表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ケーキ

作者: sashimi



たまに、昭和のアイドルのライブ映像を動画サイトで検索することがある。


無断転載という言葉に後ろ髪を引かれながらも僕は投稿主に感謝している。


普段は見ないが、動画の概要欄を何気なしに開く。


「投稿者である兄は自殺しました。

 僕はその弟です。」


僕は、上手く言えないのだが、数秒間その文章から目が離せなかった。


アイドルのライブ映像では大勢のファンが(ほとんどは男性だった)、

様々な表情で彼女たちを見守り、熱い声援を送る。


名前も顔も知らない彼はこの動画を載せたときは死とどれくらい近い距離にいたのだろう。


僕はいてもたってもいられなくなって、立ち上がってダウンを着て、家の鍵を取る。



深夜のコンビニ限定の、お笑い芸人のラジオが流れている。僕と無愛想な店員以外、誰もいないコンビニに乾いた笑い声が響く。


レジ横にある、値引きシールの貼られた、苺のケーキが目に入る。

僕はハイライトとその苺のケーキを買う。



僕はまた家の中にいて、口の中でパサつくあまり美味しくないケーキを食べながら、

ピンクと青と緑の衣装を身に纏った踊る三人の女の子を観ている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