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何だって寂しいものさ

作者: ブルータスの雨宿り

詩・短編を書いてみました

気に入っていただけるか分かりませんが

一生懸命に書いてみました(^_^)

1000文字以内で書いてあります

物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら

暇なときにでも読んで

楽しんで頂けると幸いです(^_^)

「桜なんて見飽きたよ」


こう呟くのは

これで何度目なんだろうか


外を歩いていると

生命の息吹を抱えたような柔らかい風が頬に当たる

街や川の土手には

五分咲き・七分咲きと様々な状態の桜が咲き

時おり

風に誘われた花びらが宙を舞う

子供達はゲームのように舞い落ちる花びらを捕まえて遊び

大人達はその情景を切り取るように写真や心に留めている


「もう春だな…」と思うような素敵な光景だ


でも正直

私はそんな光景が嫌い

だって

まるで

その姿が人気者の輝きにあやかろうとする

いやらしい人間みたいに見えてしまうから

この想いは100%私の偏見かもしれない

だけどそう思うのだ…


私は

そんな人混みを避けるように路地へ移動する

すると

所々の塗装が禿げて錆びた門扉とコケが生えた外壁など

全てが放置されて

皆から忘れられた廃校があった


そのノスタルジックな建物に深く息を吸うと

その敷地の中から風が吹き出して桜の香りが舞った

その香りに誘われるように中庭を覗けば

この時期には珍しい満開の桜があった

きっと

昔の先生達が子供達の成長を比較する為に植えたものなのだろう


こんな所に満開の桜があるなんてね…。

そうだ!


私は近くにあった自販機から缶ビールを買い

鍵が壊れて開いていた門扉から校内へ入った

そこは外から見るよりも時間の風化を感じることができる

それは

もうすぐ取り壊されると思うくらいに…


中庭へ出ると

外から見るよりも大きい

先ほどの桜が見れた

枝の隅々にまで花を開かせているその姿は

桜としての意地を感じるほど立派である


私は自分の背中を桜の幹につけて見上げた


風に揺れる枝

空間を飾るように散る花びら


私は持っていたビール缶を一人ぼっちの自分を慰めるように空へ掲げた


「乾杯!」


私はビールを勢いよく飲む


苦い

でも美味しい


そう思いながら

私は少し余ったビールを桜の根本に流した


一生懸命に咲いている桜と飲みたくて……

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