1限目 始まり
はいふりを見ていたら、ふと書きだめしていたこの作品を思い出したために投稿してみました。
安定の稚拙ですがよろしければ読んでください。
西暦2022年2月22日明朝。
世界中の新聞の一面が一つの出来事を記載していた。
それは――
「日本、核融合炉の開発に成功!!」
世界中が核融合炉の開発の成功に狂喜乱舞したのだが、日本は核融合炉を海外に輸出、技術提供をすることを拒んだ。
このことに、世界各国は激しく日本に対して抗議をしたそんな中で日本はある条件を提示した。
もし、技術提供をして欲しくば、
1。常任理事国の拒否権の撤廃及び日本の常任理事国の加盟。
2。核兵器のさらなる軍縮。
3。ロシアは北方領土の日本への即時返還、中国は日本の尖閣諸島の領有権を認めること、韓国に対しては日本の竹島の領有権を認め即時竹島からの撤退。
4。核融合炉の建設及び運用はすべて日本の主導で行う。
以上の4つであった。
そして同時に日本は戦略計画を全世界に発表。
その内容に、世界は再び驚いた。
その戦略計画は以下のとおりである。
1.憲法第九条の改正
2.日米安保条約の破棄
3.熱核兵器以外の原子力兵器の開発
4.核融合炉搭載新型戦闘艦の建造
5.核融合炉搭載航空母艦の建造
などである。
このことに、世界は黙ってはいなかった。
日本は戦争を起こすつもりかなどと糾弾されたがあくまで日本は抑止力のためだと言い放った。
抑止力は抑止力でも核弾頭を持つわけではないので核弾頭保有国より安心であると日本は核弾頭に対して非難をした。
また、核融合炉の運用に対してはこれにも非難が殺到した。
何故ならば、自国で運用することができるなら解析して自国で作ってしまうことができると考えていた矢先、運用を日本の手でやると言われたのである。黙って任せていろなどと挑発されたような気がするのであろう。
更には、核融合炉搭載型戦闘艦及び核融合炉搭載型航空母艦の建造計画は諸国からの疑問の声が上がった。なぜなら、この核融合炉は巨大でとても艦船に搭載するのは不可能だからである。(この時点での核融合炉は最小で大体600メートルクラスのものであった)
その疑問に答えるべく日本は一隻の艦の建造計画を紹介した。
それは――
核融合炉「未来」搭載試験試作艦『日本』
基準排水量1300000トン 満載 2200000トン
全長8000メートル、全幅1400メートル。 計画速力33ノット。
動力:核融合炉「未来」4基。最大乗員15万人。
同型艦:『倭』
この艦に対して世界各国は呆れてしまった。
こんな巨大な艦をどう作るのだや頭がオカシイのではないかと鼻で笑う国がほとんどであった。
しかもこの艦の用途に対しての質問の回答に世界各国は唖然としてしまった。
なぜならこの艦の用途とは、国防軍直属の「学園艦」として未来の国防軍を担う少年少女たちや核融合炉などの理工学や艦であるため海を航行するため海洋系について学んだりするなどの総合的な学び舎にすることだった。
この回答には世界各国の代表が腹を抱えて笑っていた。
笑わずには入られなかったのであろう。
最先端技術の結晶である核融合炉を使った艦でわざわざ学生のために使うなどと金の無駄遣いやゆとり主義だの非難された。
しかし、日本は本気であった。かつて世界最高の造船技術を持っていた日本は本気であった。この世界の笑いで日本の造船関係の軍関係者・企業は昼夜を問わず世界を見返すため、この学園艦「日本」の建造に努めていった。
また、学園艦には、核融合炉の豊富な電力があるため、海水を真水に変えたり、人工的に温室を作り出しそこで作物を作るや甲板上にはひとつの街を作り交通機関も発達させるなど海の上にいながら陸上と何ら変わらない生活ができるように各企業等がビジネスとして取り組んでいった。(これのお陰で日本はGDPを5%ほど上昇させることができた)
そんなこんなあって、日本と世界各国の交渉は平行線を辿り、日本は核融合炉の正規運用に成功。
そして、日本は北海道、関東、四国、九州に核融合炉を建造し日本は電力に不自由することがなくなり日本はその余剰電力をマイクロ波送電システムでアジア周辺の先進国・発展途上国に電力を供給していった。そして、日本はついに学園艦「日本」を完成させた。
無論、その間にも他国は共同して核融合炉の開発をしていたが日本のように実用レベルには及ばなかった。
交渉の場である、ハワイオアフ島にその巨艦が現れたのは2028年2月22日奇しくも日本が六年前に核融合炉の開発に成功した日であった。
