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カーマン・ライン  作者: マン太
第3章 仲間

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9


 帝国と連合との戦闘は激化していた。

 その後も連合軍の補給施設を叩き、徐々に力を削ぎ落とし弱体化へと導いていく。

 暫くのち、頃合いを見計らい帝国軍本部から大規模な指令が下った。

 それは今後予定されている、連合軍への総攻撃への第一歩となるものだった。

 アレクにより呼び出されたメンバーが鑑内の会議室に集まる。


「これから連合軍の本部に近い補給基の一部を破壊する。これは帝国軍本部の指示によるものだ。近々、総攻撃を仕掛けるための布石だと言う事だ。空港の破壊と、エネルギー補給のための基地を爆撃する。目的が完了したら速やかに撤退だ。後は外部から応援に来る連合の艦隊も叩く。修復を遅らせるためだ。以上、詳しい作戦と組み合わせはユラナスから説明がある」


 それを引き取って、ユラナスが詳細な作戦と最後にパイロットの組み合わせを告げた。


「──組み合わせは、ザインはラスターと。アルバはリーノと。ソルはアレク様と。以上です」


 そこで少しざわつきがあった。

 能力を持つもので戦闘に使えるのは、今の所、ラスターとリーノ、ユラナスのみ。能力が高いとは言え、実戦経験の少ないソルは予備扱いだった。

 それまでは、パートナー不在の為、緊急措置でアレクと組んでいたのはユラナスで。

 ソルの実力は先の戦闘で立証されてはいたが、それを即アレクにつけるというのは如何にも乱暴な手法に思えただろう。ソル自身もそう考える。

 ただ、アレクの態度からそうなるであろうことは予測が付いていたが。


「うちのボスは中々大胆だな?」


 本人を前にザインが皮肉交じりにそう口にするが。


「一人増えればそうなる。互いのバランスを考えての配置だ。文句があるなら今言え」


 アレクは腕を組んでザインを見返す。


「何も。適材適所、だろうからな? 公私混同してないってのは、前の戦闘の結果で分かってる。だが、ソルはまだ慣れちゃいねぇ。そこんとこ、分かってんのか?」


「全て了承済だ。ソルの力が最も引き出されるのは私と組んだ時だけだ。…理由は分かっているんだろう?」


 アレクの口元に意味深な笑みが浮かぶ。それを見てザインはため息を漏らすと。


「分かったよ…。今日の所は諦める。──ソル」


 呼ばれてザインを見返す。

 漸く重苦しい空気から開放されるとホッとした所だった。


「何ですか?」


「アレク一人を一途に思うのも結構だが、他に視野を広げるのも悪くないぜ? 自分の可能性を狭めるなよ?」


 それだけ言い残すと、ザインは一番にそこを退出していった。

 普通の軍隊であればまずないやり取りだろう。だが、アレクが自由にさせているため、幾ら帝国に所属したからと言って、自由な気風、そこは変わらなかった。


「…他に意見は? ないようでしたらこれでミーティングは終了します。準備後、指示があるまで各部屋で待機をお願いします」


 ユラナスの言葉にその場で解散となる。

 ソルも皆に習って退出しようとすれば、アレクが引き止めた。


「ソル。ここへ」 


「はい…」


 傍らを通り過ぎるラスターの視線が刺さるようだった。それをリーノが背を押すようにして退出させる。アルバは目配せで気にするなと苦笑して見せた。

 それに同じく笑みで返してから、アレクの元へと向かう。


「なんでしょうか…」


 皆が退出したのを確認すると徐ろに口を開いた。ユラナスだけがそこに残る。


「お前は視野を広げたいと思うか?」


「いいえ。思っていません。それに──俺に口を出す権利は無いと思ってます…」


「従順だな?」


「…でも、ひとつ言わせていただけるなら…正直、俺にアレクは勿体ない気がして…」


「勿体ない?」


 アレクには珍しく呆れた声を上げる。ソルはアレクを正面から見据えると。


「アレク。あなたはパイロットとしての能力が他の誰より高いです。ザインと組んだからわかります…。ザインの言ったように俺はまだ戦闘に慣れていません。だから、きっとあなたは思う存分、力をふるえないはず…」


 しかし、それをユラナスが引き取って。


「それを考慮しての組み合わせです。あなたの不足分を補えるのはアレク様しかいません。残念ですが、一番力が馴染むのは今の所…」


「そういう事だ。何も案じる事はない。それに──」


 アレクはソルの顎をついと指で捉えると。


「君が他の誰かと組みたいと申し出ても、許可するつもりはない。…ソル。君は私のものだ」


「……」


 ソルは熱の籠もった強い眼差しに何も言えなくなる。

 それでも、そんな眼差しを向けられる事に不快感はなかった。逆にその思いに応えたいと思う自分がいる。


 アレクの為に──。


 ソルの中心にいるのも、アレクだけだった。

 


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