表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カーマン・ライン  作者: マン太
第3章 仲間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/82

14

 武装した兵士が姿を現し、あっという間に周囲を取り囲んだ。

 その手にはレーザー銃が握られている。

 腕に帝国の腕章をしているだけの軽装だが、体格の良さは一般兵のそれとは異なっていた。元は傭兵部隊なのだと、ケイパーは知らない。

 その兵士をかき分けるようにして、進み出た人物がいる。

 肩に零れる金色の髪が目に眩しい。


「ソル」


 名前を呼ばれたソルは、弾かれた様に顔を上げた。


「アレク…」


 小さい呟きが口から洩れた。それまで陰っていた表情が一変して光が差すように和らぐ。見たことのない表情だった。

 それだけでこの男が特別なのだと知れる。

 ケイパーは男を見返すと。


「あんた…。ソルを連れてった奴か?」


「口を慎め!」 


 ぞんざいな言葉に兵士がケイパーの首元へ銃を突きつけた。アレクはそれを手で制すると。


「そうだ。君は…ソルの友人か? 戦場でソルに助けられただろう? そうしなければ私が撃ち落としていたはず…」


 カッとケイパーは頬を染めると、アレクを睨みつけた。


「ソルが助けなくったって、お前なんかにやられるもんか。俺だってソルだから攻撃を止めたんだ。あんた、あの時、やっちまえば良かった! ソルがいたから俺は…」


「後では何とでもいえるな。まあしかし、お前も能力者の片鱗があるようだな? が、こちらに来る気はないだろう? 来ればソルと共に重用するが…」


「誰が行くかよ! あんたらには随分仲間をやられた…。死んだって仲間になんかならねぇ!」


 アレクは薄く笑うと。


「先ほどの会話を聞かせてもらった。お前のように半端な能力者でも、連合にいれば手を焼く。ここで撃ち殺してしまった方がよさそうだな?」


 すると傍らにいた兵士が、手にしていたレーザー銃を更にケイパーの喉元に突きつけた。

 ケイパーは息を飲む。ソルが慌てて止めに入った。


「やめてくれ! アレク。ケイパーは悪い奴じゃない! 友だちなんだ…」


「友だち…か」


 アレクは鼻で笑うと、ソルに一瞬だけ視線を向る。

 その後、素早く懐から取り出したレーザー銃で、有無を言わさずケイパーの胸を撃ち抜いた。


「っ!?」


 熱い衝撃が身体を貫く。


 ソル…。


 そこでケイパーの視界は暗転した。


+++


 ひょろりとした長身の身体が、どっと床に崩れ落ちるように倒れた。


「ケイパー! アレク、どうして…っ?」


 格子に駆け寄ってすぐ足元に倒れたケイパーに声をかける。その胸元が血で染まっていくが、誰も手当てをしようとはしない。


 このままじゃ、ケイパーが!


「ソル。そいつの右手を見ろ」


「!」


 いつの間にかその手には銃が握られていた。ソルからは陰になって見えていなかったのだ。


「何もしなければ、私は撃たれていた。ここに倒れていたのは君の友人ではなく、私だったかもしれない。…それでも、この『友人』を助けろと言うのか?」


 試されていると思った。

 ここで選択を間違えればきっと、アレクとは二度と会えないと感じる。


 俺が守りたいのは──。


 震える手のひらを握りしめると。


「…言わない。…アレク。俺を…連れて行ってくれ。頼む…」


 その瞳をしっかりと見つめ返す。


「分かればいい…。格子を開けろ。それとこの青年を医務室へ連れていけ。急所は外した。死にはしない」


「は!」


 兵士がケイパーに処置を施し何処かへと運んでいった。格子が開けられ、ソルは解放される。

 開いたところへアレクが手を差し出した。


「来い。二度と迷うな」


「…はい」


 アレクの手を取ると、しっかりとそれを握り返された。そこからアレクの強い意志が伝わって来るよう。


 俺はこの手を離せない。離したくない──。


 強くそう思った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