第3話 情報収集
昼飯はその辺のコンビニで購入し、転移した地点の公園で食べた。
もらった支援金は一週間くらいなら過ごせる額だが、それでも一週間だけだ。一応役所から発行してもらった仮の身分証があるから働けはするだろうが……いやどうだろう……住所がないからな……。
そういえば、私はスマホを持っているわけだが、これ情報はこっちの世界準拠なのかな? 普通に考えたらそうだが、神が関与している以上どうとも言えない。
試しに「スキル」と検索してみる。
すると、政府によるスキルとはなにか、というサイトが上がってきた。ドメインを見るに本物のようだ。ネットはこちらの世界のものに接続されているらしい。
政府によると、スキルというのは「一人一つ必ず持っている、魔力を消費することで何かしらの現象を引き起こす力」らしい。
魔術と似てるな、と思って調べてみると、この世界では魔術はスキルから生まれたらしい。地球では工学とほとんど同じものだったから、なんだか不思議だ。
さらに調べてみると、スキルのティア表なんてものも出てきた。
うわぁ。差別を助長するサイトだ。でもランク付けしたい気持ちもわかってしまう。どちらにせよ私にはスキルがないし、関係ないといえば関係ないのか。
このサイトは公式ではないらしい。そりゃそうだよな。こんなの国が出してたら、弱いスキル持ちの人は反乱を起こしそうなものだ。
試しに覗いてみよう。
数字が小さくなるほど強くなる形式か。
ティア0は……「超回復」、「絶対切断」、「身体超強化」、「威圧」とか……いろいろあるな。
全体的に、基本的な魔術が超強化されている、みたいなものだ。「絶対切断」は能力説明的に、剣に対して超絶高いバフを与えるスキルっぽいな。切断強化の最上級版かね。切断強化なら私も使えるが、術式が最適化でもされているのだろうか。
いわゆる概念系はなさそう。唯一「転移」が使えるだけで強いスキルかな。
ティア1も似たような感じだ。「空間拡張」とかがティア0でいう「転移」らしい。効果は名前の通り、鞄とかの容量を増やせるようだ。一人いるだけで大助かりじゃないか。いいなあ、うらやましい。
ティア0ではないのは単純な戦闘能力はないからだろう。
なるほど。スキルにどんなものがあるかは大体わかった。
これを生まれたときから使えるってのはなかなかズルいな……。そりゃ、神殺しが過去に三回出るのも納得だ。地球ではたぶん魔物の対応で忙しいんだろうが、こっちじゃ余裕がありそうだ。
生まれたときから力を使えるなら差別が生まれるのも当然かもしれない。
強ければ強いほど楽して上に行けるだろうし、雇ったりする側からしてみても、特に教育をしなくても即戦力になるのはありがたいだろう。
世知辛いな。いざ現状を知ってみると、スキル無しがかなりのハンデになっていると気付いた。今までの積み重ねはあるし、魔力量は誰よりも多いという自負はあるが……。試験を突破してもハンターとして食っていけるか不透明だな。
一番多いティア帯が初歩魔術か次のランクの標準魔術程度なのは少し安心した。
ただ、ハンターになるくらいだし、応用、発展程度のスキルを持っている人がくるだろう。私が張り合えるのだろうか……。
いや、うじうじしても仕方ないな。
悩んだって能力は上がらないんだ。慣れない環境で久しぶりにナイーブになってしまった。らしくないな。ドラゴンと戦った時の方がまだ勇ましかった気がする。
しかし特にできることがないんだよなぁ。銃はまだハンター資格を取ってないから外では出せないし、魔術の使用も初歩はともかく標準以上のものは緊急時以外は使用禁止だ。使用できる初歩も、攻撃性が低い一部のものだけだ。さっきついでに調べてみた。
あと、なぜか魔術の区分とその程度が同じだ。分類されている魔術も同じと言っていい。新しいことを覚えなくて済むのは嬉しい。
筆記試験もあるが、ネットからじゃ大した情報は得られないし。
本当にすることがないな?
この世界のハンターでも見てみるか。公式サイトから見れると思われる。
全世界と曰本の二つが見れるようだ。一人適当に紹介ページを除いてみたが、スキルの名称などもわかる。これはいい、ハンターの質はどの程度が一般的なのかわかるじゃないか。スキルの詳細はさっきのティアのせてるサイトから見れるし。
……個人情報駄々洩れって感じだけど大丈夫なのかな? これ。
曰本一位の人のページを見てみよう。名前は平山正か。
うっわイケメン。まあハンターってスター性が重要な節あるし、イケメンならそら上位にはいるか。しかもスキルだが、これティア0って紹介されていた「絶対切断」じゃないか。勝てる気がしない。
レビィ神からもらった銃なら防げるだろうが……。魔力量が多いなこの人。赤か。
超絶強いスキルに超絶多い魔力量とか敵なしじゃないか。しかもイケメン。
調べてみた感じ、メディア露出も多い。
しかし、黒ではないんだな? もしかしたら別の言い方かもしれないが……。
地球では黒、という赤よりも上の区分があった。
魔力量は一定量を越すと身体へ影響する。例えば頑丈になったり筋力がついたり、だな。全体的にスペックが上がる。
私は地球では「黒」だった。実は曰本ではTOP3を争っていた私だが、他二人も黒だったはずだ。なのに赤なんだな。スキルにかまけているのかもしれない。
「黒」になると一気に強くなることを知らないのか? いや、この世界ではスキルが重要だったな、そういえば。なら魔力量だけ多くても、スキルの質で負ければトップには行けないのかな?
と、思って、ハンターを絞る、から黒あるいはそれに類する区分のハンターを見に行こうとした。が、黒という区分がなかった。
うん? どういうことだ……。てっきり呼び方が違うのかと思ったが、そうでもなさそうだ。もしかして、黒という概念が存在しない?
そんなまさかと言いたいが、たぶん本当だな。
赤、多い、魔力量、などと検索をかけてみるがAIはそんな区分は存在しないというし、参考元のサイトも同じことを言っている。
はー、なるほどな。
ん、てことはだ。私がいまこの世界で一番魔力量が多いのでは?
……いやいやさすがにない。ないと……言い切れないな……。
ま、世界が変われば常識くらい変わるか。
さて、お昼と少し早いが、今日泊まる場所を探しておこう。
カプセルホテルでもなんでもいいな。
違法でないなら野宿でもよかったんだがな。手練れのハンターなら大体経験があると思う。
スマホで近くの手ごろな宿泊施設を検索し、一先ず三泊分金を払う。
これ以上泊まりたかったら延長すればいいし。
ちなみに止まったのはカプセルホテルだ。意外と広くて過ごしやすそうである。
後はここでいろいろ調べて過ごしていようか。決して暇だからとりあえずスマホをいじる、というアレではない。できることが本当にこれしかないのだ。金も無駄使いはしたくないし。
そういえばスマホの充電……減ってないな。神の仕業としか考えられない。無限のエネルギーを手に入れてしまった。おそらくそういう使い方はできないようになっているだろうがね。