ここで、学園艦「日本」はその性能を世界各国に魅せつけた。
なお性能は、6年前の計画よりも大幅に向上していた。
しかも核融合炉のコンパクト化にも成功し出力も幾分向上していた。
性能は以下のとおりである。
艦船搭載新型核融合炉「未来SⅡ」型搭載試験学園艦『日本』
基準排水量:1500000トン 満載:2800000トン
全長:9000メートル 全幅:1500メートル 速力:50ノット
機関:艦船搭載新型核融合炉「未来SⅡ」型16基搭載
航続距離:無限 乗員:16万人
同型艦、『倭』
かつて、この艦の計画を見て笑っていた世界各国の代表は今にも卒倒しそうになっていた。
なぜなら、かつて実現できるはずないと思っていた艦が現実として目の前に現れたのだから。
しかも護衛のためについてきた護衛艦隊も異様だった。
ざっと見た感じ護衛艦隊は、戦艦2隻、空母2隻、イージス艦4隻、護衛艦8隻、ほか補給艦など4隻の計20隻の大艦隊であった。
世界各国はふと思った、戦艦なんて現在存在していたかと。
それと、日本は空母を保持していたのかとも思った。
戦艦は、太平洋戦争時の日本の戦艦「金剛」型に酷似していた。
それもそのはず、この戦艦は国防軍初にして後に世界最初の機動戦艦ともいえる、機動戦艦「金剛」と「比叡」である。
戦略計画の一つ、「核融合炉搭載新型戦闘艦の建造」が有言実行されていたのである。
2006年にすべての戦艦が消えてから22年。戦艦の復活をこの二隻は証明していた。
戦艦の象徴である主砲は45口径40cm新型電磁加速砲二連装四機。電磁加速砲のおげにより射程は従来の火砲より長く、約100km。更にはイージスシステムを日本独自に改良した新型対空戦闘システム「祓魔」により高い防空能力をもつ。
なお、艦名は八八艦隊計画からとっている。
そしてもう二隻の空母。
この空母も戦略計画の一つ、「核融合炉搭載の航空母艦の建造」の象徴である。
航空母艦「赤城」と「加賀」である。
艦型はそれこそミニッツ級原子力空母と何ら変化ないが、大きさが違う。日本が明かしたスペックでは航空機180機搭載することができる超巨大空母である。無論、新型対空戦闘システム「祓魔」搭載である。
世界各国は悪夢を見ているようであった、かつて実現困難と言われていた核融合炉を完成させた挙句、その機関を使い世界最強であろう戦闘艦を生み出されたのである。
しかもこの場は交渉の場である。これでは銃口が自分たちに向かって向いているのも同じである。
しかし、日本はあくまでもデモンストレーションの一環だと思っていた。
仮にも、学園艦を含め艦隊に攻撃されようものであったら、その時は新造艦の性能を世界各国にアピールすることができ、今後の交渉を優位に進められることができるからである。
ここで日本はある緩和条件を出した。
それは、一ヶ月の猶予を与えるので一ヶ月後、広島で行われる核軍縮サミット交渉に置いてこの条件を受け入れて調印すれば核融合炉の運用は各国に認めるが今後この機会を逃すとこの条件はなかったことにすると言ったのである。
無論、即断できる国はないであろうし、核融合炉も値段が値段である。そう簡単には決められない。更には、ロシア、中国、韓国においては領土が関するし(もっとも、いずれの国も不法に占拠あるいは領土を主張しているものだが)、他国も核兵器のさらなる軍縮ともなれば時間がかかると考えて日本は一ヶ月間の猶予を言い渡した。一ヶ月後に日本の広島で再び交渉の場を設けるのでそこで調印すれば核融合炉のノウハウを得られる。
もともと、日本は核融合炉の運用は各国の方でやってもらうつもりだったのだが交渉を有利に進めるためにわざと強硬な態度で挑んでいたのである。
核融合炉開発から6年やっと日本は世界に対して核融合炉のビジネスにこぎつけることができるようになったと思った。
一方、他国は核融合炉で日本が主導となっている現状を早く打開しようと脳裏で画策していた。
特に、アメリカは安保条約の破棄によりアジアのまもりが薄くなることを危惧していたが次の場で調印すれば核融合炉のノウハウが手に入り再びアジアにおいての補給基地が出来上がると画策していた。
一方、中国・韓国・ロシアにおいては核融合炉のノウハウを手に入れ再びに領土を取り返そうと画策していた。
そんな各国の思惑が渦巻く中、学園艦「日本」に一人の少女が司令塔からハワイの波風を浴びつつオアフ島を見渡していた。
少女は見た目が15,16くらいであろう。端正な顔立ちに澄み渡るような黒い瞳と黒く長い髪をハワイの波風に受け、瞳をオアフ島に向けていた。
???
