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赤と黒の剣士

 ブオオン! という音を上げながら走っていくバイク。二つの複眼を光らせながらバイクを操る七菜の腰にガッシリ手を回すナナシ。

 陽が当たらない森の中を走っている為、ガタガタと揺れながら駆け抜けていく。


「な、なっ、どおおのおおっ」


「何だい、酔ったのか?」


「ガタガタ揺れて上手くしゃっべれっない」


「ゲームとはいえ、痛みはある。舌を噛む」


「拙者はあああ!!」


「ほら、森を抜けるよ。道も整備されている。一気に突っ走るさ」


 速度を上げる七菜。

 ナナシの悲鳴も一層増していった。


※ ※ ※


「やっぱり。時間が出来るとこうなんだから」


 マシンの側に備え付けられているモニターを観ながら、金髪の女性は腰に手を当て溜め息を吐く。自販機で飲み物を買い、ベンチに座り込む。


「待っているのは退屈ね。ワタシも行こうかしら」


 飲み物を飲み干すと、空いていたマシンへと入っていった。


※ ※ ※


「先を急いでいるときに!」


 二人の前にモンスターが現れていた。その威圧感で倒れそうになるナナシ。


「チェイサー。蜘蛛、蝙蝠、蛇の特徴を持ったモンスターさ。最近追加されたばかりに面倒だよ」


「蜘蛛は糸、蝙蝠は超音波、蛇は毒といったところか。確かに厄介でござるな」


「見ただけで判断出来るなんて……君は只者ではないね。間違いない」


「買いかぶり過ぎでござるよ。七菜殿、どう攻めるでござる?」


「口は危険。飛ばれても厄介。飛ばれる前に潰すまでさ!」


 バイクでチェイサー正面に突っ込む七菜だが、実際に衝突したのはバイクのみ。七菜は上空にジャンプをすると、チェイサーの背中を見下ろして定める。

 衝突したバイクによるダメージで怯んでいたチェイサーが、正面に構えていたナナシを捉えて襲い掛かってくる。蛇の身体を駆使した素早い動きでナナシを捕らえ、糸を吐いて縛り付けた。


「マズイでござるよ!?」


 身動きが取れないナナシに浴びせられる超音波。超音波の範囲は一方通行らしく、上空で拳を握っていた七菜には影響はなかった。


【ファイナル】


「エンド・ナックル!」


 七菜渾身の必殺技がチェイサーの背中に炸裂。激しい痛みが身体中を駆け巡っていき、超音波を放っていたチェイサーは大人しくなった。

 ナナシから刀を借りて糸を斬ると、刀をナナシに渡してチェイサーを指差す七菜。


「君がトドメを」


「いいのでござるか?」


「君が囮になってくれたお陰で、僕は技を決めることが出来た。君が最後を決めるべきさ」


かたじけない」


 ナナシの一斬りにより、チェイサーはフィールドから姿を消した。


「ナナシ、あそこ」


「うん?」


 七菜はそこから見える岩を指差す。

 ナナシはジーッと見つめると大きく頷いた。目的の人物を発見したのだ。


「捜したさ」


「よっ! 戦闘中に連絡寄越すからびっくりしたぜ」


「それはごめんさ。で、彼が会わせたい奴さ」


 赤いヒーロータイプのアバターに説明する七菜。戸惑うナナシの前に右手が差し出される。


「はじめまして。オレあか紅蓮ぐれん あかだ。よろしくだぜ」


「拙者はナナシと申す。会えて嬉しいでござるよ」


 緋とナナシが握手を交わす。

 七菜はウンウンと頷いていた。

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