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また戦うのかよ

「特待生とはまた思い切った判断ですね、ヴァレリア」

ヴァレリアに対してそう言うヴィオーネ。先ほど終了した試験でセリストリアは合格を言い渡されたのだが、ヴィオーネは意外といった様子でいる。

「10分以上俺とやりあえたんだ、そうでなきゃ特待生にはしなかったさ。実力は正当に評価すべき、がこの学校のモットーだろ。こいつは特待生になるのに十分な実力を持っている。理由なんざ、それでいいだろ」

「そうですね。ではそのように手続きを行いますね」

ヴィオーネは2人に背を向けて歩き出す。

「いつかあなたと手合わせしたいですよ、セリストリア」

足を止めると、振り返り、クスリと笑うとこの場から離れていった。ヴィオーネの言葉に首を傾げていると、

「ありゃ完全に目をつけられたな」

ヴァレリアが近づいてきてそう言った。

「えっと…?」

その言葉を理解できなかったセリストリアはさらに首を傾げる。

「あいつは俺のことを戦闘狂と言っていたが、あいつもなかなか戦うのが好きなんだ。試験を見ていて戦いたくなったんだろうな。あの様子だと近いうちに手合わせを申し出てくるだろう」

「けど、そう簡単に手合わせってできるんですか?」

ヴァレリアの言葉にそう質問する。

(できれば手合わせなんかしたくないんだけどなぁ…)

ヴァレリアの実力が実力であったため、恐らくヴァレリアと同等の実力を持っているであろうヴィオーネとは手合わせしたくないと願うセリストリア。しかし、

「あいつもここの教員だからな。指導と言ってりゃ生徒と手合わせなんざ、何度でもできるさ。まああくまでも指導という名目だから本気で戦うことはできないだろうが、それでもそれなりに全力でくるだろうな」

