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不法侵入とエンカウント

「目が覚めたかい?」


「あれ?ここは?」


またこのパターンか。

気絶して目が覚めた?のパターン。多分このパターンを俺以上に経験している人間はそういないだろう。


ああ、ここはあの尋問を受けていた拠点だな。


てゆうか本当に何故俺は倒れたんだ?


「君に助けられたな。礼を言う」


サラ騎士団長が素直に頭を下げてそう言った。

助けられたな、ってあれか。熊のモンスター討伐のフォローをした件か。


「ああ、お役に立てて良かったです」


「本当に助かったよ。君は強いな。自己紹介くらいしか聞いてなかったが、君は本当は何者なんだ?さっきの魔導はなんなんだ?」


矢継ぎ早に質問してくるな。まぁ言って怪しくないところだけとこだけ言おう。


「いや、本当ただのDランク冒険者です」


「Dランクだと!?……ああ、そうか。冗談か」


いや、Dランクどころか最近までFランクだったんだが……。


「いえ、事実ですよ」


「じゃあ、あのモンスターの核を抉った技はなんなんだ?あのモンスターは多分Bランク相当だぞ?私があのまま戦っていたら危なかった。再生するし核が保護されているしで……」


若干忌々しそうにサラはそう言った。


「あ、ああ。アレはまぐれなんですよ。無我夢中で」


うん、説明にはなっていないが嘘は言っていない。本当にまぐれだから。


「……嘘は言ってないようだな。説明にはなっていないが」


はい、仰る通りです。


「まぁとにかく君にお礼がしたかったんだ。ありがとう」


「ええ、こちらこそ。あ、そうそう、今後はどうなるんですか?町の人も俺も」


「君にだから話すが、正直どうしていいか分からない状況だ。多分あれは紛れ込んでいる魔族が召喚したんだと思うが、そいつの正確な居場所が分からない。我々の中にも探知が得意な者がいるが、引っかからないんだ」


サラはそう言うとため息をついた。


不謹慎ながら相当に美しいこの女騎士がつくため息は、やたらと色っぽく感じた。


「あー、参考になるか分かりませんけど、人に化けるタイプの魔族もいるらしいですよ」


俺は賢神様の受け売りでそう言ってみた。


「何だと?」


サラは凄まじい目つきでこちらを見据えてきた。怖い。


「い、いえ。そうしたことも計算に入れられているのかな?と少し思っただけです」


『戦闘中、違和感ありませんでしたか?って言ってみな』


うお!何じゃ急に。賢神様聞いてたんか!

まぁ言ってみようか。


「戦闘中に違和感はありませんでしたか?」


「違和感?そう違和感。まずああやって、際限なく再生するモンスター、というのがおかしい、と思ったな。あとは、核の保護。常時あんな風に核を保護し続ける魔力のあるモンスターなんているだろうか?いやいない。斬撃のときだけ保護した?いや、モンスターにそんなスキルはない、と、なると……」


あーなるほど。ここまで聞けば俺にもわかる。


「あの場で守られていた者の中に、魔族がいて、戦闘をサポートしていた可能性があるかと」


「ふむ、君の言う通りかもしれんな。あの場にいたのは誰だ?」


「僕と領主様の一族、あとはギルド関係者の計10名ほどでしたかね」


「ふむ」

そう言うとサラはまた考え込んだ。


「君はどう思う?」

サラが俺に尋ねる。純粋に意見を聞きたい、という感じだ。


「うーん、ちょっと心あたりがあるので探ってみます。何かわかったら言います」


「わかった。よろしく頼む」




さて、心当たり、と言ったものの雲をつかむような話なのが事実だ。

あの俺が倒れる間際に見た姿が誰なのか、がポイントになってくると思う。


誰だ?うん、結構小柄だったような気がする。

うん、そうだ。多分女性だった。


そしてそう、多分俺が知っている人物だったような気がするのだ。


女性?知っている人物?

候補は2人くらいしかいない。


『あとは君が何で倒れたのか、だろうね』


そうだ。確かに転送はちょっと距離が離れると魔力を喰うし、あのとき俺は過度に集中していたし緊張もしていた。だが、あれで魔力切れになるとも思えないのだ。


そして、あの倒れる前に身体に加わった衝撃。


つまり……


俺はふと思い出してポケットから、マリエルに貰った髑髏人形を取り出した。


と、俺は驚愕した。

髑髏人形が粉々に砕け散っていたのだ。


『はは、こりゃ凄い。今気づいたけどコレ超貴重品の身代わりの髑髏人形だよね?致命傷を代わりに受けてくれるっていう。きっと君の代わりになってくれたんだろうな』


賢神様が俺に教えてくれた。


そうか。何か分かったかも知れない。俺は思いついたことを調べるためにギルドへ潜り込んだ。



俺は入念に準備してギルドに潜り込んだ。

深夜なので誰もいない。セキュリティも甘々だ。


目的は、スタッフの経歴を纏めてある帳簿だ。

幸にしてギルドのスタッフは少ない。経歴についてはすぐに確認することができた。


支部長ヨハン

元B級冒険者。剣士。


副支部長カルファ

元C級冒険者。炎魔導士。


うーん、違う。この辺じゃない。そうじゃなくて。

あった!


