キキョウの嫁取り
番外編 二話目です。
第2章もがんばります!
よろしくお願いします。
「りん?迎えに来たよ。私のお嫁さんになってくれる?」
「青龍殿本当に家の甥で大丈夫なのですか!?見た目は女ですが…体はおとーいたっ!!リンドウ!そなた王である俺の足を踏んだな!怪力め!いたっーー。」
「この日を指折り数えてお待ちしておりました。このりん、青龍様の嫁として恥とならぬよう粉骨砕身致します。」
「??うん??当たって砕けたらダメだよ。身体は大事にしてね。」
「はい!!」
「獣王、大丈夫だよ。りんのことは解ってる。私はどっちでもいいんだよ。りんの強さに惚れたんだ。体が雄でも構わないんだよ。私は龍だからね。りんには卵を産んでもらう事にはなるけどね~。」
「…聞き間違いじゃなかった。」
このりんと会ったのは、薄暗いトンネルの中だった。
兄上が婿探しに行くことになり、仕事を引き継いだばかりで、穴堀は苦手だし、つぐみが来るまで持ちこたえればいいんでしょ?。位にしか思ってなかった。
一度下見にトンネルの中に入ってみたが、埃っぽいし、土臭いし、助けた獣人3人は呆然としてるしで、あんまり近づきたくなかった。
私は忍者のスキルで私は影の中に潜むことができる。兄上の様に転移は出来ないが、影を使った移動はできる。影の中で奴隷が捨て場に運ばれるのを待った。
隷属魔法は死亡の場合のみ解放される。と皆思っているが死とは心臓か脳かでだいぶ違う。心臓の停止で解放されるのであれば希望はあると、つぐみは捨て場に運ばれてくる奴隷達を観察し続けて心臓だとか判断した。その時のつぐみの悲壮感は言葉に出来ない位だった。
兄上は雷で心臓にショックを与え、マッサージしつつつぐみを待っていたが、私は回復魔法がすこし使えるため、それでつぐみが来るのを待つことにしていた。
一人が運ばれてきた。即座に駆けつけ、回復魔法をかける。顔色が少し戻り、唇の赤身が戻ってきていた。でも、まだ、心臓は動かない。私は雷が使えないのだ。目に入った獣人に声をかける。
「ねぇ。貴方達の同族でしょ?助けなくていいの?このままだと本当に死んじゃうよ?ぼーっとしてないで声ぐらいかけたら?」
今思えば酷い言葉だったと思う。だが、一人の目に力が?怒りが?灯ったのは解った。
「おい!狐の獣人!言われているぞ!死などに負けるな!私達は誇り高い獣人族だ。こんな慈悲もない奴に好き勝手言わせるわけにはいかん。私は同族を見捨てたりしない。狐お前もそうだろ?頑張れ!戻ってこい。今まで耐えられたんだ。今回もきっと耐えられる!一緒に故郷に帰るんだ!!」
言葉が届いたと思った。何故なら私の心に届いたから…この獣人の心臓が微弱だが動き出したのがわかる。間に合ったのだ。つぐみがやってきて完全回復が施され狐の獣人は元気になった。
それ以来りんとはちょくちょく話すようになった。穴堀が進まず、
「兄上が獣人は強いのが好きって言ってたけど…どうすればいい?」と問うと、
「獣人は確かに強いのが好きですけど、プライドも高い。獣人が好きそうな言葉を並べてスピーチは考えるから神子様に言って貰って欲しい。」と答えた。
その時のつぐみの凛々しいスピーチ姿は今でも目に焼き付いている。
りんは奴隷となって30年で最長らしい。強靭過ぎると思った。強い雄。欲しいと本能が告げる。
でも、今は任務が優先だ。あぁ、本人の意思も確認しないと…。しかし、絶対逃がさない。必ず嫁に貰うと決心した。
ああ、何故嫁かというと本人が心は女だと言っていたからだ。私はどっちでも構わないし。欲しいのはりん本人だ。
その後色々ありはしたが、無事に嫁に取ることができる。
つぐみは気絶するほど喜んでいた。兄弟達はつぐみ!に呆れていたが、結婚には喜んでくれた。
不在にする時は食事の関係もあって、セバスに一言告げるルールがあったので、
「獣人国にお嫁さん貰いに行ってくる。」と告げた。
「嫁取りには結納品がいるし、付添人も必要だ。準備するから一週間待って、私が一緒にいきますから。」と反された。
確かに、嫁取り何だから結納品は必要だ。考えていなかった。つぐみは指輪を用意してた。私も宝石をあげたい。ホタルに相談しに行った。真珠とサファイアの入った首飾りを作ってくれた。
本日吉日。
「あー可愛い。ね?セバス可愛いでしょ?私のお嫁さんのりんどうだよ。りん?この人がセバスチャンだよ。私達の…お父さん!」
セバスはお母さんであるつぐみと同じ位に世話をしてくれるんだー。
「!?…お父さん。」
セバスは嬉しそうだった。
「お初にお目にかかります。お義父様。私は獅子族のリンドウと申します。不束者ではありますが、青龍様の嫁として恥とならぬよう努めますので、ご指導よろしくお願いします。」
「こちらこそ、素晴らしいお方を迎えられて有り難いです。息子をよろしくお願いします。」
えへへ。
セバスは皆のお父さん。




