第一話 Let's Go転生
なぜか俺は、異世界の街にいた。なぁんで、こんなことになった? 思い出せ、思い出すんだ!
「いただきます」
そうそう。俺は朝飯を食べようとしてたんだ。
「って、熱ッ!」
思った以上に、パンが熱くて、
「アッ」
そうだ思い出したぞ。大げさ過ぎるリアクションをして、イスと一緒に後ろに倒れたんだ!
「って、こんな死に方があるかァ!」
ふざけんなよ! これで異世界転生とか只の恥じゃん!
「ハイ、ソコノキミ~」
えっ誰?
「テンセイシタヨネ~」
「何で分かるんですか?」
「ン~カンバンミテ~」
看板? あ~コレか。なになに~ 《転生または、転移スポット》 わぁ~なにコレ~
「キミドコカラキタノ?」
「あっ日本です」
「ア~ナラ、これで聞き取り安くなった?」
メッチャ流暢に話すじゃん。
「日本のどこから来たの」
「東京です」
「あ~東京ね。首都なら楽だね」
東京知ってんだ。つか、楽ってなんだ?
「どういう意味ですか?」
「ん~明日、帰れるよ君」
そりゃスゴいっすね~え~てか明日なんだ~
「あっでも、俺。死んでますよ?」
「大丈夫、大丈夫。肉体の情報が向こうにあるから」
え、なにそれ
「今の君は、魂の情報だけなんだ。その体も魂の情報で作られてる。で、一つの存在には二つの情報があってね。もう一つが、肉体の情報。今の君で言うところの、死体だ」
ん~よく分からん。
「取り敢えず君は、向こうの世界にある、死体が有る限り戻れるってこと。逆に言えば、原型が失くなったら、戻れないってこと」
は~つまり、タイムリミットが在るわけだ。
「あっでも、それだと腐敗するんじゃ」
虫とかにも食われたり。
「そこは、異世界ボーナスでコーティングされてるから大丈夫だよ」
とりあえず安心して良いのかな?
「それじゃあ明日、強制送還するから」
「ちょっと待ってください。俺、異世界で生きたいんですけど」
転生したなら、さ?
「・・・君にどんな事情があるのかは、知らないけど。帰らなかったら、死ぬよ?」
えっ
「そもそも、魂の情報と肉体の情報は二つで一つ。片方かけてる状態で存在することはできない。だから、死ぬ」
でも、それだと、
「俺、今、生きてますよ?」
「異世界ボーナスだよ」
ボーナスで生きてんだ、俺。
「・・・逆はできないんですか?」
向こうに返せるなら、こっちに持ってくることも、
「できるよ。できるけど、肉体がこの世界に合わずに死ぬだろうね」
そっか、せっかく転生したのに、戻んなきゃいけないのか。
「難しいこと考えても難しいだけだから、まっいっか! 逆に言えば、今日一日は楽しめるって、ことですもんね!」
「まっそう言うことになるね。ハイ、生活費。一日だけだけど、異世界にようこそ!」
「あざっす。それから、よろしくお願いします!」
さぁ~楽しむぞ~
「それから、街からは出ないように」
「何でです?」
「魔物がいるからね。今の君は、スキルも無ければ、魔法も使えない。なんなら、戦闘能力も皆無だから、スライムすら倒せないよ」
スライムすら! あの、序盤最弱モンスターのスライムすら!
「ラノベとかに良くある ❰禁忌魔法❱ とかその辺使うよ」
もうそれ、スライムじゃねぇだろ。
「何でラノベを知ってるんです?」
「転生、転移者の中には、持ってくる人も居るんだよ」
へぇ~ラノベじゃ教えてくれない知識~
「あとコレ付けて」
ん。なんだこれ、シール?
「オオ、何か表示された」
《私は転生者です》
「ダサっ」
「分かりやすいことに越したことはないでしょ?」
そりゃそうだけど。
「これ付けとけば、君の言葉もこっちの世界の言葉に変換されるから」
便利~異世界チョー便利~
「それじゃあ、また明日~」
「ありがとございました!」