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死なない世界

 生い茂る草原に触れて香る。現実と遜色ない太陽の光と優しい風。


「これは!? 拙者はさっきまで室内じゃったのに」


「驚くことはそれだけかい?」


「あ! 七菜殿の姿がああ!」


「僕に驚いてどうする。自分を見て驚いてみるんだ」


 アイテムリストから鏡を取り出すと、それをナナシに差し出す七菜。『あわわ!?』と言う声で混乱しているナナシの反応に思わず笑ってしまった。


「酷いでござるよ!」


「いやいや。初々しい反応が見れて嬉しかったのさ。僕もゲームを始めた時はそうだった」


「こ、これはどういうことじゃ!?」


「このゲームでの君の姿さ。大方、お任せで決めたのだろう」


「何にも分からんじゃったから」


「……君のタイプはヒーロータイプ。僕は仮面タイプさ。色は黒か。僕は青だけど、特に強い意味はないから気にすることはない」


「刀を提げていないと落ち着かないでござる」


「アイテムリストを開いて装備すればいい。こうやって……」


 慣れた手つきで出現させたパネルをタッチしていく七菜を見て、ぎこちないなりに操作していくナナシ。

 なんとか装備を完了したナナシは、腰に提げた刀を抜いて動く。現実と変わらず刀を振るナナシの姿を間近で見ていた七菜は驚いた。


「余程の使い手と見る。先輩といい勝負かもしれない。ふふふ、そんな姿を見たら燃え上がるかな?」


「夏郷殿が?」


「ううん。君と同じタイプで、同じ刀を使うやつが知り合いにいるのさ。彼は二刀流だけど」


「それは凄いでござるな! 会いたいでござるよ!」


「それはそれは光栄さ」


「七菜殿のことではないでござるが?」


「同じことさ。彼が憧れられるのは嬉しい」


【チーム】


「案外近くにいる。行ってみるか?」


「居場所が分かるでござるか」


「チームを組んでいるんだ。相手がログインしていれば居場所を知れる。他にも利点があるんだけど今はいいさ」


「拙者のレベルというのは?」


「このゲームでの強ささ。ナナシのレベルは1。戦闘をすることで経験値が入ってレベルが上がる。それと一緒にポイントも得られて、それを振り分けることで攻撃力や防御力を上げられる」


「戦闘をするでござるか! それは危険ではござらんか?」


「これはゲームだよ? このゲームでの死亡はログアウト。実際に死ぬことはないし、あってはいけないさ」


「死なない、でござるか?」


「ああ。だからこそゲームなんだ」


「夢のような世界でござるな!」


「まだ待ち合わせには時間がある。会いに行こう。道中では戦闘は避けられない。ナナシ、夢の世界へようこそさ」


「よろしく頼むでござる、七菜殿。拙者、このゲームを堪能するでござる!」


 二刀流の戦士に会うべく進み出す二人。

 七菜の言った通り、行く先々にはモンスターが生息していた。七菜が虫の息までモンスターの体力を削り、ナナシがトドメを刺していく。

 そんなこんなでナナシのレベルはグングン上がっていくのだった。

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