そんな願いも虚しく、ヴァレリアの言葉を聞いてため息をつく。

「ちなみにだが、俺もここの教員だからいつでもお前に手合わせできるからな?」

ニヤリ、と笑うヴァレリアにセリストリアは乾いた笑みを浮かべるしかなかった。

「さて、雑談はここまでにするか。編入試験はこれで終わりだ。明日受付に言えば教室に案内してもらえるだろうから忘れずに行くように。今日はもう帰ってもいいぞ」

ヴァアレリアがそう言ったことで、セリストリアにとって長いようで短かった編入試験が終わったのであった。


「疲れた…」

げっそりとした表情で家に着くと、扉を開ける。すると

「おかえり、セリストリア」

出迎えの声が聞こえた。その声を聞くと、セリストリアは驚き、中へと急いで入る。そこにいたのは彼の敬愛するー

「師匠!」

“剣聖”カナ・マリエルがそこにいた。

「やあ、セリストリア。久しぶり」

「お久しぶりです、師匠。どうしてここに?」

先ほどの疲れた表情が嘘であったかのように、明るい表情でカナと話すセリストリア。

「大切な弟子の試験のときくらい祝うために帰ってくるさ。そのために大急ぎで帰ってきたのだからな」

カナはそう言い、微笑む。

「それで合否はどうだったのだ?」

「合格ですよ。それも特待生として、です」

カナに聞かれ、合否を伝える。

「特待生として、か。それはすごいじゃないか。編入試験で合格するのも困難なのに、それを特待生として合格するとはな。試験はどんな内容だったんだ?」

「試験は試験官との1対1の実践です」

「1対1の実践?試験官の名前はわかるか?」

「えっと…確かヴァレリアと言っていました」

「ヴァレリア⁉︎あの戦闘狂と実戦だったのか⁉︎S級冒険者“戦闘馬鹿バトルマニア”のヴァレリアと⁉︎」

ヴァレリアという名を聞き、驚きをあらわにするカナ。その様子に面食らう。

「え、ええ。えっ、あの人S級の冒険者なんですか。ちなみにその人の特徴って…?」

「逆立った短い赤髪に野生的な笑みを浮かべる馬鹿だ。あまりに戦うことが好きすぎて周囲からは戦闘狂扱いされるため、ついた二つ名が“戦闘馬鹿バトルマニア”だ。」

「な、なるほど。というか師匠の言った特徴と一致するんですけど」

カナの特徴を聞き、うんざりとした表情を浮かべる。

「まあ、冒険者の中で戦闘狂と呼ばれているのはあの男だけだからな。とはいえ、あの男と戦ってよく合格できたな」

「もしかしたら試験ということで手加減していたのかもしれません」

「それならば、その合否にも納得がいくか。それを差し引いても特待生として合格することはすごいことだがな」

合格したセリストリアを称賛する。

「あ、そうだ。試験で剣が刃こぼれしたんだった。今から鍛冶屋に言って剣を見てきます」

セリストリアはそう言って家を出ようとする。

「待て、セリストリア。私が何のために帰ってきたと言った?」

「へ?試験の終了を祝うために、ですよね?それが何なんですか?」

「合格祝いくらい用意しているのに決まっているだろう?」

カナはニヤリ、と笑って包装された細長いものを手に取る。それを恐る恐るといった様子でセリストリアはそれを受け取る。

「あ、ありがとうございます、師匠。開けてもいいですか?」

「もちろんだとも」

カナの言葉を聞き、包装をとっていく。中から現れたのは茶色の鞘に金色の装飾が施された一振りの長剣。鞘から取り出すと、鏡のように反射する美しい刀身が姿を見せる。一眼見て業物とわかる一品だ。

「師匠、この剣は?」

「知り合いに頼んで打ってもらった剣だ。その剣は素材にこだわり、名工と呼ばれている人物に打ってもらった。」

「そんなすごいものもらっていいんですか?」

手に持つ長剣を見ながらそう聞いた。

「当たり前だ。君のために用意したんだ。君が使わなくてどうする。これは師として弟子に贈る剣なんだ。受け取ってくれ」

カナは微笑みながらそう言ったので、

「わかりました。ありがとうございます、師匠」

素直に受け取り、感謝の意を伝える。

「ああ。これからも頑張ってほしい」

「はい、師匠」

カナはセリストリアの様子に満足したように頷くと、

「さて、私はそろそろいくよ。あまり長居していると、いけないからな」

「えっもう行くんですか?」

セリストリアは寂しいと言った表情浮かべる。

「すまないな。私ももう少しここにいたいのだが、そうも言ってられないからな。名残惜しいが、行くしかない」

「そう…なんですね。わかりました。そういうことなら行って来てください」

「ありがとう。行ってくるよ」

カナは扉に手をかけ、家を出ようとする。

「待ってください、師匠!」

そのとき、セリストリアが声をかけカナを呼び止める。カナはそんな彼の様子に疑問を覚えるが、

「気をつけて行ってきてください。それでまた稽古つけてください」

笑顔でそう言われる。そう言われたカナは、

「わかった。また一緒に稽古しようか」

そう言って微笑むと、今度こそ家を出たのだった。

残ったのはセリストリア1人。敬愛する師に受け取った長剣を握り締め、

「もっと頑張ります、師匠。誰にも負けないくらい強くなって師匠と共に戦えるように」

そう決心するのであった。


次の日、セリストリアは冒険者育成学校へと向かう。冒険者育成学校には制服はないのでいつもの服装だ。

冒険者育成学校に着くと、昨日ヴァレリアに言われた通り受付へと行き、教室へと案内させてもらおうとする。

しかし、

「すみません、今始業式を行なっているのですぐに教室へ案内することができません。待合室でしばらく待ってもらいますが、よろしいですか?」

とのこと。急ぐ理由がなかったため、受付の申し出を了承し、待合室へ案内してもらう。そこでしばらく時間を潰すために魔力を練ったり、小さい魔法を作ったりして過ごしていると、部屋の戸が開き、1人の男が入ってきた。昨日の試験で戦ったヴァレリアだ。

