激闘
マリアは深く息を吐き、ゆっくりと構えを変える。
横開きの構えを解き、テラスの前の男に対して正面を向けた。
一瞬広間に静寂が広がり、マリアと正面から向き合った男は気迫に押され、わずかに身を引いて構えをとった。
逆に扉側の男は、マリアに威圧をかけるように半歩距離を詰める。
台所の奥から、再び扉を破ろうとする「ドン!」という音を合図に、マリアは正面の男に向けて「ダン!」と派手に音を立て一歩踏み込む。
正面の男はマリアの打ち込みを警戒し守りの態勢を取り、同時に扉の男がマリアの胴を薙ごうと剣を横に振りかぶった。
そこまでは、マリアの狙い通りだった。
マリアは踏み込んだ足を踏みしめ、その足を軸にして剣を薙いできた男に向けて、裏拳を浴びせるような形で回し切りを放つ。
正面の男には完全に背中を見せることになるが、マリアの踏み込みで完全な防御姿勢を取っているため、無防備に空いたマリアの背中を攻撃することは出来なかった。
先に攻撃を仕掛けた男の剣は、マリアの回し切りが届く前に彼女の胴を捉えた。
その攻撃をマリアは鎧の厚い部分と自分の腹筋で受け止め、致命傷を負うことは無かった。
しかし、その衝撃は彼女の内臓を揺さぶり、耐え難い痛みを与える。しかし、その痛みに襲われるより早く、彼女は剣を振りぬいた。
マリアの剣は彼女に切りつけた男の肩を深々と切り裂くが間合いが深く致命傷を与えられず、しかし引きざまに両手で放った斬撃は、男の肩口へと深々と吸い込まれていった。
大きく胸を切り裂かれた男は断末魔の叫びを上げて絶命する。
しかし、その攻撃は深く当たり過ぎた。
しばらく戦いの場に出ていなかったブランクのせいか、マリアの剣は男の体に深々と刺さったまま振りぬけず、男の体に留まることになった。
それと同時に防御の構えをとっていた男はそれを解き、剣を構え直すことが出来ずに無防備になったマリアの頭に向けて、必殺の一撃を放った。




