4人目の思い出{side:フェリオ}(孤児院の少年後)
【フェリオ】
僕は物心が着いた頃には協会に居た。
産まれたばかり赤子の時に教会の前に捨てられていた所をシスターが拾ってくれて、フェリサティと名付けてくれた。
優しい孤児院のみんなを僕は本当の家族のように思い、過ごしていた。
ある日お使いに街へ行った。買い物を終わらせ、夕方に帰ると教会がとても静かだった。不安になりながら中に入るとそこは、血の海だった。シスターや兄弟が血を流して倒れている。皆死んでいた。
放心していると街の警備隊がやってきて保護された。
それからの記憶はなく、目が覚めた時は数日後だった。
その時聞いた話だと、金品を狙った賊が入ったそうだ。金目の物がないと知ると、皆殺しにしたそうだ。
たまたまお使いに出ていたから生き残ったという訳だ。
警備隊から別の孤児院へと預けられたが馴染むことが出来ず逃げ出し、転々とした。
僕を育ててくれたシスターが「貴方の信じる空を探しなさい。空が無ければ人は生きれないから。」とずっと言っていた。
聞いていた時は意味がわからなかったがいなくなってから、シスターが空だったのだと思った。
新しい空をさがしたが、どの孤児院にも見つからない。それどころかどの先生も、「昔のことを忘れなさい」と言ってくる。僕にとってはその孤児院がシスターが家族だったから忘れることが出来ないのに、と思いまた逃げる。
ある時から、シスターのつけてくれたフェリサティを名乗る資格がないような気がして、自らのことをフェリオと名乗るようになっていった。
山を超えて別の領地に入ったようだ。平和な領地だった。裏路地に入り隠れていると、シスターの格好をした女の人が話しかけてきた。
「行き場がないのなら、教会にいらっしゃい。嫌なら出たらいいからね、ご飯だけ食べにいらっしゃい。」と手を繋いできた。
ついて行くと、大きな木がある教会だった。行き場もないからそこにいることにした。
それから数日後に綺麗な空と出会った。彼女は僕の頭を撫でてくれて、それが何故かとても安心できた。一緒に来ていいと言ってくれて、連れて行って欲しいと思いスカートの裾を引っ張った。
リティは帰り道に大きなぬいぐるみを買ってくれた。昔シスターがくれたぬいぐるみに似ていて、顔を埋めて涙を隠した。
リティの屋敷に行くと、ノアという執事が屋敷を案内してくれた。何故かは分からないけど、ノアとどんな話でもしていい気がして色々話をして、気がついたら寝ていた。
夢の中でもリティはシスターと同じように頭を撫でてくれた。
シスターが死んでから、どれだけ孤児院が変わってもリティと出会ってからも、変わらず心の中にあるのが「死に損なった」だった。