第四話 猿の如き同級生
これまたえぇ! って感じだった。
さっき再会して、ちょっとだけ大人になった2人。
昔から秘められていたワインみたいな思いを開封して、話していると、ほんとのワインはまだ開けたことないからどう? と誘われているのである。
是非是非、と言いたいところだった。プラトニックだか、プラスチックだからもうどうでも良いのだ。
というのもこれがまたあの鬼のような彼女に由来する。
とても美人な彼女だったから、スタイルももちろんよかった。だったら、出るとこ出てるぞ! だという感じだった。
猿の如き同級生はよだれを垂らして見ていたわけで、「やったの?」なんて聞かれると「それは言えんよ」とか言ってすこぶるの優越感をたのしむなどしていた。
のだが。
実際には指一本触れさせてもらえなかった。
手を繋ぐだけで、はい、義務とばかりに10秒だけ数えてリリースされるのである。
君はほんとに僕のことが好きなのかね。
思っていても言えなかった。怖いもん。
だから、僕は多分学校で一番の美人と付き合いながら童貞で、常日頃から時間を奪う虐待を受けているわけで、そうなると今度は下世話な話、全然シコっていなかった。
そこによ、そこに、小学校の頃から好きな子が現れて、初めてはマツくんがいいとかって言われるとどうなるか。
はい、お願いしますと心の内側は決まるわけだ。
だが、肝心なのはどうやってそれを伝えるか。
伝え方次第で、女体に盛った猿助から、優しく余裕のある男のどちらにでも感情の針が揺れる可能性がある。どちらにせよ、やれるにしても大事じゃない? 女の子がどう思うかってことは。夢なんよ。
「え、それっていいの?」
なーんて、僕は言った。色々含みを持たせて、やりたいだけと感じられないように。
付き合うという選択肢もあったが、そうなると今の彼女と別れを切り出す必要がある。となると家が燃える。
うむむ。やりたいし、ここでやるしかないが、付き合うことはできない。
だから、男はそこは黙っておいて、やることだけやってしまおう、と自分勝手な結論に落ち込むのである。
「私は、その方がいいの」
頬をあからめている。
ほんとに可愛い子なのだ、この子は。
だがね、だが、やるにしてもまだ障害物は残っている。
学生同士なわけだから、ラブホに行ってやることやるなんてできないし、カラオケとかでやるとなっても、八角さんの初めてをそんなところで迎えさせなくはなかった。トイレなんて論外。
なんて考えあぐねていると、八角さんが言った。
「うち、今日親いないから、くる?」