「うーん、やっぱりハワイはいいわねぇ。写真で見るのと実際に来てみるのじゃぜんぜん違うわ」
彼女は人間ではない。「艦魂」と呼ばれる艦船に宿る精霊みたいなものだ。
彼女は学園艦「日本」の艦魂、武尊である。
武尊
「それにしても、交渉会場は殺伐としたふうに見えるわね」
などと思惑によりドロドロとしている会を見つめながら呟くと同時に一人の少女が光の粒子とともに現れた。
???
「仕方ありませんよ。だって、こちらの要求が要求ですもの」
武尊
「あれ?赤城、来てたの」
赤城
「ええ、せっかくのオアフ島ですもの一人で見るのもと思いまして」
彼女は空母「赤城」の艦魂、赤城である。
艦魂に歳はないが見た目は18,19のお姉さんといったところであろう。赤みがかかった長い髪に赤い瞳を持つ美しい少女である。
武尊
「ふーん、そうなの。ところで、なんであなた達第一護衛艦隊総出で来ることになったのかしらねぇ」
ふと武尊が思いついたようにまた呟くと同時にまたもや一人の少女が光の粒子とともに現れた。
???
「まさか、武尊はそれくらいもわからなかったの?」
武尊
「ちょっ、それど言う意味よ、金剛!!」
金剛
「どういう意味って、そのままの意味だけど?」
短めの金髪に蒼眼の彼女は機動戦艦「金剛」の艦魂、金剛である。
武尊
「なによ、それって私が馬鹿だとでも言いたいわけ」
金剛
「別にそこまで行ってないわよ。国防軍付属第一高校校長、武尊さん」
金剛が言ったところ、赤城が、「ああ」と頷きながら、
赤城
「そういえば、武尊は再来月から先生になるのよね」
武尊
「うん。国防軍付属第一高校、校長の武尊よ」
金剛
「そういえば、あなたの妹の建命は今回来てないのね」
武尊
「うん。いきたい行きたいって駄々こねてたけど機関のチェックじゃしょうがないわよ。私たちは世界でもまだ10隻しかいない核融合炉搭載艦だもの。何が起こるかわからないわ」
彼女たち、核融合炉搭載艦は核融合炉の存在から特に念を入れられていた。なので、万が一に機関に故障があったら大惨事である。
ちなみに、この場に来ている核融合炉搭載艦以外の艦は日本において機関のチェックまたは防衛にあたっている。
赤城
「さて、そろそろセレモニーの時間になりそうですし私は戻りますね」
赤城はそう言いながら自艦である「赤城」に転移していった。
書き送れたが艦魂は艦と艦の間を転移で移動できる上に、四次元ポケ○ト的な異空間を持っている。羨ましい。
金剛
「じゃあ、私も。確か主砲を放つみたいだから、腕がなるわ」
そう言い残し、金剛も「金剛」に転移していった。
一方で一人残った、武尊は……
武尊
「戦艦と空母かー。戦闘艦もよかったけど学園艦として生徒に教えるのも楽しそうだからいいけどもやっぱりいざとなったら私も戦ってみたいわねぇ…」
この時の彼女たちは気づいていなかった。
この先に彼女たちとその教え子たちが日本の、世界の命運をかける戦いに巻き込まれていくことを。