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黒の空を彩る  作者: Alice
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9人目の思い出{side:ネアル}(当主中編後)

【ネアル】


物心着く前から両親に嫌われていた。理由なんて知らないけど、毎日暴力を受けながら生活していた。

3歳差の弟が産まれてからも続く攻撃。


弟が傷つかないようにと庇う。家族は大事にしなければならないと絵本で読んだから、暴力を振る両親の言うことを聞いて、ただ1人の弟を守りながら暮らした。


親がつけてくれなかった名前を弟と考えてつけ合った。



ある日、私を庇った弟が叩かれた。

親だから、家族だからと耐えてきたが私は勘違いをしていたみたい。私の家族は弟だけだったのだ。


いつものように殴られそうになった時、弟が後ろから父を刺した。驚いて一瞬固まった母を近くにあった本で殴り殺した。



それから数日後に異臭がすると訪れた憲兵に保護されて親戚に預けられることとなった。この時私は7歳、弟は4歳だった。


2人を引き受けてくれる親戚がおらずバラバラに預けられた。弟が引き取られた家はここから離れた所らしくもう会えないのかもしれない。優しい夫婦だと聞いたから大丈夫だろう。


私が引き取られた先は、母の兄の家族だった。妹を殺したのが許せないとまた暴力を振られるようになった。引き取られて10日も経たずに家から離れた河原に置いていかれてしまった。

どこに向かう訳でもないが、ゆっくりと川下へ向かって歩き出した。これまで殴られた所や小石を踏んだところが痛む。

アルビノである私は太陽が苦手だ。肌は赤くなり痛みがする。意識が朦朧となりながら進み続けた。

気がついたら森に入っていて霧の立ち込める中、気を失った。



気がついた時、布団の上だった。

傷も手当されていて驚いた。暖かいタオルを持って来てくれたのは青白い髪の綺麗な女の人。

アルビノである私に驚くかない、不思議な人。彼女はヴィアと名乗った。


ヴィアと一緒にいた子はアスタリシアと言っていて、シアと呼ばせて貰うことにした。シアとは歳も同じらしくよく話をした。


家を追い出されて行き場がないと話すと一緒に住んでいいと、2人は言ってくれた。一緒に暮らし始めてから悪意に囲まれてきた世界は一転して、幸せな時間が続いた。

半年くらい経った頃、ヴィアに付きまとう大人が現れて私達の時間を奪う。でも暴力は振るうことはなかった。


ヴィアは「あの人と一緒に暮らしたい、シアと3人で彼の屋敷に行こう」と言った。迷ったけどシアも一緒に行くからと言われて私は首を縦にふる。

屋敷に入ってからシアと一緒にメイドとして働き始めた。仕事内容はヴィアのお世話。シアが裏の仕事をすると言っていたから、私も、もうひとつ何かをと考えた。その時、私の家にあった箱に似たものがありそれに目を惹かれ見つめていた。

それは死化粧師の使う化粧箱だと説明されその仕事をすることにした。



領主様の屋敷に来てから6年、ヴィアの身の回りのお世話と納棺師として働いていた。


ヴィアが亡くなって死化粧をする時にとても綺麗だと思い、ずっとそばにて欲しかった。ヴィアが大人にならなくて良かった。大人は怖い。

だから1番綺麗な姿で留めれて良かった。

ずっとその姿でいてね。


私に触れてくれたその手を微笑んでくれた顔を整えさせてくれたその髪をそのままの姿でいてくれる事が嬉しくて、毎日お世話をする。

ドールとなってその姿は変わらない。私だけの美しい人。


若くして死ぬという、これ程幸福な事はない。

美しい姿で旅立てる。人の記憶の中も美しいままなのだから。歳をとり、大人になると心が外見が汚くなる。そうなる前に止めるべきなのだ。



屋敷が襲撃された時、ヴィアと一緒に燃えようと思った。屋敷が燃え落ちる中そのまま留まっていると、誰かに背中を押されてしまい抜け道の前に立つ。地下には私1人しか居ないのに。

振り向いてもやはり誰もいない。でも、確かに誰かに背中を押されたのだ。

ヴィアを置いて抜け道に入ってしまい、奥が崩れ戻れなくなってしまった。途中でブレアと出会い腕を引かれる。

裏口につき、外に出ようとすると人が倒れてきた。ロッテが倒した敵らしい。


3人で燃える屋敷から離れながら正面へ向かうと、お嬢様が戻ってきていた。シアも無事で安心し状況確認をする。チェーロ家は私達を除いて全滅だったらしい。


残った使用人はみんなお嬢様について行くそうだ。少し悩んだが、ヴィアに拾ってもらった頃を思い出し一緒にいたいと思った。「今までヴィア様にさせて頂いていたように、どうかお嬢様を着飾らせて欲しいです。」

美しいまま最後まで。





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