「待たせたようだな、セリストリア。ついてこい、教室へ行くぞ」

そう言うや否や、背を向けて歩き出す。セリストリアは慌ててヴァレリアについていく。

「えっと…ヴァレリアさんが特待生クラスの担当なんですか?」

長い廊下を歩きながらセリストリアはそう質問する。

「ん?ああ、そうだ。とはいえたまに冒険者として動くことがあるからな。まあそこら辺は昨日来たヴィオーネと交代しながらうまくやりくりするつもりだ。そう言うことはつまりどう言うことかわかるよな?」

ヴァレリアは獰猛な笑みを浮かべるとそう聞き返す。

「手合わせ、ですか」

「その通り。まあお前ばかりに手合わせするわけにいかないからずっとできるわけじゃねえからな。そこは安心しろ」

ヴァレリアはそう言うが、セリストリアは何に対して安心すればいいのかわからなかった。

(多分、常に手合わせはしないって意味なんだろうけど、それでもなぁ…勘弁してくれよ)

そんなこと話しているうちに教室に着いた。

「ここだ、少し待ってろ」

ヴァレリアはそう言うと1人で教室へと入っていくと、

「今日からお前たちのクラスを担当することになったヴァレリア・マキシマムだ。よろしくな!」

大きな声でそう言っていた。すると教室からはざわめきのような声が起こる。廊下にいるセリストリアには聞こえなかったが、恐らく自分たちの担任がS級の冒険者であることに驚きを感じたからに違いない。

「早速だが、このクラスに新しく加わる仲間がいる。入ってこい」

ヴァレリアがそう言ってのでセリストリアは教室の戸を開け中に入る。

「今日から編入します、セリストリアです。よろしくお願いします」

軽く自己紹介を済ませ、一礼する。周囲からパチパチと拍手が送られる。

「よしセリストリア、お前は窓際のあの席に行け」

「わかりました」

ヴァレリアに指定された席に座ると、

「僕はレノ。よろしく、セリストリア」

隣の席からそう声をかけられる。声をかけてきたのは、眩しいほどに輝く銀髪が特徴の人懐っこそうな少年だった。

「ああ、よろしくな。レノ」

セリストリアはそう返すと、レノは頷き、前を向いた。

「さて、記念すべき最初の授業だが、お前たちの実力を知りたい。そのため、実践を兼ねた手合わせを行おうと思う。準備ができたやつから闘技場へと向かうように。以上だ」

ヴァレリアはクラスにそう言うと、セリストリアの方を見てニヤリと笑った。

(戦う気満々じゃないか…勘弁してくれよ、ほんと)

ヴァレリアの笑みを見てうんざりとするセリストリア。この後の授業がどうなるのか不安であった。

「レノ、闘技場に案内して欲しい。場所がさっぱりわからない」

「もちろん。準備するから待っていて」

セリストリアはレノに頼み、闘技場へと向かうのであった。


「全員揃ったか。ならこの手合わせについて説明するぞ。ルールは簡単だ。俺と戦う。そこに勝敗は関係ない。あくまでも俺がお前たちの実力を知るために行うからな。その代わり、全力で来い。何か質問あるやつはいないか?」

闘技場に着気、全員が揃うとヴァレリアが説明を行い、質問を求める。手を挙げる者はいない。

「なら始めるか。順番は関係ない。やりたい奴から来い」

ヴァレリアがそう言うが、すぐには誰も動こうとしない。S級冒険者が相手ということで行きたくても行けないのだろう。クラスの様子を見て、一番に行こうとセリストリアは前に出ようとするが、それよりも早くヴァレリアの前に立つ人が現れる。オレンジの髪に緑色の瞳を持って少女だ。

「まずはお前からか、名前は?」

「ルピナスです。よろしくお願いします、ヴァレリア先生」

「ああ、いつでもいいぞ」

ヴァレリアがそう言うと同時にルピナスと名乗った少女は、ヴァレリアへ接近する。剣などの武器を持っていないことから素手での戦い方をするのだろう。ヴァレリアは大剣を構え、ルピナスを迎え撃つ。

