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カーマン・ライン  作者: マン太
第3章 仲間

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36/82

10

 ブラシノス連合が補給基地としている惑星に近づいた所で警告の信号が出された。

 巡回していた哨戒艦に発見されたのだ。

 それを無視して、攻撃準備を開始し戦闘機を発進させる。

 今更こそこそしても仕方ない。正面から堂々と攻撃をする構えだった。

 そんな無謀にも思える計画を実行に移せるのも、ソルの存在があってこそ。

 今までは能力者として戦闘に参加できるのはユラナスとラスター、リーノのみだった。ユラナスは副官も兼ねる為、おいそれと戦場に飛び出して行くことは出来ない。

 そんな中、ソルが加わったことで、より強力な攻撃を行えるようになったのだ。

 連合にまだそういった攻撃をする様子は見られない。一般の兵相手なら敵なしだった。

 そうは言っても連合も大切な補給基地。防衛能力はそれなりに備えている。

 攻撃型巡洋艦とそれにつく護衛艦として、巡視艦がついていた。勿論すべて攻撃に対応できるものだ。

 警告を無視したため、相手も戦闘機を出撃させてくる。連合の戦闘機は鋭いくちばしをもつ機体が主だ。

 帝国も似てはいるが、アレク達の機乗する機体は、どこでも見たことのない特殊な形をとっている。

 ソルが搭乗しているコックピットは半球体で、パイロットの後方上部に取り付けられていた。人間でいえば脳にあたる部分を担うことになる。

 主操縦士のパイロットの乗るコックピットはその下前方にあり、攻撃に特化していた。全体的には後方に大きく膨らんだ優美な流線型を取っている。

 連合軍の機体は編隊を組み飛んで来た。

 それにあわせてこちらもリーノとアルバ、ラスターとザインの機体が、敵機目掛けて飛んでいく。

 それに先んじてアレクとソルの乗る機体が駆けていった。


「ソル、好きな様に飛べ!」


「はい…!」


 言われた通り、敵の存在を感じて飛ぶ。

 敵の前へ躍り出る度、一つ、また一つとアレクが撃ち落としていく。

 ソルは向かってくる全ての感情をシャットアウトした。


 アレクの為に──。


 そっと瞼の上にアレクが手を置いている、そんな感覚だ。

 撃墜された機体が火花を散らし、炎の塊となって後方へ飛び去る。

 と、向かって来る敵の中に覚えのある感覚があった。


 誰だ? これは──。


 知っている。


 それと思われる機体が接近した際、はっきりと分かった。


「ケイパー…」


 間違いなかった。濃いグレーの機体。尖った先端を持つ機体はハチドリを思わせる。


 向こうに俺の事は分からないはず──。


 アレクに狙われれば撃墜は免れない。

 そうと分かるとアレクが攻撃に移る前に、その尾翼と右舷の翼を一気に撃ち抜いた。


 済まない。ケイパー…!


 機体は煙を吐きながら大きく旋回する。

 すると、それ以上の攻撃は無理だと判断した機体は後方へ下がっていった。


『ソル、どうした?』


 インカム越しにアレクが尋ねて来る。アレクが攻撃する前に撃ち落としたのだから、不審に思うのも当たり前だろう。

 しかし、それには答えず。


「…いえ。撃ち損じました。すみません」


『──そうか。そろそろ後退する。後はアルバ達に任せよう』


 そうは言ってもほとんどの機体は撃ち取られていたが。アレクの指示に従い戦場を後にした。



 帰艦しキャノピーを跳ね上げたまま、コクピット内で先ほどの感覚を逡巡していると、先に降りたアレクが声をかけてきた。


「疲れたか?」


「あ、いや…」


 アレクは少し思案する様に顎に手をあてたあと。


「先ほど──撃ち損じた敵機に何かあったか?」


 アレクにはお見通しらしい。ソルはコックピットから降り、アレクの傍らに立つとその顔を見上げ。


「…昔の、連合軍にいた頃の、友人…だったかも…」


「感じたのか?」


 アレクの問いに頷く。


 あれはケイパーだった。


 ケイパーと分かって撃ち落とすことはできない。

 他のメンバーには甘いと笑われるだろう。戦場に出れば命の取り合いで。皆、覚悟を持ってそこにいる。

 そこへ飛び込んで置いて、攻撃したくないなど、矛盾している。覚悟が足りないと言われるだろう。

 しかし、アレクは頬に指先を触れさせると。


「友人であったなら手は下せないだろう…。君のその能力が相手を救ったな? だが、私を狙うなら、その人物も撃ち落とせるのだろう?」


「アレク…」


 そのはずだ。


 ただ、実際そうなった時、自分は選べるのか。困惑して見返せば。


「すまない。困らせるつもりはなかった…。あのやられようだ。もうその友人も当分戦闘には出てこないだろう。気に病むな」


 アレクはソルの背に手を回し、促すように歩き出した。


 ケイパーがもし、アレクを襲うなら。俺はきっと──。


 アレクの横顔を仰ぎ見て、ぐっと手のひらを握り締めた。



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