異体同心
新田は広野からのGMの要請を快諾した。その理由の一つに、新田の「働く」という独自の考え方からである。「働く」とは「はたらく」ことであり、「はた」とは周りや他わ現し、「らく」とは楽であり、楽しませる意味をがあります。つまり「働く」とは、「周りの人を楽しませる」と解釈するのが「働く」意味と考えている。新田は静岡ブルーアースを改革すると同時に、球団関係者やファンを含めた全ての人を楽しませたいという思いがあった。
広野の要請を快諾した翌日、新田は東京丸ノ内にあるブルーアースの本社を訪れた。社長室に通された新田は、職員の対応と必要最小限に押さえているオフィス環境を見て「絶対に静岡ブルーアースは改革できる」と確信した。
社長室に入ってきた広野は、開口一番「ありがとう」と言って新田に深々と頭を下げた。この広野の思いも掛けない行動に、新田は「宜しくお願いします。」と広野に負けないぐらい頭を下げた。
人はいくらでもうわべだけの対応はできるが、即座の行動には、真実の意思が含まれている。そしてこの短い挨拶の中で、二人には同じ目標を持つ異体同心の心で結ばれた、