報告
まだまだ、内政の問題が…。
王族、貴族に後継者問題は切っては離せない問題なのです。恋愛は二の次。
「宰相ユーカリが職を辞し、教皇となりましたので、妃殿下のご判断をお願いいたします。私が後を継ぎ宰相に、補佐はユッカ殿ではどうかと話はしていたのですが…。ご提案前に事が動きまして…。
今回の騒動は私達の落ち度でもあります。失った信頼に足るものとなれるよう、若輩者ではございますが身命をとしてあい努めますのでお怒りを鎮めてくだされば幸いです。」
ポトスとコアラのおじいちゃんユッカ殿が二人して頭を垂れてご挨拶している。
えっ?コアラの後頭部なんて初めて見たよ?めっちゃ可愛い…。私の癒し担当にしてって言ったのにユーカリの奴くれなかったもんな。
食われちまえ!と思ったけど…。私は頭に?が付きまくってるんだけど…。
何でユーカリ君が教皇になっちゃったのかな?ちょっと懲らしめてあげようとキツく叱ったけど…。
「本人は了承しているのか?」
そこ大事よ。嫌々ながらの仕事は上手くいかないからね。
「はい。本人の希望です。…ほぼ。(教皇以外は)」
「気になさいますな。妃殿下。教会の綱紀粛正に邁進すると申しておりましたし、適材適所でごさいますじゃ。」
聞こえているよ。ポトス君。まぁ決まってしまったのならいいか。
「既に就任しているのか?」
「職を辞する挨拶もなく、申し訳ありません。たまたま辞職に関して話をしていたところに前教皇に神託が下り、張り切って前宰相を迎えにこられまして、丁度いいから連れていくと…。父も事が解決してからと言ってはいたのですが…。」
久々の神託に喜んで飛び付いちゃったのね。私が無視してたし。はあー。ジジイ!?予定が狂ったじゃん!けど、今回はナイスアシスト。
「ポトス宰相の責はおもいぞ。ユーカリは優秀であったが間違えることがある。その時の影響は秤しれん。覚悟はあるのか?」
「解りません。ただ、言えることは優秀な人物でも間違えることがあると僕は知っています。だから必ず色んな人から意見を聞くようにし、間違えるかもしれないと自分にも問うて任に当たりたいと思います。」
「良い答えだ。気に入った。ユッカはどうなのだ?」
だけど、アルメリアから現職の聖職者が、しかも教皇が出た以上分家させないと…ユーカリがでるかポトスがでるかだが…。ポトスが家を興すなら…。
「私めはこの国に骨を埋める所存。妃殿下のためならば誰であろうとも補佐いたします。」
兄上も王族だ。理解するだろう。私が政治に口出しできるのは妃殿下だからなのだ。第一王子の正妻であり、次期国王の母皇太后なのだ。そして教会に口出しできるのは神子だからである。私が特殊なのだ。
「あい解った。だが、ポトス宰相になるなら政治と宗教は分けねばならない。意味は解るな。父と話せ。」
「私が家を出ます。」
「即答か。ギデオンのことは無視か…気を遣う必要なかったな。解った。家名は私が授けてやろう。お前は今日からポトス=フォン=ノースポールだ。宰相として誠実に努めよ。ユッカ宰相候補に任ずる。国を頼むぞ。」
呆然と立ちすくむポトス。知るか。私は相談しろと言っただろうが。はよ帰れ。
「まだ、何か用か?」
「失礼致します。」
手を握りしめてポトスは部屋を出ていった。
「良かったのですか?」
私の女官長のリンドウが声をかけてきた。
「即答だぞ?少しでも詰まるとかもなかったんだぞ?あの瞬間兄上のことを気にもしなかった。家を興すということは後継が必要となる。しかも政治と分ける意味合いだから、実家からの養子を取ることができない。しかも自分が初代だ。親族もいない。ならば、嫁を迎え実子を作るしかない。だから父と話せと言ったんだ。ユーカリが家を出るなら後継はいっぱい要るからな。」
「一人連れていくだけでいいですもんね。」
「だが、あいつは家族がバラバラになることが嫌だったのだろう。兄上のことも、結局中途半端に三年間のらりくらりと…。」
「人族とは面倒な生き物ですね。」
うん?君たちは強さだけだもんね。逆にうらやましいよ。でも、今回は姉ちゃんが悪い。
ギデオンとポトスのラブを期待した方、すみません。私も張り切って第2章で!と思っていたのですが…。
理由は次回解ります!




