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エクストリーム・ウォー ジョーカー  作者: 碧衣玄
ボトムレス・ポテンシャリティ
34/40

燃やす闘志

 ウルと魔悪邪が戻ってくると、色はすっかり戻っていた。人々が普通に街を歩いていることにウルは安堵する。


「摩士!」


「魔悪邪。いい加減諦めたらどうじゃ」


「ふざけるな。諦めるわけがあるか! ここは退いてやろう。が、お情けも次で終わりだ」


「残念でござるよ」


 影となって消えていく魔悪邪。その姿を悲しそうに見つめるナナシ。その目は寂しさを宿らせていた。


「大丈夫かって?」


「拙者は大丈夫でござる。ウル殿、助かったでござるよ」


「困ったときはお互い様だって。今度は俺が助ける番だって」


※ ※ ※


 とりあえず落ち着くべく場所を変えた二人。ウルの案内でナナシが連れてこられたのは、全身を赤い軍服で纏った仮面の者の部屋。突然、目の前に現れた二人を見ても動じず、呑気に花に水をあげていた。


「いらっしゃいにょん」


「いきなりごめんって。にょんちゃんには知らせた方がいいと思って」


「にょーん?」


 二人から事情を聞いた仮面の軍人は、わざとらしく考える素振りを見せるものの、その雰囲気からは余裕を感じれた。


「それはそれは。なんだか穏やかじゃないにょんね。にょんちゃん、ちょっと怖いにょん」


「そうとは見えんでござるが?」


「ナナシくんは買い被り過ぎにょん。にょんちゃん、そんなに凄くないにょんよ」


「充分に凄いでござるよ。拙者とウル殿の、にわかには信じられない話を聞いただけで信じるだなんて。普通は鼻で笑って済まされてしまうんじゃ」


「ウルくんにはお世話になってるにょん。ウルくんとは友達だから、疑うことはしないにょん。それに、にょんちゃんにウルくんが嘘をつく理由もないにょん」


「ウル殿とにょんちゃん殿は信頼しあってるのでござるな。ウル殿の強さ、少し分かった気がするでござる」


「まあなって。元帥と友達っていうのは大きな強みだって」


「嬉しいにょんな~! それでウルくん。にょんちゃんはどうすればいいにょん?」


「もしかしたらまた、その魔悪邪が来るかもしれないって。そうなった時、セラテシムンを守ってほしいんだって」


「それは当然だにょん。この国を、国民を守るのが元帥の役目にょん。それでウルくん達は?」


「俺、ナナシと一緒に魔悪邪を追うって! 止めても無駄だって!」


「止めたりなんかしないにょん。でも、ティタちゃん達はどうするにょん?」


「俺抜きでも大丈夫って。ティタは文句を言うかもだけど、話したら付いてくるって利かないだろうからって」


「黙って行っちゃうにょんかあ。うーん、なんだか忍びないにょんが、致し方ないにょんか」


「本当にいいでござるか?」


「言ったろ? 困ったときはお互い様だって! 断ったって付いていくって!」


「ありがとうでござる」


「いいにょんね、いいにょんね。友情は美しいにょん!」


 紅茶を飲む為に仮面を外す。柔らかい笑みを浮かべながら紅茶を香る女性、セラテシムン元帥にょんちゃん。


「き、綺麗でござる」


「にょんちゃんが? それはそれは嬉しいにょん」


 素顔のにょんちゃんを見たナナシの正直な感想。それにウルも同調する。紅茶と共に照れを飲み込むナナシ。


「そういやあよ。あの街の人達は元気って?」


「……そのことじゃが……魔悪邪が向かった世界、最後の世界は……拙者とウル殿が出会った世界だと思うでござる」


「なんだって!?」


「あの世界だけは破壊していない。拙者の、この旅の始まりの世界……魔悪邪は、絶対そこを突いてくるでござる!」

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