8人目の思い出{side:レヴィツキー}(当主中編後)
【レヴィツキー】
俺はあいつが幼い頃から知っている。
人を信頼出来ないあいつが、俺を友と呼び暇があれば屋敷から抜け出して遊びに来ていた。
あいつ、スコルドとは旧友ってやつだ。
あいつは誰よりも優しくて誰よりも不器用だった。兄弟が多く、産まれた時から後継争いを続けていて屋敷では休めれない。スコルドは兄弟を守りたかったが、それが叶わず誰もいなくなってしまっていた。
人を守ろうとするのに、それが伝わりにくい。可哀想なやつだった。
あいつが突然俺を買うと言い出した。
理由は何となく察しがついていたが、娘を守る為に薬に慣らしたいということだった。
ガキの頃に「毒に触れるのはせめて6歳からだからな」と言ったのを覚えていたらしい。
娘が6歳になるから俺を主治医として雇い入れたかったらしい。ただ部下からの反感をかわないように、買いたいといったそうだ。
俺は何度も断った。「俺は調合師であって、医者じゃねぇんだ」とハッキリと。
だが、あいつは「信頼出来る医学者はあんただけだ」と頼み続けてた。
折れてやることにした。仕事内容を聞くと、娘の主治医と同時にヴィア嬢の後継人として調合師として。そして、スコルド直属の情報屋として動くこととなった。
ヴィア嬢のことはチェーロに入る前から知っている。霧猫とは協力関係を組んでいたのだから。
霧猫が持つ薬学は帝国随一。調合師として働く俺にとって最高の協力者だった。
俺は霧の外の物を輸入する、彼らは薬学を俺に渡す。いい関係であった。その族長の娘が嫁いだのは少し驚いたが、その先がスコルドなのが更に驚いた。
娘を見た時、ヴィア嬢にそっくりだった。あいつの外見の要素何も無いじゃないかと、少し笑ってしまった。
主治医と雇われた以上、しっかりと働かせてもらおう。
燃える森の中であいつがもっていた大刀が見つかった。
つまりはそういうことなのだろう。友を失うのは寂しいものだな。
スコルドが守りたかったもん、俺が変わりに守ってやるから。お嬢様は俺に任せな。
だから静かに見守ってろ、2人でな。




