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7.待叶草 ~(6)

今回のことで唯花に近づけたと思った俺は唯花に告白することに決めた。


でも、いきなり付き合ってくれ、とは言わない。


まずはデートに誘う。

そこで脈ありと踏んだら告白だ。


俺は合宿の最終日にこっそり唯花を呼び出した


「あの唯花ちゃん・・・・・突然呼び出してごめん」

「どうかしたの? 松田くん」


「あの、ゆうべは大変だったね。大丈夫?」

「うん。ごめんね。心配かけて。ずっと一緒にいてくれてありがとう。嬉しかったよ」


 ――よし、いい感じだ。これはイケるかもしれない。


「あのさ、今度、部活の休みの日に一緒にシーに行かない?」


シーとは言わずと知れた海のテーマパークだ。


唯花はびっくりした顔で俺を見た。


「あの・・・・・それって二人で・・・・・」

「うん。二人で」


唯花はしばらく悩んだように黙っていた。


 ――どうだ?


「うん。いいよ」


唯花は笑って答えてくれた。


 ――よっしゃあ!


俺は心の中でガッツポーズをした。



東京へ帰ってからの部活の休みの日、俺と唯花はテーマパークでデートをしていた。

怪談話さまさまだ。


「やっぱり夏休みは人が多いね」

俺は階段を昇りながら汗をぬぐった。


「松田くん、ひとつ訊いていい?」

唯花が呟くように言った。


「何?」


「合宿のレクリエーションの時さ、松田くんって、もしかして最初から答えを知ってたんじゃないの?」


「え? どうして?」


俺は思わず顔が引きつった。


「だって松田くん、全然怖がってなかったから・・・・・」


 ――鋭い・・・・・。


「ああ、俺は、ああいう怪談とか迷信みたいなのは信じないタチなんだよね。霊感とか全然無いしね」

「すごいなあ。私は全然ダメなんだ」


 ――いやあ、危ない、危ない。バレたかと思った。


「じゃあ、わたしも本当のこと言っちゃおうかな」


唯花は悪戯っぽい顔をして僕を見つめた。


「え? 何?」


「実は私、あの話の答え、けっこう前から解ってたんだ」

「え? じゃあ、どうして答えなかったの?」


唯花はしばらく黙って俯いた。


「松田くんが残ってたからだよ・・・・・」

「え?」


「最後まで残って松田君くんと二人きりになれたらいいなあって思ってたんだ」


唯花はそう言いながら恥ずかしそうに悠馬から顔を背けた。


「え? マジ?」


なんてことだ。唯花も俺のこと想ってくれてたんだ。


これはチャンスだ! 

今、告白するしかない!


「あの、唯花ちゃん。俺と付き合って欲しい!」


 ――よし! 言った!


唯花は黙ったまま俯いていた。


あれ? 駄目か?

そう思った次の瞬間、唯花はこちらを向くと笑いながらコクリと頷いた。


 ――え? 頷いた?


「あの・・・・・それじゃあ・・・・・」

「うん。オッケーだよ。よろしくね」


 ――やった! 


俺は心の中で拳を突き上げた。


「松田くんて、私がずっと待っていた人なんだと思う」

唯花はそう言いながら恥ずかしそうに僕から顔を背けた。


なんて嬉しいこと言ってくれるんだろう。


「そんな、大袈裟だよ」


「やっと見つけたんだよ。だって、ずっと捜してたんだから・・・・・」


唯花の顔が悠馬のほうに振り返る。


「百五十年間もね」


 ――え?


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