第6話 ハンター試験③
すいません体調崩してました……
「以上で魔術測定を終了します。次は武器測定です。20分の休憩を設けます。時刻までに受験者はグラウンド中央まで戻ってきてください。では休憩時間です」
その後13番の人の測定も終了、20分の休憩が入った。
建物内部には休憩スペースがあるのでそこで飲み物でも買って休もうか。
このグラウンドも中っちゃ中なんだが、天井が開いているのでまあ外といってもいいだろう。
休憩室は通路を右に曲がって、少し歩いた場所にある。
左側の壁にめり込んだみたいな感じだ。なので遠目でもどこにあるかわかるし、何が置いてあるかもおおよそわかる。
自販機が三台も置かれているのか、これは嬉しい。
そのまま私が近づいていくと……
「──だからよぉ、なんであんなのが許容されてるんだ!? 明らかにズルだろアレ!」
「そんなに疑うなら12番に聞いてくればよかったのでは?」
「協会が許可してるってんなら、こっちが問い詰める必要はねえじゃねぇか。だから聞けねぇんだよ」
私の話をしている男二人がいた。片方はあれか、獣化のスキル持ってる人か。
確かに、今のところ私の事情は13番にしか話してないしな。ほかの人が同じようなことを思ってもしょうがないかもしれない。
「ふぅん……でも聞くくらいなら……っぎゃー!」
「え? どうし……ウワァーッ!」
あ、気づかれた。
最初に気がついたもう一人は……バンドの番号みるに6番だな。
「びっくりした……暗闇にたたずんでるの怖すぎる……」
「あ、お前! お前の話してたんだよ! せっかくだし聞くか。なんだその力はよぉ!」
驚いてしゅんとしている6番と対照的に、獣化の人……5番は私に怒鳴ってくる。
「驚かないで欲しいんですけど……」
と前置きして、彼らにも13番にしたのと同じことを話す。
6番はこれもまた結構驚いていたが、5番はそれほどでもなく、落ち着いて話を聞いていた。性格がわかりやすい人たちだな。
「なるほどなぁ。そんな事情だったのか」
「はい。もう13番さんには話しましたが」
「それって別に知られてもいいのか?」
「え? まあ、はい。別に隠すようなことでもないと思いますし……」
説明がめんどくさいから今は黙ってるだけだね。
「なら俺が代わりに言っといてやろうか? 多分俺以外にお前に疑問持ってるやつはいる、というか全員そうだと思うぜ」
「え、いいんですか?」
「オウ。いいぜ」
わざわざ私の代わりに言ってくれるとは……楽ちゲフンゲフン優しい人だなぁ。ここはありがたく甘えさせてもらおうかな。
「ならお願いしたいです」
「いいってことよ。さっきは愚痴いって悪かったな」
あ、謝れる人なんだ。
でも敬語ではないんだな。苦手なのかね、愚痴の内容聞く限り理性は結構ありそうだし。
うーん……しかしお願いした立場であれだが世話をやきすぎなような気も……。まあ私の関わるところではないな。うん。
「あ、俺は牙河っていうんだ。よろしくな、じゃあな!」
そういうと5番もとい牙河は休憩室を出て行った。6番はいつの間にか牙河についていきいなくなっていた。
ふう、私はしばらくここで休んでいよう。
☆★☆
「時刻になりました。受験生はグラウンド中央に集まってください」
銃を持ち、グラウンド中央に移動する。銃を持っているのはもちろん私以外に居ない。なぜかって? 違法だからだよ。私は異世界人という前提があるから許されているが、普通はアウトだ。猟銃免許を持っていないのなら。
地球でも使い始めたのは三年目の事だ。それまではずっと剣を使っていた。だから私は剣がそこそこ使えるんだよね、実は。
しかし、周りの私を見る目がなんだか違う気がする。
牙河はちゃんと言ってくれたようだな。ありがたい。
「武器測定も番号順に行っていきます。1番、前に」
武器測定は使用する武器を使いこなせているかを確かめる計測だ。
周りの武器を見てみる。
