ハイリスク・ハイリターン
大牟田と石村共に、個人成績は申し分なかったのに、なぜ二人をトレード候補にしたのかは、新田が考える人物論があった。
人の地位とか立場は、仮のもので着替えのきく洋服のようなものである。必ずしもその人の人間的偉さを示すものではない。それを、さも自分が偉くなったように錯覚して、人を見下したりするようなことは本末転倒である。いくら個人成績が、良くても傲慢な心が見え隠れした瞬間から、その人の成長は止まっている。大牟田と石村には、個人成績が上がると同時に外部の新田さえも気づく、傲慢な言動が見え隠れしていた。したがって異体同心で進まなければ、大願は成就できないので、二人の放出を決めたのである。
そしてさらに新田は、やや二人に近い存在てをもある、有山外野手(27才)、記田投手(26才)の放出も決めていた。ちなみに有山は、持ち前の勝負強さから右の代打要員として、HR8本、打点35を叩き出したスラッガーであり、記田は中継ぎとして86試合登板した右の中継ぎ投手である。
ゆえにこの4名の選手をトレードで放出することは、静岡ブルーアース崩壊と思われても仕方がないが、新田はこなトレード策をハイリスク・ハイリターンと考えていた。
そして、やはりこのトレードを成立するための新田の行動は素早かった。