「第1話」普通ではなくなった日常
初めまして、「なー」と申します。初挑戦なのですが、みなさんに楽しんで頂けたらとても嬉しいです。不定期ではありますが連載していく予定ですので、よろしくお願い致します。
数年ぶりの快眠から目覚めた僕、上ノ瀬湊は今まであった違和感からの解放に安堵していた。物心ついたころからカウントして七回目となる今回の解放は今までで一番気分が良いものとなっていた。
「こんなに快眠できたのはほんとに初めてかも」
思わず誰もいない家で独り言をつぶやいてしまうほど気分がよかった。今年で二十歳になる僕は実をいうと、両親を亡くしていた。父は物心つく前から、母はほんの一年前に....
母は生前、父の話を一切してくれなかったがよく僕にこれだけは守れと言われてきたことがあった。それは”人に優しくしなさい”であった。それを守ってきたおかげで僕は穏やかな性格になったと言えるし、人にも優しくしてもらえている。母は僕を上手に育ててくれたと思う。
「今日も頑張るか!」
短く自らモチベーションを上げるという高等テクニックを披露して体を大きく伸ばし、自分の体の軽さを再確認する。
肩を回したり腰を回したり、最高に調子がいい体に気分が上がっていたが直後に鳴った轟音のせいで気分を害する。
この轟音は巷で噂の「世界防衛ギルド」と「悪魔」の戦いが起こっている証拠。
数年前までなら近所迷惑もいいとこだと騒ぎ散らかすのだが、今となっては消防車のサイレンと同じくらい馴染みのある音になってしまっていた。一応気になったのでアパートのカーテンを空け、外を覗くと赤を中心とした鎧を身に纏っている数人の人たちとどす黒くオーラを放っている人型の物体がアパートの前で攻防を繰り広げていた。僕のアパートの前で......。
家を壊さないでくれよと内心毒づきつつも、実際にギルドの皆さんにクレームは入れない。その理由はもちろん悪魔から身を守ってくれるからである。
彼らは突如として体に異変が起きた人達で構成されている組織であった。体に異変が起きたと証言した人は日本の人口の五割に達していて、さらにその中から優秀な人材を選出しているのだという。何をもって優秀としているかというと、彼らの身体能力と"異能"で決めている。
"異能"とは言葉通り異質な能力のことである。魔法のように炎を操ってみせたり、姿を消してみせたりと様々な異能があるらしい。異能の質や、量によって身体能力が変わってくることから異能持ちでも差が生まれるというのはテレビの受け売りである。
僕たちも世界防衛ギルドも、もちろん普通の人間なので特別何か持ってたわけではなかったのだか数年前から変わってしまった...
ある朝、一人の男性が天使と名のる者と遭遇したいうニュースを見た。それも何もないところから突如として現れたと言う。その後次々に天使と遭遇したという人が続出した。そんな彼らに共通して天使はこう述べた。
「貴方は選ばれました、貴方に力を授けましょう。」
このニュースを見て僕はバカバカしいと思ったのだが、周りの友人までもその話でもちきりになり手に入れた異能を見せびらかす姿を見て憧れを抱き始めた。今までの傾向を見る感じ一人に一つ何かしら力を与えられると思い、僕は何がもらえるのかとワクワクしたものだ。
それからまた月日がたち異能持ちが五割に至ったあたりでそれらが日常になった。今、目の前で動きやすい鎧を着た選ばれた人達と悪魔の戦いも日常と化したのだ。あの禍々しいオーラを放っている悪魔でさえ立派な日常である。
あ、もちろん僕は選ばれなかった側ですよ?能力を持ってないからランニングや筋トレを始めたのだが魔法のように炎を操ったりする人間もどきと戦って勝てるわけがないのだ。悲しいかな、これが現実になってしまった。
中には異能二つ持ちなども存在することを最近聞いたのだが、彼らはギルドの上位十名として名声を上げお金を稼いでいるらしい。上位十名ともなれば年収億は下らないのだとか。
「あっ.... 」
たった今悪魔が倒されたようだ。上位勢がいないのにこの迅速な作業となるとどれだけ優秀なのか計り知れない。異能持ちというのは文字通り人並み外れるらしい。彼らはこれから悪魔から取れる魔石を売って儲けにするんだろうなあ...羨ましい。
しかし、ここで嘆いていても仕方がないのである。せっかく体の違和感が取れたので、仕事休みだし運動してくるか。軽く運動できる服に着替えさみしい一人暮らしの家を後にする。
――――――
「ふう....]