剣が多い。その次に鈍器。何も持っていない人もいる。己のこぶしを武器とするタイプだな、牙河もそのタイプらしい。イメージ通りかな。
「武器測定ではスキル、魔術の使用は可能です」
おや、可能なんだな。
と思ったけど、よくよく考えたら私の銃は魔導式だから魔術を使わないと打てないんだった。スキルも使っていいのは、スキルと同時に使用することを想定したうえでの武器選びだからだろう。
というかなんかチャクラム持ってる人がいる……と思ったら13番だった。チャクラムって実際の使い心地はどうなんだろう。持ちにくそうだが。
大体は剣術だとか、そういうのを見る感じらしい。一部の受験者はスキルをまとわせたり、武器術に魔術やらを組み込んだりしている。
ただ……剣を使っている奴は、もともと剣道かなにかしていたのか知らないが、対人向けの剣術を使っている奴が多い。
魔物にも人型がいないわけではないが、大体は四足歩行だ。あるいは、二足歩行でも自分よりデカイことが多い。
そんなやつら相手に、人用の術は効かない。
もっとも、これはそういうのを見る奴ではないが。最低限戦えますか、っていう話だ。
「次、12番、前に」
おっと。考え事をしていたらいつの間にか私の番になっていた。
銃を携えて前に立つ。
「こちらの方向に向いてください。ここにある的は10m感覚で置かれています。前から一つずつ撃ってください。では、開始してください」
10m間隔か。30mまでなら全然よそ見しながらでも命中させられる自信があるが、初めは順当にやっていこう。
左目からのぞくようにして構え、弾を込め、放つ。
リロードをする必要がないのが魔導式銃の良点だよな。その分、魔力がある程度ないと数発撃ったらお荷物になるのだが。
100mくらいまでならわざわざ弾をカスタムしたり余分な魔力を込めなくても当たる。普通の銃も扱ったことがあるが、この辺までは私も行けた。散弾銃などは弾が分散して無理だったが。
そしてここでグラウンドの一辺の長さを越してしまったので強制的に終了となった。普通は銃など想定していないだろうし、そのための距離を取るのも無理だろうからしょうがないな。
「次、13番、前に」
よく見たら、体のあちこちに投擲道具をつけているな。なるほど、投擲専門か。
そういえば魔術測定で念力を使っていたな。回収用の魔術だったのかもしれない。
予想通り、本来ならカーブを描かないはずのナイフやらなにやらがブーメランのような挙動をしてこちらに戻ってくる。
しかも速度が速い。加速か何かを使っているような挙動だ。
精度も高い。いいハンターになりそうな予感がするな。地球準拠のアレだが。
最初はノリで来たのかと思ったが、ちゃんと実力も伴っているようで何よりだ。
「以上で武器測定を終了します。審査を挟みますので、50分後に実践試験を開始します。受験者は時刻までにグラウンド中央にお集まりください。では休憩時間です」
そんなこんなで、武器測定も終了。
次は実際に戦ってみるらしい。地球じゃそんなに強くない魔物を生け捕りにしてたけど、ここも同じような感じなのだろうか。
しかしそうすると檻のような施設が必要になるわけだが、ここにはそんなものは見当たらない。もしかしたら試験官の補佐の人がそういうスキルを持っているのかな? そう考えると、本当にスキルってズルいな……。これも異世界から来た私しかない意見なんだろうが。
審査、というのはこれまでの筆記や測定結果を鑑みて、実際に魔物と戦わせても大丈夫かというのを吟味するのだろう。
これまでのは全部一次だってことだね。まずここを突破しなければ二次の実践は受けられない仕組みだ。弱い人と魔物を戦わせたらマズいだろうから。
人数が少ないからすぐに審査が終わるんだろう。だから全部一日のうちに収められるわけだ。その分頻度が高いのかな?
ここで私は通過しなければマズイ訳だが……はたして通過できるのかな。
スキルを持っていないけれど。




