側近達の会議
内政的な問題が続きます。
魔法どこいった!チートは旅立った!
「どうでしたか?宰相?」
執務室で待っていたのはポトスとユッカだった。
「無理だった。世界中で死人がでても構わないらしい。」
俺は首を振りつつ二人に告げる。
二人は諦めムードだ。
「さもありなん。今回の件は皇太后としての怒りじゃ凄まじかろう。」
ユッカ殿は腕を組みつつ話している。あの短さで腕組めるんだな…。と素朴な疑問を抱きつつ続けた。
「今回の件に関してはギデオン殿下も、魔王様、神獣様達も説得はしない。というかできないそうだ。自分の命が危うくなると…。そちら側には当然の報いだと。」
「獣人国とて同じじゃ。リンドウ様が怒り狂って獣王様に直談判されておったからのぅ。獣人国の教会は何をしていたのだと。」
はぁー。胃が痛いよぉ。リンドウ殿とは妃殿下の新しい女官長だ。獣王の甥でキキョウ様と婚姻され、御子を無事に出産せれた後、妃殿下の強い要望で職につかれたと聞いている。否定的な意見も多かったが、実力でねじ伏せていた。
「調査の結果教会側が吐きました。世論を信者を使って誘導していた様です。思い通りにならず、金だけ搾り取られるのが我慢できなかった様です。」
「マジかよ…。そんな奴らを俺は庇って来たことになるのか…。信頼なくすわ…。妃殿下は全部解ってたんだな。」
信頼を受けていると自分でも自惚れていた部分があったことは否定できない…。妃殿下はどんなに突っ込んでもめげなかったからな。
ポトスが協会側の現状を伝える。
「現在の所、神官の能力停止に加え教皇と12人最高枢機卿が保持していた神託のスキルですが、教皇以外全員のスキルが消滅したようです。教皇様は維持したままですが、どんなに祈ってもなしのつぶて。神に無視されているようです。神官は回復魔法が使えず民達から避難殺到。教会側もやっと理解した様で神子様に面会依頼をしている様ですが、無視されてばかりで…だいぶ焦っているみたいですよ。」
良くない状況だ。俺も腹を括らねばな。
「今回の教会側の行為を公表しろそれによってどんな結果になっているのかもな。民に選択させよう。神を取るのか教会を取るのか。今回の責は民にもある。いい加減理解せねば。この国は神を頂点に戴いているのだと。俺は事態を収拾し、解決に目処が立てば一連の責任を取って宰相の責を辞す。」
「父上!」
「ポトスお前言ってだろう?説得など、聞いてくれない次元の方なのだと。俺もそう思っていたが…今までの話し合いで忘れてしまっていたらしい。宰相として失格だ。それに俺は今回の件で妃殿下の信頼を完全になくした。そばにいない方がいい。国のためだ。解るだろ?」
「…承知いたしました。」
「セバスお前はここに残れ。お前以外神子様と神獣様世話が出来る人間がいないからな。」
「承知いたしました。宰相はどうなさるのですか?」
「俺は教会の改革と監査に邁進する。俺がなすべき最後の仕事だ。ユッカ殿…新宰相は若輩者だが、補佐を頼めるか?」
「引き受けよう。こちらのことは気にせず教会を跡形もなくリニューアルしてしまえ。」
ガチャ
「では、あなたが教皇になれば良いでしょう。」
そこに現れたのは白の絹に金色の糸で刺繍された衣服を着た人物だった。金の糸を使える人物は一人だけだ。
「はぁ??貴方は…。」
「突然申し訳ありません。恐れ多くも現教皇の任についております。トケイソウと申します。先ほど久方ぶりに神託がございました。このような事態を招いた私に祈りを捧げる資格などないのですが、教皇であることの責任は負わねばなりません。今回の神託は
『ユーカリ=フォン=アルメリアを教皇とし綱紀粛正をせよ。現教皇は職を下り、次期教皇を補佐し、教会を改革することを罰とする。全教徒は改革を受け入れ、神子を見下し、王女を蔑ろにしたものは破門とする。神子の怒りが解けた時、力は戻るだろう。』
とのことでした。聞けば宰相を辞される様ですし、問題はありませんね。さっさ、参りましょう。ユーカリ殿…あっ失礼致しました。教皇様。これより身命をとし、お仕えいたします。」
「えっ?えっ?えーーー。何でこんなことに…あっ!?あいつ~はめやがったなぁ!!俺、信頼失くしたって…落ち込んでたのにー!!」
両腕を神官達に抱えられ俺は協会まで運ばれていった。
ユーカリ…不敏な子。
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