プロローグ
皆さん、ごきげんよう。
人生楽なこともあれば苦なこともあると言いますが、いかがお過ごしでしょうか。
このたび俺も異世界転生する運びとなり、例によって例のごとく無双して大勝利したわけであります。
そして女子たちと一緒に田舎で新居を構えて毎日のんびり過ごしていたわけでありますが、
『いいかげん働けこのゴクツブシ!』
と、このように追放されかけたのであります。
あんまりであります。
人は生きるために働かなければならない。
されど働くために人は生きるのではない。
何が悲しくて額に汗して働かなければならないのでしょう。
俺はビシッと言ってやりました。
『うるせえバカ!』
だめでした。
ちなみに我が家の家計はマオという魔法使いの女の子が定食屋のパートで支えています。パートといっても現物支給で、定食屋の残り物をもらってくるのです。それが我が家の食卓に並ぶのです。
さっきから俺にボロクソ言ってるのがミツル。ガングロのパツキンギャルです。転生するときに神様に押し付けられました。いらないと言ったのに。あともう一人が家にはいて、ロミーネという赤いツインテールの幼女です。腹をすかせていたところに餌をやったら懐きました。こっちの世界では合法ですのでご心配なく。
さて、転生した当初の俺は渋々ミツルを連れて、すんごくでかい城で暮らしていたマオを連れ去り、魔王を倒す大冒険に出たわけであります。勇者ですからね。その道中でなんやかんやで怪しげな宗教団体、トモノヒ教をうっかりぶっ潰してしまって、世界は混迷の一途をたどることとなったわけですが知ったこっちゃありません。最強の勇者の俺に逆らう総教皇(トモノヒ教の偉い人)が悪いのです。
そんで世界規模で普及していたトモノヒ教の影響が薄いイガウコという街に逃げ込み、そこが物語の舞台となるわけであります。それでこれからどうするのかというと、まあこれといって目的も何もないわけでありますな。あ、魔王討伐? そんなの暇なときにちょこちょこっとやってればいいんですよ。クエストだのダンジョンだの危なくて痛いじゃないですか、絶対。修行だの死闘だのケガしちゃうじゃないですか、絶対。ここ保険きかないんですよ?
とりあえず彼女のひとつも作ってゆくゆくは婚約破棄にならない程度の婚約ができれば男冥利には尽きるかな、と。あ、そうだ。どこかのお姫様の美人のお姉ちゃんと逆玉決めれば万事解決じゃん。いいじゃん、そうしよう。
…………などと思う今日このごろ。
では、はじまりはじまり。
同時連載である「――――これは勇者が魔王を倒す物語(https://ncode.syosetu.com/n4271hd/)」を読むともっと本作品が楽しめます。