小さく呼気を整え魔石の回収を部下に命じる彼、世界防衛ギルド序列十一位の佐久間琉生は近くのアパートから出てくる少年に目がいって小さく驚いた。なんの変哲もない一般人でこれからランニングでも行くのかと思わせるようなジャージを着ているのだが、普通ではない点があった。
「なんじゃありゃ....」
何を根拠にそのような発言をしたかなんてギルド職員なら誰でもわかりきっていた。異能持ちでなくとも気付くほどのオーラを、顔色一つ変えず放っていた。
本来、異能持ちならオーラを解放していたら威嚇したとみなされ警戒される。警戒されないように普段はオーラを抑えるのが普通なのだが、彼は抑えていなかった。オーラをまったく制御できておらず揺らめいていた。制御できていないところから彼は能力に目覚めたばかりの素人だということに気付く。
(こいつはギルドに招待しておいた方が今後のためになるな)
部下も気配を感じ取ったのか佐久間に、
「佐久間さん...あれ...」
「ああ....わかってる」
部下も上司である佐久間にどうするか確認してくる。すかさず佐久間は逸材を逃すべく彼に話しかける。
「おい、そこの君!少しいいかな?」
世界防衛ギルドとして威厳を見せつつ彼をどう勧誘しようか頭を悩ます。彼は磨けば光る原石。それこそ上位十名に食い込んできそうなほどに。
そう思考しながらそれとなくジャージの彼を誘う。しかし、顔も知られているであろう佐久間に勧誘されても”自分では力になれない”と言うのだ。
(これだけのオーラを放っておきながら.... )
彼をギルドの序列で例えるとすでに二十位に到達していそうだった。しつこくするのもよろしくないだろうと思い至り、彼を自由にしてやる。
「よろしかったのですか?悔しいですが彼、今の俺より強いですよ」
実をいうと佐久間もそう思っていた。訓練も何もしていない状態であれなのだから相当質の良い異能を獲得したのだろう。それでも彼は佐久間に一歩及んでいないようだったので危険視しなかった。異能持ちは能力を活かすことができても成長させることはできないのだ。この時、佐久間は異能が体に馴染みつつある彼の背中を目の当たりにした。
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天使界、それは神が悪魔界より湧いてくる悪魔から人間界を守るために創り出された天使を保管している世界。神は人間には及ばないものの、かなりの数の天使を創りだし統治していた。しかし現在、創造主である神の不在により、天使達の意思で人間界に赴き、人間に力を与えていた。
天使は通常、単独で戦うことができない。せいぜいが異能を創造し人間に贈与するくらいのものである。そのように神が創ったのだ。ここ数年で人間と悪魔の勢力が拮抗してきたことにより天使たちはあまり人間界を監視しなくなっていたが、何体かの天使が人間界の異変に気付いていた。
とんでもないオーラを放ち、どこか懐かしさを与える一人の男に......
「嗚呼、あの気配は.... !」
その内の一体が高揚感に我を忘れしまいそうになる。彼のところに行かなくては、と判断したのである。
「だって彼は....キャハハハハハ!!」
天使界に一体の天使の笑い声が響いた。下級の天使たちは笑い声の主が誰かすぐに判別がつく。怒らせてはいけないその人。
天使は上下関係を絶対視している。上司は七体、残りは同僚。簡単な上下関係だからこそ、その七体のことは誰も忘れない。
天使界で七体いる戦える異能持ち、七天使の中で最も神への信仰心が厚い七大天使序列二位。
名を「ガブリエル」という......
改めましてこんにちは。なーと申します。初挑戦だったのですが、楽しんで頂けたでしょうか。私はやっぱりアクションが好きなのでこれから主要人物にはどんどん戦ってもらいます。拙い文章で下手と思ったかもしれませんが、暖かい目で見守って頂けると幸いです。感想などを頂けますととても励みになるので、面白かったとか面白かったとかちょっとしたことでもいいのでよろしくお願い致します。次回は未定でございます。