「最初はルピナスか。1番にいくんだ」

「彼女はどれくらい強いのか知っているか?」

ルピナスとヴァレリアの戦闘を見ながらセリストリアはレノにそう聞く。

「実力だけで言ったら多分うちのクラスで1番か2番くらいに強いよ。彼女の戦い方は見ての通り徒手空拳がメインなんだけど…あ、今」

ルピナスを指差す。彼女はヴァレリアから距離を取ると魔法陣を描く。ヴァレリアは魔法を撃たせまいとルピナスに接近するが、それよりも早く、彼女の炎魔法が発動し、数多くの炎の槍が雨のようにヴァレリアに降り注ぐ。

「魔法も使えるんだ。しかも魔法主体で戦う人よりも強いし、どの距離でも戦えるまさに万能型。彼女に勝てる人なんてこのクラスにはいないよ」

「なるほど、な。けど…うん。すぐ決着がつくんじゃないか?」

「え?」

ルピナスの戦い方を見てセリストリアは気付く。確かにルピナスは強いのだろう。しかし、彼女の闘い方は昨日自分が編入試験での戦い方とほとんど同じであり、試験時でさえ、対処してみせたヴァレリアは難なく、彼女の魔法を手に持った大剣によって全て消しさった。そうなることが予想外だったのか、ルピナスの動きが一瞬だけ鈍る。その隙をヴァレリアが見逃すはずもなく、一気に距離を詰めると大剣の切先ルピナスに向ける。

「動きはいい。だが、魔法の使い方がまだまだだな。もっと魔法の組み込んだ戦い方をしてみるといい」

「ありがとう、ございます」

ルピナスは悔しそうにそう言うと、後ろへ下がっていった。

「な?」

「本当だ。でもどうしてわかったの?」

「なんとなく、だ」

レノの質問にそうはぐらかし、改めてヴァレリアを見据える。

(あの程度じゃ普通に対応してくるのか…もう少し様子を見て先生の戦い方を観察するか)

そう考え、次の生徒が挑むのを待つのだった。


それから10数人の生徒がヴァレリアと手合わせを行ったが、誰も善戦することはできず、一瞬で決着がついてしまった。なんとか戦えていたのは最初に挑んだルピナスとフォルセという少年の2人だけだった。

「ここまでヴァレリア先生が強いなんてね。セリストリアは行かないの?」

ヴァレリアとの手合わせを終え、息を切らしながらセリストリアのもとに戻ってきたレノはそう言った。

「そうだな…もう少し待ちたかったけど、このままだと他の奴らもすぐ終わりそうだし、行くか。行くしかないのか、はぁ…」

かなり嫌そうにセリストリアはため息をつく。その様子にレノは首を傾げるが、なんでもない、と伝えると、前に出てヴァレリアと対峙する。

「ここでお前が出てくるのか、セリストリア。俺に勝てる方法でも思いついたのか?」

「そんなわけないでしょう。どの人たちも一瞬で終わらせたのに何言ってるんですか。ただ、まあやれることはやるつもりですよ」

「そうか、それは楽しみだな。いつでもいいぞ」

2人の会話を聞いて他の生徒は首を傾げていたが無理もない。この2人は昨日も戦ったことは誰も知らないのだから。

セリストリアは剣を構える。対峙するヴァレリアも大剣を構える。2人はそこからジリジリと互いの距離を詰めることなく、円を描くかのように動く。その様子を見て誰かが、息を呑んだ。その音が聞こえたのか、2人は同時に動き出すと激しい剣戟が起こり始め、金属音が鳴り響く。

「すごい…」

誰かがそう呟く。

(セリストリアってあんなに強いんだ。先生相手に一歩も引かずに剣を打ち合ってる…すごいな。ルピナスもフォルセもなんとか戦えていたって感じだったのにセリストリアはそんな感じがしない。しかもまだ何かあるような…そんな気がする)

自分はまだまだなんだなと思いながら2人の戦いを観戦する。

「ははっ!この前と違って真っ向勝負ってか‼︎いいねぇ!楽しませてくれよ!」

ヴァレリアはそう言うと大剣を振る速度をさらに上げる。

(おいおい、大剣をこの速さで振るのおかしいだろ⁉︎なんでそうなるんだよ!)

