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第133話 おっさん、森林都市に到着

 異世界ベティナの旅は順調だ。

 風景が森ばかりになった。

 どうやら森林都市が近いらしい。

 モンスターの吠える声が森にこだまする。


 話ではモンスターの種類と量が段違いらしい。

 素材の宝庫だと聞いた。


 森の木の上にビルが突き出ている遠くからでも良く分かった。

 あれが森林都市だな。

 しばらくするとビルは森に隠されて見えなくなった。

 道は合っているだろうから、心配はしてない。


 銃を撃つ音が聞こえる。

 森林都市の別名は銃火器都市だ。

 それぐらい、銃火器が普及している。


 モンスターの吠え声と銃声がひっきりなしに聞こえる。

 だいぶ都市に近くなったようだ。


 程なくして、森林都市に着いた。


 都市を覆っていたのは木の壁だった。

 石やレンガが調達できなかったのだろう。

 そこで身近な木で城壁を作った。

 そんなところだと思う。


 宿を取り、一人で街に出る。

 店は銃器店と八百屋、それに本屋が目立った。


 さて、どこにいこう。

 まずは飯だな。

 定食屋と思われる店に入る。


「いらっしゃい」

「ここに来たばかりで美味い物が分からん。適当に頼む」

「じゃ、日替わり定食って事で」


「それで良い。ちょっと聞きたいんだけど。人を探しているんだが、冒険者ギルド以外に何か方法はないかな」

「うーん、ハンターギルドなら、情報を持っていると思う。ただね、ハンターは口が堅い」

「飲食店はどうかな。食材をエサになんとかならないか」

「お客さんが探している人がどういう人かによるね」

「銃士だな。今はスナイパーかも知れん」


「そういう人は自分で料理するから、飲食店には滅多に立ち寄らないよ。やっぱり、ハンターギルドだね」

「そうか、参考になった」


 手早く飯を食い、ハンターギルドを訪ねた。

 ハンターギルドは木造でバーが隣接されている。

 バーをまず覗いてみたが、カウンター席でみんな寡黙にちびちびとやっている。

 冒険者特有のバカ騒ぎみたいなものはない。

 非常に落ち着いた雰囲気だ。


「人を探している」


 俺は近くにいた男に話し掛けた。

 その男は俺をじろりと見ると何も無かったかのように視線を戻した。

 感じ悪いな。


「一言もなしか」

「得物」


 俺はアイテムボックスからメイスを出した。


「ふん」


 男は鼻で笑った。


「得物って言うのはこういうのを言う」


 そう言って立てかけてある銃を指差した。


「場違いって訳ね」

「そうだな。ハンターやるなら、銃。最低でも弓か吹き矢だ」

「出直すよ」


 ハンターをしたい訳じゃないんだが。

 ハンターでないと喋ってくれないらしい。

 俺は銃を購入すべく、道を引き返した。


 人通りがない場所を通った時、いきなり狙撃された。

 魔力壁で弾丸がひしゃげ落ちる。

 えっ、当たりをいきなり引いたのか。

 狙撃ポイントは道の角だな。

 俺が走ってその場に到着すると、口をあんぐり開けた男が立っていた。

 こいつ誰だ。

 知らない男だ。

 トイレのすっぽんで殴る。

 男は倒れた。

 地面に倒れる時、鈍い音がした。

 ありゃ、力加減を間違えたか。


「死ぬな。死ぬんじゃない。情報を吐いてから死ね」


 俺は男を揺さぶったが、反応はない。

 脈を取るが心臓は鼓動を止めたようだ。

 なんてこった。


 死体をどうしよう。

 俺はまじまじと男の顔を見る。

 あれどこかで見てないか。

 なんだっけ。

 この街じゃないな。

 ああ、前の街で賞金首の似顔絵を見せてもらった。

 その中にこいつに似た男があったはず。


 デジカメに撮っておいたから、すぐに分かる。

 あったあった。

 このほくろの位置は確かにこの男だ。


 俺は男の遺体をアイテムボックスに入れると、この街の治安機関に持って行った。


「男に襲われた。返り討ちにしたら、賞金首のようなんだが、確認してもらえるか。収納箱(アイテムボックス)

「間違いだったら、人殺しだぞ。襲ってきたという理由があってもな。えーと、こ、こいつは一撃のダドリ。お前、よくこいつをやれたな」

「隙だらけだったぞ」

「ああ、一撃を外したんだな。滅多になくて慌てたんだろう」


 当たったとは言わなくていいか。


 男は賞金首で間違いないようだ。

 これはあれか。

 バーで人を探しているなんて言ったから、賞金稼ぎだと思われたのか。

 たまたまバーに居たこの男が自分を探していると勘違いして襲ってきた。

 えっ、勘違い野郎かよ。

 着いた早々に当たりを引いたと思ったのに。


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