受付エレナ

元B級冒険者 粉砕魔導の使い手。


・・・・・・・・


やっぱりか。

あのとき横目に見えた姿。俺がこの町で関わった数少ない女性。


そして、あの身代わりになってくれた人形の様子から最早確定と言っていいだろう。


粉砕魔導。


希少な能力として重宝される魔導だ。長い詠唱と引き換えに強大な威力で対象を爆散させる。


なぜギルドの受付嬢なんてやってるんだ?


まぁ、さっきの身代わり髑髏人形の症状と一致するな。

さて、後は報告するだけだ。


「何をしているのかな?」


俺は闇から発せられたその言葉にビクッ!!と身体が硬直した。


そこには俺が調べていた人物・・・受付嬢エレナが立っていた。


「いえ、ちょっと忘れ物をした気がして……」


「言い訳としては苦しいんじゃないかな?」


エレナの形相は最早普段のものではなかった。

というか常軌を逸している、と言っても良かったと思う。


「……あなたこそなぜこんな時間に?」


「……夜勤ですよ」


……まぁ嘘だろうな。このギルドに夜勤はない筈だ。


もういい。本題に入ろう。


「あのとき、俺を粉砕魔導で殺そうとしましたよね?」


俺は恐怖しつつも、受付嬢エレナを見据えてそう言った。


肯定とも否定ともとれる沈黙。


「その質問に答える意味はありませんよ」


受付嬢の口調が明らかに変わっている。


「そうですか?重要な質問だと俺は思っていますが」


俺はごくり、と唾を呑み込みながらなんとかその言葉を発した。


そして受付のエレナは俺のその言葉に、それは世にも恐ろしい笑みを浮かべた。


「いえ、意味はありませんね。私は今からあなたを……殺しますから」


エレナであったものが、一音一音はっきりと、その言葉を発した瞬間。……ころしますか「ら」くらいのところで何らかの魔導を発動しようとしたので、俺は構えた。



が、その魔導発動の一瞬前に「キンッ!!」という金属音とガラガラとドアが切り裂かれる音がした。


俺は一瞬、そちらに視線を向ける。


それを行ったのはサラ団長だった。


サラは一気に距離を詰め神速の抜刀術(あまり見えなかったがそうだったと思う)をエレナであったものに繰り出した。


最早俺には、踏み込みが床を砕く音と、抜刀の風切り音が後から聞こえたようにしか感じなかったが。


そして……エレナであったものの身体が二つに、肩口から心臓を通り、斜めに分断されたのだった。


やばいな。

強すぎるわこの人。


「やはりこいつだったか……」

サラはその真っ二つになった魔族を前にそう呟いた。


もう終わってしまったのか?


「サラさんも目星をつけていたんですか?」


「ああ、探知はできていなかったが、最初からこのギルドの中の魔力の揺れ方が気になってはいたんだ。まぁ後、君のことも気になっていたしな」


ま、後をつけられてたわけね。

全然気づかなかった。


「やはり貴女もいましたか」


俺は戦慄した。真っ二つになったエレナの上半身が普通にそう喋っていたからだ。


そして、二つの体からなにか触手のようなものが引き合い繋げる。


おいおい、ちょっと待て。

斬撃が効かないのか?核というか心臓の位置は通っている筈だぞ?


「さて、どちらから死にますか?」


俺は手が震えそうになっていた。


あの心臓の位置を通過した斬撃が効かないとなると、俺の心臓抉りも効かないと思われる。というかどうやったら死ぬんだ?もしかして不死身?


万事休すか。


「フレイムウェポン!!」


サラが動いた。炎魔法を剣に宿したか。

流石だ。超高等技術をこの若さで使いやがる。


そしてまた神速の斬撃。

切断面を焼けば再生できない、という考えだろう。


だが結果は同じだった。

真っ二つになってからくっつく。


本当に不死身なのか?


「クックック、終わりですか?」


そう言うと魔族は手に魔力を集める。


「シン!危ない!よけろ!」


おそらくはスライム状の液体だったと思う。

それが俺とサラの上から部屋を覆うくらいの範囲で降ってきた。


あ、やばい。

当たったら死ぬ。


その魔族の一撃はそれだけの凶兆をはらんでおり、俺は一瞬にして死をイメージした。

ブックマーク頂きありがとうございます!!

また、アクセス数もちょっとずつ増えてて大変嬉しい限りです!


さて、お読み頂いている皆様に大切なお願いです。

もう一段ステップアップするためにもブクマ・評価・感想など、頂けましたら大変嬉しく思います!!最後まで走り切るためにも是非っm(__)m


どうぞ下の☆☆☆☆☆を全て★★★★★にしていただければ感無量です。


よろしくお願いします!

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