それに対して内心焦りながらもなんとか対応するセリストリア。とはいえこのままだと押し切られるのではないかと感じていた。

(魔法を使うか…けど前と同じやり方じゃ余裕で対応されるからな。さて、どうしようか)

激しい剣戟の中そう考える。

「おいおい、さっきから仕掛けてこねぇじゃねえか!もっと楽しませろ‼︎」

ヴァレリアがそう言いながら大剣を振り下ろす。それをセリストリアは後ろに跳んで躱し、距離を取る。剣を構え直し、ヴァレリアを見据える。

「これで終わりってわけじゃねぇんだろ?まだまだ楽しませろや」

大剣の切先をセリストリアに向けながら獰猛に笑う。それを見てセリストリアは苦笑し、

「まあそうですね」

とだけ返すと、どう攻めるか思案する。

(魔法を使うのはいいとして何でいくかだな。炎ばっかじゃ面白みに欠けるけどそれ以外を使うのもなぁ…やっぱり炎しかないか)

使う魔法を決め、ある程度のプランを立てる。息を深く吸い、気持ちを切り替えると、地面を強く蹴り、一気にヴァレリアへと近づく。

「へぇ?そうくるのか」

セリストリアが距離をとったため、昨日のように魔法を使ってくると考えていたヴァレリアは予想外といった表情を浮かべるが、大剣で迎え撃とうと剣を構える。互いの距離が剣の間合いに入った瞬間、セリストリアは手に持った剣を投げた。

「はぁ⁉︎」

セリストリアの予想外の行動にヴァレリアだけでなく、クラスメイトも驚く。ヴァレリアは投げられた剣を大剣で弾くと、間近に迫っていたセリストリアを見る。セリストリアは拳を握り、突き出すがそれを難なく躱すと、お返しとばかりに蹴りを入れる。セリストリアの腹部に直撃した瞬間、セリストリアの体は炎となって霧散した。

「は?」

予想外といった様子で素っ頓狂な声を出す。その一瞬を見逃すことなく後ろに回ったセリストリアはヴァレリアの首筋に蹴りを入れる。ヴァレリアはそれを躱すことができず、直撃をする。

「かはっ」

ヴァレリアは意識が飛びそうになるが、なんとか持ち堪えると、大剣を後ろに振る。それはセリストリアに直撃するが、先ほどと同じように炎となって霧散した。

どういうことだ、と思った頃にはヴァレリアの周囲には炎の剣が数十本浮かんでいた。

「これで終わりです」

セリストリアの声が響くと同時に炎の剣がヴァレリアへと降り注いだ。セリストリアは剣を構え、いつヴァレリアが来てもいいよう警戒する。しかし、その警戒をなくすかのようにヴァレリアの笑い声が響く。

「いいねぇ、ここまでやるとは思わなかった。ここまででいいだろ」

そう言うヴァレリアは服がところどころ焦げており、皮膚も火傷を負っていた。

(やりすぎたかな)

セリストリアはそう思ったが、実践形式なんだし、まあいっかと割り切った。

「よし、まだ手合わせしてないやつは前に出てこいよ」

セリストリアの番はこれで終わりといった様子で次の生徒がくるように促す。セリストリアはそれを見てレノの元へと戻る。

「お疲れ様、セリストリア。すごいじゃん、あんなにやれるなんて思わなかったよ」

レノは労いの言葉を述べると、先ほどの感想を率直に述べた。

「全く、先生は手加減ってのを覚えてほしいよ。流石にしんどかった」

「まああんなに戦えたら先生も手加減なんてしてる余裕なんてなかったんじゃない?それに…」

「?」

セリストリアは首を傾げると、レノは周囲を見渡すと

「多くの生徒が君に興味を持ったみたいだしね。もちろん、僕もね」

そう言って微笑む。

「おいおい、勘弁してくれよ。流石に面倒事はごめんだぞ?」

「こればっかりはしょうがないよ。まあでも大きな問題にはならないとは思うけどね?」

含みのある笑みを浮かべそう言ったレノ。

それを見てセリストリアは頼むから面倒なことは起こらないで欲しいと心から願ったのであった。

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