sideクロード
番外編 三話目です。
シリアス会になります。
入れ墨の表現があります。苦手な方は飛ばしてください。
いよいよ明日から第2章となります。
応援よろしくお願いします。
「いっ…くっ…。」
全身に痛みが走る。チクチクとした痛みが連続でだ。
魔法を封じる入れ墨は本物と偽物が解らないように全身に同じ模様が入れられる。知識としてあったが自分が施される立場になるなんて思ってもいなかった。
入れ墨が完了したら、苦役に行くことになる。何でもトンネルの埋戻しに行かされるとかなんとか。
そんなものあったか?
隷属魔法を持った貴族は全て同じ処罰が課せられている。
ダリアも俺もルイもだ。ジークは入れ墨が終わったあと何処かの国に行かされるという。
俺は教えて貰えないだろうと思いつつも、牢屋での生活にあき、殿下のことが気が気じゃなかったので見張りに聞いてみたのだ。案外あっさり教えて貰った。
教えたとてどうにもできまいと言われている気がした。
アルメリアから来たという見張りは聞けば何でも教えてくれた。あまりに教えてくれるので大丈夫か?と聞くと、公開されている情報しか教えていないし、不味いことはそもそも教えられていない。また、君たちみないな情報取りに躍起になられる方が不味い。
だから心配せず、何でも聞いて良いと言われた。
牙を折らされた気分だった。
もう出来ることは何も無いのだと…思い描いていた未来は永遠に訪れることは無いのだ思いしらされた。
それからの日々はあまり覚えていない。
レオン殿下が逝去され、ジーク様は身分の全てを剥奪され、国王は処刑された。
ギデオン殿下が残り、姫君が王位に就かれるのであれば未来が残されているのでは?と希望を抱いたが…。
隷属魔法についての発表でそれも潰えた。
俺達はあと、10年で寿命が尽きるだろう。
妃殿下が言われた言葉が甦る。
「お前達は私を女神だと呼んでいたが、あながち間違いじゃない。だが、お前達は本当に解っているのか?
目の前に神がいるという意味を。」
背筋が震えた。何も解っていなかった。ドラゴンすら使役する自分達こそ至高の存在と思い込み。神の所有物に手をつけた。
神を呼び出し、その神すら自分達の物にし、手に入ったと思い込んで…。
馬鹿だ。牢屋の中で叫び泣いた。
俺は土を運ぶ毎日毎日。トンネルを埋めるために。
このトンネルがどこと繋がっているのか、何故埋めないといけないのか考えない。考えても意味がない。
前は逃げ出そうと画策し、抵抗もしていたが、先は獣人国で、逃げてもなぶり殺されるだけだと解り、誰も何も言わなくなった。毎日同じ時間に食事し、トンネルを埋め、寝る。
何度繰り返しただろう。前までは仲間も見知った顔もいたが、今は見知らぬものばかりだ。
ある日起きられなくなった。医者が来て言った。
「もう長くはない。」
監守がいった。
「隷属魔法が何故忌むべき魔法なのか。身をもって知ったか?お前達がやってきたことはそういうことだ。神の元へ行ったら懺悔すると良い。神からの罰はこれからだ。」
明日もよろしくお願いします。




