旅立ちの日
タイトル通り。第1章最終話です。
2話連続投稿します。
お付き合いありがとうございました。
一週間休んで第2章を始めたいと思います。
始める週の日曜日に番外編3作投稿します。
開始の花火です!
「来たぞ。」
「うん。」
「明日か。」
「うん。」
「会わなくて良いのか?」
「うん。会わない。けど…。見送るつもり。」
「そうか。よく決心したな。」
レオンが逝去して3ヶ月後、国王シオン=ペンタスは処刑された。
よく晴れた日だった。晴れすぎてむしろ暑かった。宰相の読み上げる罪状の長いこと長いこと。
ユーカリは早くしろよと全員から圧力が…。いっそのこと読み飛ばしてもバレないんじゃないの?と思ったという。
国王は傷が癒され、処刑迄時間が有った為か、往生際が悪かったが、レオンハルトの逝去を聞き、ジークハルトの処分が解ると大人しくなった。処刑台に上がる時にギデオンに縋る様な視線を送っていたが、完璧に無視されていた。
死刑が執行され、ペンタス王国王朝は終わりを迎えた。
その後謁見室で、獣人国王と魔国王の三者による、賠償についての確認と調印式が行われた。獣人国王はコアラのおじいちゃんを連れてきていた。握手をさせてくれた。鼻血が出そうだった。
青空の見える謁見室もかっこ良かったけど、流石にヤバイべとレンギョウ親方が仮で治してくれた。
そしてその日が訪れた。
sideジークハルト
私は今日、生まれ育った国を出ていく。魔法を封印する入れ墨が施されて…。生まれながらの王子だった。それ以外の人生を生きたことがなかった。これから見知らぬ国に行き、したこともない仕事をし、人生を終えることになるだろう。
城の門を潜る時、
「右上を見上げろ。」
見上げた先には赤子を抱く美しい女性。目が合った。もう二度と会うことの無いその女性は深々と頭を下げた。
涙が止まらなかった。
僕は馬車に乗せられた。何故か魔王まで一緒に乗ってきた。声をかけられた。
「お前は何故国を出なければならないのか知っている。何故見知らぬ土地で生きなければならないのか知っている。自分の罪も知っている。母国が近くにあることも、親族が何処でどうしているのかも知っている。だか、召喚された。アビゲイルは?全部知っていたか?彼女になんの罪があったのだ?」
頭を殴られた思いだった。
「お前に涙を流す資格があるのか?アビゲイルは泣いていたか?先程彼女は頭を下げていたが、お前がしなければならないことだったのではないのか?」
何もしていない。奪うだけで、謝罪一つしなかった。
「俺はこれからお前に一つ一つ問うていく。お前の罪を。その命が終るまで。」
次はエピローグです。




