桃髪との邂逅
短いです
テスト期間です
以上
「...っ、はぁ...。」
悪夢にうなされ、赤髪の青年、赤城拓磨は目を覚ました。
「また、か...」
そのまま寝ようという気にもならず、そのまま起きる。時計を見ると朝の5時、そして8月3日だった。
「ランニングでも...するか。」
そう考え、彼はジャージに着替えて外を走り始めた。
彼が住んでいる街、境原市。そこまで大きな街ではないものの、国内でも有数の学園、領ヶ嶺学園の所在地であり、学園都市としての活気に溢れている。
まだ早朝の時間帯であり、人は殆どいない。
精々彼と同じくランニングをしようとするような健康志向の持ち主か、泥酔したサラリーマンくらいだ。
街を1周―おおよそ5kmほど―を走り終えたところで彼は家に戻った。疲れたのか肩が激しく上下しており、呼吸も荒々しい。
「はぁ、はぁ、はぁ...。っー、1ヶ月家に引きこもってただけでこれかよ...あいつの言ってた『練習は3日に1度はしておかないと意味が無いぞー』ってのはあながち間違いじゃないのか...」
唐突だが、彼は陸上部に所属している。それも、部長として。―正確には、1か月前までして「いた」であるが。
拓磨はいつも、ランニング終わりにはある物を食べることを日課にしていた。無論、1ヶ月ぶりではあるが。慣れた手つきで炊いていたご飯を茶碗によそい、箸を出して冷蔵庫から卵を出す。そしてある県でしか生産されていない甘醤油も持って、食卓へ向かう。
ご飯に箸でくぼみを作り、そこに卵をかける。黄色と白が目に映える。そしてそこに醤油をかけ、少しだけかき混ぜる。それが彼流のT K Gだ。
「いただきまー『ピンポーン』!?」
突然の来客。時計を見れば6時を回っていた、が人が訪ねてくるには早すぎる時間。
「...宅急便なんか頼んでたかな?」
インターホンのカメラを覗いてみると、そこには―
『ピポピポピポーン!』
ボタンを連打しまくる桃髪の少女がいた。
「...はい、赤城です。どちら様でしょうか?」
『赤城...赤城拓磨先輩ですか!?』
少女は拓磨の事を先輩、と呼んだ。
『私、領ヶ嶺学園中等部の3年、春野 美波と言います!あの...突然来てこれは迷惑だと思うんですけど...先輩とお話、できませんか!?』
ハイテンション―というよりも、どこか熱に浮かされたように話す少女―美波。そんな彼女の様子を見て彼は答えた。
「まぁ...少しだけなら。今鍵開けに行くから、ちょっと待っててもらえるかな。」
この一言が、世界すら変える事にも気付かずに。