チーム戦略
新田、矢田、沓谷、日向の「チーム新田」がチーム戦略について話し合いを持った。戦略とは、「戦争における総合的で、全局面における兵力運用の方策」、もしくは「政治・労働運動などで、最終的な闘争目標を実現するための長期的な策略」である。これをスポーツ組織に置き換えると、「スポーツ組織の目標を達成するために、いかに組織行動するかという長期プランを、組織の諸資源の最適配分を行いながら、決定すること」である。
新田は、矢田に「現状のチーム状況は考えないで、どのようなチームを作りたいか教えて欲しい」。と尋ねた。さらに「勿論この場では、即答できないと思うが、来週に迫ったドラフト会議での要望指名選手を教えて欲しい」。と更に尋ねた。矢田の頭にはすでに「理想のチーム像」と「要望指名選手」が描かれていたので、即答できた。新田は矢田の次の次を読み取る能力を改めて称賛できたし、この能力こそが静岡ブルーアースに必要である。
矢田は「とりあえずドラフト指名選手ですが、左右の先発型投手と社会人のバットコントロールが長けている外野手2名、あと高校生の投手と内野手を1人づつ指名してください。付け加えておきますが、話題性だけで指名はしないでください」。とまるで新田の心を見透かしているような回答をした。
矢田はこの回答をしている時の、沓谷の自信みなぎる表情を見た時、「この男はとんでもない才能を持った男かもしれない」。頼もしさと同時に恐怖心さえも覚えた。
そしてこの二つの思いがドラフト会議で現実のものとなった。