ奴が沢山いるからな」

「ああ、そうかよ」


 ハンターギルドでの情報収集は絶望的になったらしい。

 どうしよう。

 何か伝手を作らないと。


 賞金首がゴロゴロいるんじゃ、子育てする環境じゃないな。

 隣組みたいな組織はないだろう。

 砥石は銃には役に立たない。

 まあ、獲物をさばいたりするナイフなんかはあるから丸っきり売れない訳じゃないけど。


 武器屋に砥石と機械油なんかを卸してみよう。

 駄目元だがな。

 他に何かヒントが欲しい。


 俺は武器屋に納品と人相書きを配るがてら、街をぶらついた。

 そういえば本屋が数軒あったな。

 誰が読むんだろう。


「こんちは」

「いらっしゃい」

「俺は行商をやってて色んな商品を扱ってる。なんか売りたいがここの客層はどういうのだ」

「主にハンターですね。なんでなのか本をよく購入されます」


 暇が出来る瞬間があるのかな。

 狩りの最中は常に精神を研ぎ澄ましているイメージがあるのだが。

 それとも狩りに出ていない時に読むのかな。


 まあいい。

 本を卸すか。

 アルリーと日本の物は文字が分からないので売れそうにない。

 ここは一つ漫画を売ってみるか。


 品物を取ってくると言って店を出て、魔力通販で漫画を買って戻る。


「どうだい。文字は分からないだろうけど、絵で意味がなんとなく分かるんじゃないかな」

「ほう、面白いですね。売れるかどうかは分からないですが、何冊か置いてみようと思います」


 やった、話のとっかかりが出来た。


「貴重な本を貸本している奴がいて、本を貸したままハンターにとんずらされちまった。もちろん貸す時に保証金は頂いている。しかし、どうしても本を回収したいらしい。この女なんだが、見かけたら冒険者ギルドに連絡してくれ。もちろん、謝礼ははずむ」

「ええ良いですよ」


 やった、人相書きを渡す事ができた。

 他の本屋も同じ流れでなんとかなった。


 よし、せっかくライフルを買ったのだから、試し撃ちするか。

 俺は森に一人で出かけた。

 獲物のいる場所が分からない。

 素人だもんな。

 しょうがない樹を相手に射撃するか。

 大木を相手に引き金を引く。

 どうだ、当たったか。

 樹に近寄るが穴が見つからない。

 的を買ってくれば良かった。

 コピー用紙を画びょうで止めて急ごしらえの的にする。


 弾が尽きるまで撃ったが当たらない。

 俺にスナイパーは無理らしい。

 空気銃でサバイバルゲームをした時は当たったのだが。

 実戦とは違うって事なのだろう。


 うぉ、いきなり後頭部を叩かれた。

 何だ。

 振り返るとでかい真っ黒い熊のモンスターが仁王立ちしていた。

 銃声を聞いたら逃げそうなものだが。

 モンスターは違うって事なのだろう。


 それより、いっちょ前にバックアタックなんかしやがって。

 俺はメイスを出してお返しとばかりに飛び掛かりながら、熊のモンスターの横っ面を殴った。


 熊のモンスターは頭を振ると牙をむきだした。

 俺は熊のモンスターの膝を狙った。

 吠え声を上げる熊のモンスター。

 効いているみたいだ。

 足を重点的に攻めて、しゃがませる事に成功した。


「そんなに俺が食いたいのなら、これでも食っとけ」


 俺は熊の口をメイスでこじ開けると、餅を沢山流し込んだ。

 魔力100で買える例の餅だ。

 これは非常食として常備してある。


 隙を見てなんども餅を流し込む。

 そして、熊のモンスターは窒息した。


 モンスターの死骸をアイテムボックスに入れ、覆面して冒険者ギルドの買取所に行く。


「これは見事なブラックベアですね。ハンターギルドで買い取ってもらわなくて良いのですか」

「そっちは出入り禁止だ」

「それはそれは。うちが儲かるのなら、細かい事は気にしないですが」


 何をしているんだろうという気もするが今更だな。


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